【世界遺産ナスカの地上絵観光フライト子連れ体験記】手配方法・料金・写真撮影のコツ・事故暦
✈️ナスカ空港からセスナ機に搭乗してナスカの地上絵の遊覧飛行を楽しみました。その時の体験談や感想、写真撮影のコツなどを紹介します。
💓ブエノスディアス、イルカパパです!
小4、中1の子供2人連れて家族4人でペルー旅行に行ってきました。
今日のブログ記事では、世界遺産ナスカ地上絵の観光フライトの様子や、狭い機内からの写真撮影のコツなどを紹介します。それでは夢と冒険の旅へヒアウィーーゴー!
ナスカの地上絵観光フライトの概要
- 料金の目安:100〜150ドル
- 所要時間:40分
- 注意点:かなり酔います
- ナスカ空港の場所:ナスカ市街地中心から車で5〜7分
- セスナ機の定員:4〜10人
ナスカ空港に到着
ナスカ空港は、ナスカ市街地の南側にあります。バスセンターから、車に乗ること5~7分で、ナスカ空港に到着しました。
「ああ、ここがあの地上絵で有名なナスカ空港か」
リマから7時間以上もバスに揺られてナスカに到着したことを思えば、市内から空港まで拍子抜けするくらいあっけなく着いたので、まだ心の準備が出来ていません。それに空港の外観は想像していたより近代的なのでちょっと驚きました。今まで子連れで行ったことのある、パラオ国際空港や、タヒチのボラボラ空港、ランギロア空港、マダガスカルのモロンダバ空港、などと比べたら、ずいぶん立派です。
空港の駐車場に車を止めて、ロサさんと一緒にターミナルビルへ向かいます。荷物は車の中に残したままです。ドライバーさんが車に残るから荷物が盗まれる心配はいらないとのこと。それにもともとナスカ1泊分だけにまとめてあるのでそれほど大きな荷物ではありません。駐車場を歩いていると、滑走路にたくさんの飛行機が見えてきました。全部、地上絵遊覧飛行用のプロペラセスナ機のようです。セスナ機の実物を目の当たりにして、おお~~、だんだん気持が高ぶってきました(^^)
胸の高鳴りを押さえながらロサさんのあとを着いてターミナルビルに入ると、航空会社のカウンターがずらりと並んでいます。でも、実はナスカ空港は地上絵遊覧飛行の飛行機のための専用空港で、国際線はもとより、ペルー国内他都市からも定期便の就航はありません。
地上絵フライトツアーの手配について
地上絵遊覧飛行ツアーの手配ですが、個人で直接空港に来た場合はそれぞれのカウンターで料金などの交渉します。わたしたちはあらかじめ日本で手配しているので、どの航空会社がいいのか、選んだり、交渉、比較したりする必要はありません。そのかわり料金が高いのか、安いのか、さっぱりわかりません。すべて今回の「ペルー旅行」の代金として一括して支払っているからです。
地上絵遊覧飛行のセスナ機は、4人乗り、6人乗り、10人乗りなどタイプがあります。これは乗客の人数です。4人乗りと言っても、乗客が4人で、操縦士、副操縦士、を入れると6人になります。
個人で直接1人で空港に来た場合は、他の乗客が集まるまで飛行機は出発しません。そして当然ですが、他の乗客と同乗になります。それもちょうどいいタイミングで、ぴったりの同乗者が集まればいいのですが、そうでない場合は、そういう乗客が現れるまで待機することになります。もちろん1機貸し切りにすればその問題は解決できますが、割高な料金を支払わなければなりません。
ですからカウンターでの直接交渉を楽しみたいとか、よっぽどの理由が無い限りは、あらかじめツアー会社などで遊覧飛行の手配をしておくほうが時間を有効に利用できます。
地上絵遊覧飛行の申し込み、手配は、リマやナスカの旅行代理店でもできます。もちろんわたしたちのようにあらかじめ日本で旅行プランに組み入れて手配することも可能です。そうすると、少なくとも、空港で同乗者が現れるまで待機する必要ありませんし、カウンターで、料金を比較しながら交渉する必要もありません。
つまりナスカ空港で遊覧飛行を直接申し込む場合のメリットは、
- 旅行代理店を通すより、もしかしたら安く交渉できるかもしれない
- 交渉する事自体を楽しめる
- 自分で航空会社を選べる
くらいなものだと思います。
一方、デメリットは今説明したように、
- ちょうどぴったりのタイミングで搭乗できないかもしれない
- 交渉や比較に時間と手間がかかる、です。
時間がたっぷりあってそういう交渉も含めて旅行を楽しみたい人にはむいていると言えますが、時間のない一般的な旅行者にはおすすめできません。
遊覧飛行ツアーをリマの旅行代理店で予約、手配する場合は、リマ、ピスコ、イカからそれぞれ離陸/出発する遊覧飛行も取り扱っています。
ただしこの場合、ナスカ空港やナスカの町には降り立ちません。
一番時間の節約になるのは、リマからの遊覧飛行です。
リマ~ナスカはバスで片道7時間かかる距離なので、ナスカ空港発の遊覧飛行では、リマからの日帰りは出来ません。その点リマ発の遊覧飛行なら、トータル3時間程度の所要時間で地上絵観光が可能です。
残りの時間でリマ市内観光やクスコなど別の目的地への移動に使えます。そのかわり料金が高くなるのと、ナスカの町に降りない、歩かない、という欠点があります。
ナスカ地上絵遊覧飛行の過去の主な事故歴
- 2007/12/04 不時着 エアロコンドル(Aerocondor)
- 2008/03/27 不時着 エアロPalcazu(Aero-Palcazu )
- 2008/04/08 不時着 エアロコンドル(Aerocondor)
- 2008/04/10 墜落 エアロイカ(Aero Ica)
- 2008/04/27 不時着 エアロコンドル(Aerocondor)
- 2008/8 不時着 (Alas de America ?)
- 2008/11/17 不時着 エアロイカ(Aero Ica)エンジントラブル
- 2010/02/25 墜落 ナスカエアー(旧エアロイカ)
*「エアロイカ」は「ナスカエアー」に社名変更しています。
*ナスカ遊覧飛行は年間3万回以上行なわれています。ですから墜落する「確立」は過去10年で15万分の1程度とも言えます。それを高いと考えるか、低いと考えるか。
安全な航空会社はどこ?
2010年にペルーの運輸省が実施した調査によると、
「落ちないであろう」
と診断された状態のセスナ機は、ナスカ遊覧飛行をおこなう航空会社14 社40機中たった 4 社の飛行機だけとのことでした。
エアロディアナ 1 機
Aero Paracas 2 機
Alas Peruanas 2 機
Travel Air 2 機
ただし各社とも複数のセスナ機を保有しており、「落ちないであろう」と認定されなかった、つまり「落ちてもおかしくない」セスナ機も当然それ以上に保有しています。
*地上絵遊覧飛行を手配する場合は、旅行代理店まかせの場合でも、直接交渉の場合でも、この点に配慮されることをおすすめします。
*地上絵遊覧飛行を直接交渉する場合の料金の目安は、100~140ドルです。
料金は季節時間帯によって異なります。
ナスカの地上絵遊覧フライト子連れ体験記
いよいよ搭乗
ビデオとカメラを手に持って、案内役のスタッフのあとを着いて、ターミナルビルから滑走路に出ると、砂漠特有の強い日差しに一瞬目がくらっとしました。でも空気が乾燥しているので、日差しの強さの割に不快な暑さは感じません。むしろそよぐ風が心地良く感じられます。遠くにはほとんど木々のはえていない山、その背後には雲ひとつない青空が光り輝いています。
絶好のフライト日和!視界の開けた滑走路にはたくさんの飛行機が止まっていました。わたしたちが乗るのはどの飛行機かな?と思いながら歩いて行くと、ひときはエンジン音が響いているセスナ機がありました。
ああ、あれだ!
「こんにちは」
飛行機に近づくと、操縦士がいて、わたしたちに挨拶をしました。
「よろしくお願いします」
わたしたちもあいさつをして、それから、いよいよナスカ地上絵遊覧飛行のセスナ機に乗り込むのでした。
地上絵フライトへテイクオフ!
ナスカ空港の滑走路に待機しているセスナ機は、鮮やかなライトブルーを基調にしたデザインのラインが描かれていて、まるで快晴の今日のナスカの空のようです。機体の右側に乗客用のドアがあり、わたしたちはそこから乗り込みました。セスナ機は6人乗りで、2人掛けのシートが3列あります。このうち最前列2席にはパイロットが座るので、乗客は2列目と3列目のシートに座ります。
わたしたちは、3列目に子ども達が座り、2列目にわたしとママが並んで座りました。座席に座るとすぐシートベルトを締めるように指示されました。座席シートには白い布製のシートカバーがかけてありますが、ところどころほつれたり穴が空いてしたりして、なんだか不安な気持になります。東海道新幹線のように、新しい乗客が乗る前にすべての座席シートカバーを交換したり車内清掃をすることはないようです。
わたしたちが搭乗したとき、前方右側の操縦席にパイロットと思われる人が1人座っていて、計器類のチェックをしていました。
「ああ、この人がパイロットなんだ」と思っていたのですが、後からもう1人乗ってきてその人のほうが少し偉そうな雰囲気だったので、そっちが正操縦士なんだと思います。
操縦席には左側しか乗り降りするドアがなく、左側座席に座る操縦士が、すべて準備が整った後から乗ってきたことからも、その推測は正しいのではないでしょうか。ってそれほど重要なポイントではありませんが(><)/。
搭乗してすぐナスカ平原の簡易マップが渡され、これから飛行するおおまかなルートが説明されました。パイロットの説明は基本的に英語でおこなわれますが、簡易マップには日本語の説明もあるのでとてもわかりやすいです。それから座席に用意されているヘッドフォンを装着するように言われました。ヘッドフォンにつながっているボタンを押しながら話すと、全員で会話をすることができます。またヘッドフォンを装着している人以外の声や音はほとんど聞こえなくなります。
つまりセスナ機のプロペラ音など飛行中の騒音を遮断し、パイロットの説明や乗客同士の会話ができるように作られているヘッドフォンです。オーストラリア子連れ旅行のときエアーズロックでヘリコプターフライトをしたのですが、そのとき使用したヘッドフォンと同じような仕様です。
さてパイロットが2人揃ったところで、いよいよエンジンの振動が大きくなり、離陸の準備が始まりました。操縦士が管制塔としきりに連絡を取り合っていましたが、どうやら離陸の許可がおりたようです。
セスナ機先端のプロペラが大きく回転し、ヘッドフォンで騒音を遮断しているにもかかわらず、ものすごい轟音が聞こえてきそうな感じです。
やがて機体はゆっくり動き出し、旅客ビルを背にして右手のほうへ進みました。
そのまま乾いた台地にポツーンと建っている管制塔の前を通り過ぎ、さらに進みます。セスナ機前方のガラス窓には、正面の大きな山々がせまってくるようです。
しばらく進んだところで大きくUターンして、滑走路と平行になるように機体の姿勢を正します。そからダムが決壊し水が雪崩落ちるような勢いで、一気に加速し始めました。いよいよ離陸です。空に上がったら、待望のナスカの地上絵と対面できるのです。プロペラの回転と同じように、興奮でわたしの心臓の鼓動も早まります。
滑走路を走っていたセスナ機のスピードが最高潮に達したとき、突然ふわっと機体が浮かび上がりました。それは大型旅客機の離陸とは違って、本当に木の葉が風で舞い上がるみたいに、たよりなくふわっと浮く感じです。そして少し右や左にふらふらしながら上空へ登って行きます。あるいは、ヘッドフォンで騒音を遮断しているため、風で機体が舞い上がっているように感じたのかもしれません。
いずれにしても、わたしたちを乗せたセスナ機は今、ナスカ空港の滑走路から飛び立ちました。そして眼下にはどんどん小さくなっていくナスカの町が見えます。といっても空港自体が町のはずれにあるため、大きな建物などは見えなくて、緑の林や畑のようなものが広がっています。
ナスカ平原は過去1500年以上まとまった雨が降っていない砂漠の高原ですが、ナスカの町には遠くアンデス山脈からの雪解け水が地下水路を通じて流れ込むため、このように畑ができたり、緑の木々がはえているのです。
まさに砂漠の中のオアシス!それが上空から見るといっそうよくわかります。
やがて、その緑の畑も途切れ、一段と高い乾いた高原状の台地の上まで来ました。
どうやら地上絵のあるナスカ平原に着いたようです。離陸してからここまでおよそ5分程度です。
でも飛行機で5分といえばけっこうな距離ですね。
わたしは離陸したらすぐに地上絵が見えると思っていたので、あらためてナスカ平原の広さに驚かされました。
ナスカ平原に入ると、まず「線」がたくさん見えてきます。長いものでは30kmにもおよぶ直線がこのナスカ平原に描かれているそうです。線の他にも、「滑走路」のようにも見える「とっても太い線」や、巨大な三角形のような図形もたくさん見えてきました。
おおー、すごい!
ときおり操縦士がヘッドフォンのマイクを通じて説明をしてくれます。その説明を聞きながら、今まさに目の下に広がる奇跡の光景に、息をするのさえ忘れて見入ってしまうのでした。
宇宙飛行士とご対面
ナスカ平原の地表には川のような水が流れた跡がいく筋も見えますが、この砂漠の台地には過去1500年ほど、まとまった雨は降っていません。台地に刻まれた水による浸食の跡は、それ以前のものです。
ナスカ平原に描かれたいくつもの線や、水の侵食跡を見ていたら、前方に小高い丘のようなものが見えてきました。この丘の斜面には有名な「宇宙飛行士」と呼ばれる地上絵があります。そしてこの宇宙飛行士が空港を離陸して最初に目にする地上絵です。さあ、いよいよご対面でです!
セスナ機が近づくと、ヘッドフォンマイクで操縦士が
「うちゅうひこうし」
と日本語で指差しながら教えてくれました。ちなみに宇宙飛行士は英語で言うと「Astronauta」です。
「宇宙飛行士」と呼ばれているその絵は、小高い丘の南斜面に描かれています。ヘルメットのようなものをかぶった胴長のヒトらしき生き物が右手を上げている構図です。ヘルメットのようなものと書きましたが、頭上にかぶるものではなく、潜水士のように顔全体にかぶるタイプのものです。そして口には酸素マスクと見えなくもないようなものが描かれています。
足には長靴のようなものを履いています。とても簡易的に描かれていますが、先入観なしに「これは何の絵でしょうか?」と見せられたとしても、多くの人が「ヘルメットをかぶり宇宙服に身を包んだ宇宙飛行士」と答えるのではないでしょうか。
この絵には他の地上絵と比べて、次のような違いがあります。
- この絵だけナスカ台地の南に他の絵とはかなり離れて存在しています。
- 他の地上絵がだいたい100メートル前後の大きさなのに対して、この絵は20メートルとかなり小振りです。
- 他の絵が平原の地面に描かれているのに対して、この絵だけ岩山の斜面に描かれています。
- ハチドリやコンドル、サル、クモのように人間以外の生き物を描いた絵が大半なのに対して、この絵だけ人間(あるいは宇宙人?)が描かれています。
この絵は一体何を意味しているのでしょうか?
ひとつだけ離れた場所にあること、地面ではなく山の斜面に描かれていること、そして動物や植物ではなく、「ヒト」が対象になっていること、からこの絵には何か特別なメッセージがこめられているように思えてなりません。
さらにこの絵の一番衝撃的なところは、上にあげた手に指が4本しかないというところです。(*地上絵が一番多く密集しているエリアには「手」の地上絵があります。胴体はなく人間の手らしきものが2つ描かれた地上絵ですが、片方の手にははやはり指が4本しかありません)この絵に描かれている宇宙飛行士は地球外生命体なのでしょうか?はっきりした答えはまだ解明されていません。
ナスカの線
宇宙飛行士を過ぎると、いよいよ本格的にナスカ平原に入ります。セスナ機の上から見ても平原の全体像は把握しきれないほどの広さです。確かにこれだけ広い平原に描かれた地上絵は、地上から見ても何が書かれているのかわからないでしょう。そして、眼下にはこれまでとは比べものにならないほど無数の線が見えて来ました。ナスカラインです。
前述したように、日本では「ナスカの地上絵」と言うように「絵」が主役と思われていますが、英語の表記では「絵」ではなく「線」です。「ナスカの線」と呼ぶのがグローバルスタンダードです。実際、ナスカ平原に描かれた絵の数は30ほどですが、線は300本以上書かれているのです。しかも長いものはなんと50kmもの長さがあります。
線の形状も、まさに「線」と呼べる細いものから、幅の広い線(上空からは滑走路のようにも見えます)、三角形、長方形など様々です。三角形と線が交わっていたり、地上絵から伸びた線が、その先で別の線と何かの形を表しているものもあります。
このナスカ平原に無数に引かれた線に関しても、1939年以降、世界中の研究者が多くの仮説を検証してきました。夏至、冬至、秋分秋分、などの太陽が沈む方角を表している、クスコ(インカ帝国の首都で地球のへそと呼ばれていた)の方角を示している、特定の星の動きを表してる、など様々な仮説がたてられています。
しかし現在のところどれも決定的な証拠を示すには至っていません。日本においては、地上絵が書かれた方法や意味に関心が集中し、仮説も多くたてられていますが、実際現地に来て現状を目の当たりにすると、このおびただしい数の線の意味わからなければ、ナスカの謎の核心に迫ることはできないように思います。
地上絵の仕組み
ナスカの地上絵が千年以上にわたり消えずに残ったのには大きな理由があります。それはこの台地には少なくとも過去1500年くらいの間雨がほとんど降っていないことです。そのため特殊な塗料や絵の具など一切使用していない、ただ地面に線を引いただけの絵が残されたのです。また雨が降らない事によって、ヒトがこの地に定住することはありませんでした。そのため村や畑、都市などが作られずにすんだのも大きな「功績」です。
ナスカの地上絵は地面に線を引いただけの単純なもの、と書きましたが、正確には、表面の砂利を取り除くという方法で描かれています。
ナスカ台地は、淡い黄白色の土の上に赤褐色の砂利が覆うという構造になっています。
もともとはひとつの層でしたが、表層の細かい土は、ナスカ平原に吹く南風によて吹き飛ばされ、比較的大粒の砂利が残されました。そして長い年月の間、日中の強烈な太陽光線に照らされるうちに、この表層の砂利や岩石は酸化し赤褐色に変化したのです。
この表層の砂利を取り除くと、下から「日焼けしてない」明るい黄白色の地面が現れます。ナスカの地上絵は、表層の砂利をどけて、地面を見せることで、線や絵を描いてるのです。けっこう単純な仕組みだったんですね。線の幅は20~40cm程度です。表層の砂利や岩石は少しくらいの風では飛ばされないため、長い年月の間、形が崩れることなく地上絵が生き残ったのです。
もし学校の校庭にこどもが線を引いたようなものだったら、仮に雨が降らなかったとしても、1000年以上も地上絵が消えずに残ることはなかったと思います。こうして見てみると、気候や地質、地層、地形など様々な偶然が折り重なって、初めて地上絵は現在まで生き残ってきたことがわかります。地上絵を書いたのが誰なのかは正確にはわかりませんが、それが残ったことは、まさに地球の奇跡ですね。
ナスカの地上絵は1994年12月17日ユネスコの世界遺産に登録されました。
夢見るような地上絵見学フライト
古代の謎とロマンに浸りながら地上絵遊覧飛行は続きます。
宇宙飛行士のあと、イヌ、サル、クモ、コンドルと、テレビでおなじみの地上絵が次から次へと眼下に現れ、興奮もマックス!
まさに地上絵のオンパーレド!ってナスカなんだから当たり前か!
小さい頃から夢見た、謎とロマンの聖地ナスカで、イラストマップに書かれている地上絵をまわり、一番最後に最もナスカ空港から遠くの北西の端にあるハチドリを見て、遊覧飛行は終わりになります。
ところで地上絵フライトでは天候の心配はいりません。なんてったってこれまで1500年も雨が降っていないのですから。もしあなたが地上絵フライトに搭乗したとき雨が降っていやら、それこそ奇跡です!
帰還
さてハチドリを見学したら飛行機はまたぐるっと旋回し今まで来た方角へ引き返します。
これで地上絵フライトは終わりであとはひたすらナスカ平原の上空を飛んで空港に戻るだけです。
しばらく進むと前方に、緑のオアシスが見えてきした。ナスカの町と周辺の畑です。
正面の山の間には世界最大の砂山セロブランコがそびえています。やがて前方下方にナスカ空港の滑走路が見えてきました。
それからわたしたちを乗せたセスナ機はゆっくりと下降し、着陸したのでした。機体が滑走路に停止し、シートベルトをはずして、ドアから外に出ます。
ああ、よかった!
フライト中何度が吐きそうになったのですが、なんとか持ちこたえた達成感?それにナスカの気候はとても空気が乾燥していてそれが狭い機内から外に出ると本当にこのやろ-とうくらい爽やかで気持いいのです。何はともあれ終りました。墜落する事故も何年に一度かの頻度で起こっているので多少の不安はありました。
それでも全部無事終了、地上絵もたくさん見れて、写真もたくさん撮れてよたっかよかったです。最後にパイロットと記念撮影をしてお礼を言って分かれました。
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ナスカの地上絵は何のために書かれたのか?
ナスカ地方には、紀元前900年くらいから紀元後900年ぐらいにかけて様々な文化が開化しました。
このうち「ナスカの地上絵」は、紀元後600年~800年頃に描かれたとされています。
ナチュラルミラドールや「宇宙人の絵」が描かれているナスカ平原南部には、小高い丘がありますが、それ以外は見渡す限りの大平原で、地上に立って眺めるだけでは、それが「サル」や「ハチドリ」の絵だとはとても認識出来ません。
いったい何の目的で、誰がどのように描いたのか?!これまで世界中多くの人々がその謎にとらわれ多くの仮説がたてられました。宇宙人説、空飛ぶ人間説、星座を表すカレンダー説、、等々。
位の高い人が亡くなったときの埋葬方法として、亡骸を気球に載せて空へ飛ばしたという説も提唱されました。そのとき上空から見れるように地上絵を描いたのだと。
近年有力なのは、神殿説です。地上絵に描かれている「線」は、人が歩けるくらいの幅があり、すべて一筆書きで描かれています。
絵の中の線を歩くことで架空の神殿内部を移動することをイメージさせているのです。
実際、宗教的な儀式に使用されたと推測される土器や土器片が、地上絵の周辺から多く見つかっています。
興味深いのはそれらの土器に描かれている絵は地上絵に描かれた動物や植物と一致するということです。地上絵の線を神殿の通路や部屋に見立て、線上を歩きながら、雨乞いなどの儀式をおこなったと考えられているのです。
でも、ここで大きな疑問が残ります。
日本では「ナスカの地上絵」と呼ばれるように「絵」が主役だと思われがちすが、ナスカの大地に描かれているのは、「絵」より「線」のほうが圧倒的に多いのです。そして現地でも、あるいはアメリカやヨーロッパなどの諸外国でも、「地上絵」とは言わず、
「Nazca Lines」>「ナスカの線」
と呼ぶのが一般的なのです。
「絵」ではなく「線」が主役。実際、ナスカに描かれた「絵」の数は30ほどですが、「線」は300以上引かれています。
長いものでは50km以上もの長さがあり、また「道路」やちょっとした「滑走路」のように幅が広いものもたくさんあります。これらの線は一体何を意味するのか?それが解明出来なければいくら「絵」の謎を推測しても無意味のように思われます。
地上絵はどのようにして書かれたのか?
ナスカの地上絵は、地上から見ただけでは何が描かれているのかまったくわかりません。
飛行機が発明され上空から見下ろして初めてナスカ台地に巨大な絵や線がいくも描かれていることがわかったのです。
初めて地上絵を「発見」したのは、ペルー人パイロットのアレッサンドロ・ロメロでした。
ロメロは1938年、金脈を探すためにナスカ上空を旋回していた時、地上1800メートルの地点から「鳥の絵」に気づきました。
では、空を飛ぶ手段を持たなかった古代ナスカの人たちは、いったいどのようにして巨大な地上絵を書いたのでしょうか?1970年代にはテレビの特集番組や少年マンガの記事で、よくナスカの地上絵やUFOに関する話題を取り上げていました。その時点では地球にやってきた宇宙人が書いた、あるいは宇宙人が古代ナスカ人書かせた、という説が主流でした。わたしもその話しを信じ夢中になって番組を見た記憶があります。まあ、ロマンがあっていい話しではありますが、期待とは裏はらにその後は、地球外生命体ではなく古代ナスカ人=地球人が書いたという説が支持されています。
古代のナスカ人が空を飛ばずに地上で書いた方法として、主に次の3つの説が現在では有力です。
1.拡大法
原画を描き上げた上で適当な中心点を取り、そこを起点にして放射状に原画の各点を相似拡大する方法。地上絵の端にあった杭の存在や、地上絵の縮小図の発見などから、この拡大説の正当性が評価されています。九州産業大学工学部の諫見泰彦准教授はこの拡大法を参考に、日本の小学校で児童によるナスカの地上絵の再現実験を20回以上成功させました。この研究成果により、日本の小学生程度の算数の知識があれば、地上絵の描画は可能であることが証明されたのです。
ちなみにナスカの地上絵を題材にしたこの実験的学習プログラムは、算数の「比例」と測量技術のつながりを体験的に学べることが評価され、独立行政法人科学技術振興機構の地域科学技術理解増進活動推進事業に採択されて、全国各地の小学校・科学館等で実施されています。
2.目視描画法
ナスカ地域では、畑に種をまくとき農民たちは道具を使わず全員が横1列に並んで足並みをそろえて前進します。そして目視でお互いの距離を測りながら種まき作業をおこないます。現代のナスカでもこの方法によって地上絵が描かれていることを知り、山形大学の坂井正人教授は2008年夏、ナスカ地方を訪れ実験と確認をおこないました。その結果、種まきをするときの方法でお互いの距離を測りながら地上絵を描く目視描画法の有効性を実証しました。
また坂井教授は、2009年秋に、山形県天童市立天童中部小学校の6年生児童と保護者、及び山形大学の学生などの協力で、およそ20メートル四方の将棋の駒やサクランボ、さらに原寸大のハチドリの地上絵(全長約100m)も校庭に再現することに成功しています。
3.特殊能力法
優れた空間認識能力を持った人物なら、上記のような方法に頼らずとも地面に巨大な絵を書く事が可能だったのではないか?とわたしは考えます。Jリーガーであり元日本代表の中村俊輔選手は、サッカーコートの中のどこに味方や敵のプレーヤーがいるのかまるで上空から眺めているかのようにパスを出したりドリブル突破をしたりすることから、全盛期には「鳥の目」を持つプレーヤーだと讃えられていました。古代ナスカにも中村選手のように極めて空間認識能力が発達した人物がいたとしても不思議ではありません。
地上絵が描かれたのは約700年くらいの期間だと推測されていますが、その長い時間の中で、100年に1人とか200年、300年に1人のような天才が現れたとしてもおかしな話しではないと思います。そもそも地上絵の大きさは例えば最も大きい部類に入る「サギ」で280mです。ただしくちばしに相当する部分が非常に細長いだけで、胴体の部分は、そんな特殊能力がなくてもすこし練習すれば書ける程度の大きさではないかと思います。
他の地上絵にしても細長いパーツの組み合わせですから、同じように普通の人でもちょっと練習すれば書けたのではないでしょうか?
超巨大な地上絵
ただし、そうは言っても長さが数十kmもあるような直線や、巨大な三角形の頂点を合わせるといったことは、やはり、特殊能力のあるなしにかかわらず、上記で説明した拡大法や目視描画法でも不可能だったのではないかと思います。
さらに、近年、今までに発見されていた地上絵をはるかに上回る超巨大な地上絵が、アメリカ米航空宇宙局(NASA)が打ち上げた資源探査衛星・ランドサットによって発見されました。
ナスカ上空900kmから撮影された衛星写真によると、その地上絵は全長50kmに及びます。
左右対称の「矢印」模様の図形と、その矢印が真南の方角を指していることから、自然に出来るものではない事が明らかになりました。いくらなんでもここまで巨大になると、特殊能力や、拡大法、目視描画で何とかなるものではありません。
何の目的で描かれたのか?
百歩譲って、それでも何らかの方法で空を飛ばずに古代ナスカ人が地上絵を書いたとしても、それは一体何のためですか?というさらなる疑問が浮び上がります。
拡大法なり特殊能力で書いたとしても、空を飛べなければ誰もそれを見ることはできません。
書いた本人ですらいったいどれほどの出来映えだったのか確認するすべがないのです。
結果を検証する手段がない中で、いったいこれらの地上絵は何のために書かれたのでしょうか?1939年に、一番最初に地上絵を研究したロングアイランド大学歴史学者・ポールコソック博士以来、多くの研究者が、様々な説を発表しています。
次にその主なものを見て行きましょう。
暦法関連説
雨期や乾期の始まり、終わりを知ることは、古代の農業において大変重要なことでした。
ナスカ平原に描かれた多数の線や絵は、夏至や冬至、秋分春分の日没方向を知らせる等、カレンダーのような役割を果たしたという説です。
公共事業説
地上絵作成という仕事を住民に割り振り、住民は生活に必要な賃金を得る公共事業説。
官僚登用試験説
地上絵の線を歩かせ、何が描かれているかを答える試験のために作成されたという説。
雨乞い儀式説
降水量の少ないナスカ地方では雨乞いは重要な儀式であったと推測されます。地上絵はその儀式のために作られたという説が雨乞い儀式説です。
線の周辺からは、儀式に使用されたと思われる無数の土器の破片が見つかっています。
鳥人説
古代のナスカ人たちは「鳥船」という乗り物で空を飛ぶ事ができた、という仮説です。鳥船の交通標識として地上絵が描かれたのではないかとする説が鳥人説です。高度によって地上絵や線の見え方が異なることがこの説の有力な物証となっています。
空葬説
鳥人説と重なりますが、位の高い人を埋葬する方法として地上絵が必要だったとする説。ガスで膨らませた気球に亡骸を乗せ空へ飛ばし、上空から見えるように地上絵を書いたとするのが空葬説です。
国際探検協会のジム・ウッドマンはアメリカ・サウスダコタ州シォーフォールズに本社を置くラーヴェン社の協力を得て、ナスカ文明の時代に存在していた素材と技術だけを使い、熱気球を作り上げました。
そして1975年、当時の熱気球乗り世界チャンピオンのジュリアン・ノットと、その気球でナスカ台地の上空を飛ぶ事に成功しました。
このフライト実験ではナスカ文明の首都とされるカワチ遺跡から離陸し、上空130mの高さまで飛ぶ事に成功しています。
これによって古代ナスカ人は気球に乗って空を飛んでいた可能性が実証されました。そして地上絵は気球によって上空から見て楽しむためのもの、あるいは気球の航路などを示唆していたのではないかという仮説などがたてられましたが、最も有力な気球の利用方法が空葬説です。しかし、地上絵は現存していても、気球やそれを作る為の施設は残骸すら発見されておらずあくまでも仮説の域を出ていません。
宇宙人説
古代に地球に来ていた宇宙人が書いた、あるいは古代ナスカ人に書かせたとする説。
エーリッヒ・フォン・デニケンが1968年に発行した「神々の戦車」という著書で主張して以来、多くの反響を呼びました。
その後の様々な検証実験によって、この説は長い時間、多くの人々の心の中だけに封印されてきましたが、前述したように、NASA(アメリカ航空宇宙局)の観測衛星ランドサットが、全長50kmに及ぶ超巨大な矢印型の図形を発見したことによって、再び脚光を浴びるようになっています。
代表的な地上絵
ハチドリ 英語:Humming Bird
全長約80m。アンデスの一部地方では豊かさを象徴する神の使者と位置付けされている。また、くちばしの方向は12月21日の夏至の日の出の方向に一致していると言われており、地上絵が当時のナスカ人のカレンダーであったという説を裏付けるものであるとして、しばし取り上げられている。地上絵の中では保存状態の良い絵のひとつである。
クモ 英語:Spider
全長約46m。クモが現れると近く雨が降ると言われていることから、水信仰に関わりのあるものだと考えられている。あるいはジャングル地方のクモを表現したものだとも言われている。
コンドル 英語:Condor
全長約135m。アンデス信仰では山の神として知られている。
地上絵の中では、保存状態が良く見やすいものになっている。
イヌ 英語:Dog
全長約50m。ペルーの神話学上ではイヌは死者の魂を運ぶものと考えられている。ペルー原産のPerro Chino(ペロ・チノ=インカ犬)を表現していると言われている。
地上絵写真撮影のコツ
ナスカの地上絵を上手に写真におさめるためにはちょっとした工夫が必要です。
せっかくはるばる地球のウラ側のペルーまで行って、一生に一度あるかないかの「ナスカの地上絵」とのご対面ですから、みなさん、満足のいく素晴らしい写真を撮影したいと思われている事でしょう。
でも中には
「へん、写真撮るくらい何でもないさ、わざわざアドバイスを聞くまでもありません、この項は必要ないから飛ばしちゃえぇ~~」と思っている方もいらっしゃかもしれません。
実はわたしもナスカへ行く前はそう思ってました。テレビで見る映像のような写真を撮るなんてわけないことだと。
ところが実際現地に行ってセスナ機に乗り上空から眺めると、ずいぶん勝手が違うんです。それは写真撮影の技術うんぬんではなく、現地に行ってセスナ機に乗って初めてわかる違和感、、、アウェー感、疎外感? ともいいましょうか。
とにかく写真好きなみなさんが普段撮っているような状況とは異なる環境なんです。
おそらくそれはほとんどの方が初めて体験する特殊な「コンディション」だと思います。
その完全アウェー状況的な、現地でしかわからない勝手の違う想定外のコンデションをあらかじめ理解しておかないと、せっかく意気揚々とナスカへ乗り込んでも、こんなはずじゃなかったーー(><)と後悔することにもなりかねません。
ここではガイドブックや旅行雑誌、テレビ番組などではまず取りあげることのない、極秘情報、ナスカ地上絵の写真撮影に必要な心構え「えぇ~~ナスカってこんなコンデションなのぉ~~」想定外を想定内に変える心の準備スペシャル!をお届けしたいと思います。
写真撮影を阻むもの1~スピード
ナスカの地上絵の観光はセスナ機に乗っておこなわれます。当然、空を飛んでいるセスナ機の窓ごしに地上絵を観てそれを写真におさめるわけです。セスナ機に乗っているわけですからある程度のスピードは覚悟していても、実際に、飛んでいる飛行機の中から地上の被写体を撮影した経験がある方は多くはないでしょう。もちろん上空から眺めていますので、新幹線に乗って線路脇の電柱が目の前をびゅっと一瞬で過ぎ去るようなスピードではありませんが、地上絵が見えてきて「どれどれ、アレか、よし、じゃあ、構図はこんなんでがいいかな」というほど悠長にしていたらシャッターチャンスを逃してしまいかねないくらいのスピードは十分あります。
でもまあ、そうは言っても悪条件が「セスナ機のスピード」だけなら、それほど問題はないでしょう。
ナスカの写真撮影が「想定外の難コンディション」になるのは、これからお話する他の悪条件が重なるからなんです。それぞれひとつひとつは大きな問題ではありませんが、複合的に重なることで、「こんなんじゃなかった!話しが違う!」と期待していた出来映えの写真が撮れず泣き寝入りになってしまうのです。
写真撮影を阻むもの2~不鮮明
ナスカの地上絵はいつも鮮明に見えるものではありません。そりゃそうでしょ、ペンキや蛍光塗料でくっきりはっきりラインを引いたのではなく、地表のじゃりをどけただけの単純な構造なんですから、それも1000年以上も前に。
もしネットや雑誌で「鮮明な」ナスカの地上絵をあなたが見た事があるのなら、それは「修正」されている可能性が大きいと思います。あるいはよっぽど空気がすっきりとクリアになった奇跡的な気象条件の日に撮影されたものかもしれません。
あなたがよっぽど「持っている人」でないと、たまたま一回行ったナスカで、そこまでクリアなお天気に巡り会う事は難しいでしょう。もやがかかっていたり霧が発生していたりする中で、あるいはセスナ機の角度によっては逆光になる中で、時速400kmで飛んでいるあなたの座席から、鮮明な地上絵をとらえることは、想像以上に難しいと理解しておきましょう。
写真撮影を阻むもの3~先入観
想定外の難コンディションを生む要因の中で、一番やっかないものが「先入観」です。
ナスカまで行くわけですから、あなたも一度はテレビや雑誌ででナスカの地上絵を見たことがあると思います。テレビ画面、、最近は大画面のフルハイビジョンですね、そこに、画面の縁いっぱいに映し出される高解像度の地上絵、画像も鮮明で素晴らしいですよね。
やっかいなのはこのテレビ画面いっぱいに映し出される地上絵の映像なんです。
「地上絵は画面いっぱいにどかーんと大迫力で見える」
という先入観こそ、あなたの写真を台無しにしてまう悪の根源です。いかに地上絵が巨大と言っても、高度1000メートルの空の上から見たら、「なんじゃそりゃ」という程度の大きさにしか見えません。人や車にいたってはゴミつぶくらいにしか見えません。
それが「地上絵は画面いっぱいにどかーん」という先入観があるため、セスナ機の窓いっぱいにどかーんと現れるという期待というか想定をしているんです。
ですから地上絵が近づいてきてパイロッロが「サルです」と教えてくれても、まずは画面いっぱい、窓いっぱいに見える姿を予想するのでなかなか本物が見つけられません。
ましてやちょっともやがかかっているような天候ならなおさらでしょう。
そして地上絵によってはそもそもラインが鮮明でないものもあります(鮮明でないもののほうが多い)。「え?どこどこ??」と窓の下を見て探しているうちに、セスナ機はびゅーんと飛び去ってしまう、ということになりかねません。まずは「地上絵は画面いっぱい、窓いっぱいにドカーン」という先入観を捨てて臨むことが重要な対策です。
写真撮影を阻むもの4~ふれぶれ
ここまでは、写真撮影を拒むものとして、地上絵の見つけかたに関するポイントをお話してきました。ここまでのポイントを頭にインプットしておけば「こんなはずじゃなかった」ととまどう状況に陥るリスクは少なくなり、素早く地上絵を見つけて、余裕をもって写真撮影に取り組めるはずです。
ところがいかに素早く地上絵を見つけてカメラを構えることができたとしても、その先に古代ナスカ人はさらなるトラップを仕掛けていたのです。怖ぇ~~、古代ナスカ人、いや宇宙人か(笑)。
さらなるトラップ、それはセスナ機の揺れです。
どれくらい揺れるか?、というのはその日の気象条件によるので、何とも言えません。わたしたちが搭乗した日は、むしろ揺れが少なかったほうだと思います。ですがセスナ機というのは本来、エンジンの振動が伝わりやすく、座席が小刻みにごとごとと振動するのです。そうするといかにあなたのカメラに「手ぶれ補正機能」が備わっていても、あなた自身が振動しているのですから、ピントを合わせるのは容易なことではありません。
そこにもってきて地上絵が近づくとセスナ機は片側に傾いて旋回します。このときがくんと大きく揺れます。そこに気象条件の悪い日なら、地上からの上昇気流が加わって、ちょっとしたプチ乱気流のように暴れることもあるでしょう。もはやそうなると手ぶれどころではありません。
先入観を払拭し、素早く地上絵を見つけて撮影体勢に入れても、エンジン振動の揺れ+旋回による揺れ+気象条件による揺れの大揺れ3波に遭遇するなかで、はたして絶妙のシャッターチャンスを捉える事ができるでしょうか?
写真撮影を阻むもの5~最大の難敵・乗り物酔い
さて、ここまでお話して地上絵撮影がいかに難しいかがおわかりいただけたと思います。
でもこれだけではありません。と言うか、これからお話しすることに比べたら今までのトラップなんてほんのお遊びです。これから先の説明を聞いたら、あなたは絶望感のあまり泣き崩れるかもしれません。それでも満足のいく素晴らしい写真を撮りたいとおっしゃるなら、わたしもあえて心を鬼にして、「最大の難敵」をお伝えしましょう。
上の写真はナスカの地上絵の中でも「代表作」と言われるハチドリを写したものです。
これをご覧になってどう思われますか?
「なんじゃこりゃー??ハチドリどこ??」
と思われたのではないでしょうか。ご指摘ごもっともです。でも、これが精一杯の撮影でした。
ハチドリは、多くの遊覧フライトで一番最後に出会う地上絵です。それはこの絵がナスカ空港から最も遠い場所にあるからです。地上絵フライトが初めてのわたしたちでも、このハチドリに出会うまでに、いくつかの他の地上絵を見てきたので、写真撮影のコツがわかってきていました。今まで上記で説明してきたようなことですね。そしてもう完全にコツがわかったから、
「最後のハチドリは気合いを入れて撮ってやるぞぉー」
と余裕の笑みすら見せ意気込んでいたのです。
それでも上記のような、ふがいない写真しか撮れなかったのはどういわけか?
それは地上絵フライト最大の難敵「飛行機酔い」に希望を断たれたからです。
今までお話してきたように地上絵遊覧飛行のセスナ機はそこそこ揺れます。それに加えて地上絵の上空を通るたびに旋回するのです。それも左右どちらの座席の人にも公平になるように、1つの地上絵に対して両側から旋回します。この旋回がやっかいで、相当乗りに強い人でも気分が悪くなってしまうと思います。旋回するときはがくんと機体がななめに傾き、身体全体に強いGがかかったような状態のままぐるーっと回ります。
ジェットコースターが猛スピードで落下しながら旋回するような感じです。旋回してなくても気持悪くなるのに、鮮明でなく、先入観より小さい地上絵をシャッターにおさめようとレンズを覗き込んで凝視していれば、たいていの人は飛行機酔いの状態になってしまうでしょう。
でもファインダーを凝視しなければ一瞬のシャッターを捉えられません。
そして最後のハチドリとのご対面のときは、撮影のコツは分かっていてもカメラをのぞくだけで気持悪くてげろ吐きそう!という状態になっていて、もう撮影どころではなくなってしまうのです。
正直申し上げると、このハチドリのときはいつ吐いてもおかしくない状態で、
も~早く終ってくれ!
と祈るような気持で地上絵を眺めていました。今にして思えばよくそんな状態で、仮にも写真が撮れたと感心すらします。自分を褒めてあげたい。
地上絵写真撮影を上手におこなうコツのまとめ
というわけでここまでをまとめますと
地上絵は
- 気象条件によってははっきり見えない
- 先入観ほど大きくはない
- ラインが鮮明でない
のに
- シャッターチャンスはほんの数十秒しかないというスピードで飛んでいるセスナ機内から撮影しなければならいない
- さらにそのセスナ機自体が、エンジン振動、旋回、気象条件、で揺れる激しい手ぶれ状態なのでシャッターを構えてファインダーをものすごく真剣に集中して覗いても、めったに絶好のシャッターチャンスは訪れない
- しかも真剣に覗けば覗くほど乗り物酔いします。
ということです。
どうでしょう、ナスカ地上絵の写真撮影がいかに難しいものであるかがおわかりいただけましたでしょうか?
対策としては次の3つが考えられます。
- 乗り物酔い止めクスリを飲む
- 写真撮影を交代しながらおこなう
- ビデオモードで撮影する
終わりに
謎とロマンに包まれたナスカの地上絵は、古代遺跡や未知なるものに対する好奇心を掻き立て旅育の効果も期待できる子連れにもおすすめの旅行先です。
見学方法はリマからフライトで日帰りする方法と、陸路ナスカまで行く方法がありますが、せっかくの機会なので時間と苦労が余分にかかっても陸路での観光にチャレンジしてみてください。
写真撮影は意外と大変ですがこの記事で紹介した方法ならきっと素敵な写真が撮れますよ。
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それではまた世界のどこかでお会いしましょう、笑顔あふれる良いご旅行を!
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