ナスカを目指して砂漠を7時間走るペルーハイウェイバス乗車体験

2019年3月31日

ペルーハイウェイバスの旅

ミラフローレス地区

クルス・デル・スル社のバスターミナルを出発し10分くらい走ると、車窓に近代的な高層ビルが立ち並んでいるのが見えてきました。リマ旧市街の南部に広がる新市街「ミラフローレス地区」です。

海沿に高層ホテルやマンション、ショッピングモールが整然と立ち並ぶ、近代的なエリアです。その高層ビル街もやがて後方に消え、住宅街がしばらく続いたあとは、荒涼とした砂漠の景色になりました。

ペルーの太平洋岸は、1年を通してほとんど雨の降らない「コスタ」と呼ばれる海岸砂漠地帯です。この砂漠地帯の幅はおそよ30~50km、長さは日本列島に匹敵するおよそ3000kmもあり、リマとナスカをつなぐパンアメリカンハイウェイは、この砂漠の中を南北に縦断しているのです。ペルーのバスは、崖からの転落や、大雨による土砂崩れ、河川の氾濫などでたびたび遅延が起きていますが、この砂漠地帯なら、土砂崩れも、洪水も、まったく心配いりません。

リマを抜けてしばらくは砂漠の珍しい風景に見入っていましたが、さすがに、日本からの長旅に加えて、昨夜は深夜に到着、そして今朝は5時半すぎに起床、というハードスケジュールのため、強烈な睡魔が襲ってきました。黒皮のシートに身を預け、窓の外を流れる砂漠の景色を見ながらいつの間にかうとうとと眠りに落ちていきました。

バスの朝食

目が覚めたのは、バスの乗務員が朝食を配っているときでした。

「ああ、なんだ、朝食が出るのか」

それを知っていたらシェラトンホテルでの朝食バイキングは食べなかった、なんてことは絶対ないよな、などと思いながら、配られた朝食をちらっと見たらサンドイッチとジュースでした。飛行機の機内食の朝食のような感じでした。でもあまりの眠気のために、そのサンドイッチに手を伸ばすこともなく、すぐにまた寝入ってしまうのでした。

バスの2階席の様子

 バスの2階席の様子

私たちは2等席

次に目覚めたのは、わたしのすぐ後ろの席で子どもたちが大笑いをしているその笑い声を聞いたときです。こどもたちはバスに乗るやすぐにスイッチがきれたロボットのように眠っていたのですが、わたしやママより先に起きたみたいです。いったい何をそんなに笑っているのか確かめようとシートから身体を起こすと、すぐその理由がわかりました。

バスの前方に設置されたスクリーンで、「トムとジェリー」を放映していたのです。

「いつから見てるの?」

「うん、今始まったばかりだけと、さっきまで別の映画をやっていた」

どうやらこの長距離バスでは、飛行機のように映画やニュースを上映するようです。さすがに各シート毎にテレビモニターが付いているパーソナルテレビではありませんが、ちょっと前までの飛行機なら、こんな感じで、スクリーンに映し出される映画やアニメを見ていたな、と思い出しました。クルス・デル・スル社の長距離バスは、2階建てになっていて、どうやらわたしたちの2階は2等席のようです。ゆったりした黒い皮張りのシート、水平に近いくらい倒れるリクライニング、など豪華な仕様はてっきり1等席だと思っていましたが、1等席は1階のようです。

2等でこれだけ豪華なら1等はいったいどれだけなんだ、と思いましたが、このときはまだ知らなかったので、じっくり比較観察したり、写真を撮影することはありませんでした。

砂漠の中を進む

リマを出ると砂漠が広がっています

パラカスバスセンター

さて、順調にパンアメリカンハイウェイを南へ走ってきたバスですが、リマを出発して、3時間半くらい経ったところで、左折してハイウェイを降りました。そのまま左折した道路を一直線に西、つまり海の方へ進みます。いったいどこへ行くんだろう?と思っていたら、前方に海が見てきました。南半球の大平洋です。砂漠地帯にいきなり現れた海は、荒涼としていてどこか北極圏の海のような感じでもあります。道路の突き当たりには、小さな公園が整備されていて、その一角にバス亭がありました。

竹のような木材とゴザのようなもので作られたそのバスターミナルは、日本の海の家にどこか似ていてなつかしく感じました。その建物の中にはたくさの人がいて、「わーこんなに乗ってくるんだ」と思ったのですが、実際、ここから乗車してくる人はいませんでした。そのかわり、4~5名の乗客がここでバスを降りました。ここは、パラカスというパラカス半島の付け根に開けたリゾートタウンです。

パラカスのバスセンター

パラカスのバスセンター

沖合には、野生のアシカや海鳥、ペンギンなどが生息する「バジェスタ島」があります。「リトルガラパゴス」と賞賛されるバジェスタ島はペルーの隠れた人気観光地で、近年では日本からこの島を訪れる観光客も増えています。パラカスは、ビーチ沿いにリゾートホテルやショップ、レストランなどが立ち並び、まさにバジェスタ島観光のベースタウンと言うべき町です。

パラカス観光のアドバイス

パラカスは現地のケチュア語で「砂の雨」を意味する港町です。ピスコから22km、リマからは261km南に位置し、「リトルガラパゴス」と讃えられる野生動物の楽園、バジェスタ島観光のベースタウンとして開発が進んでいます。気候は、砂漠性亜熱帯性気候で年間の降雨量が5mmしかなく、夏の最高気温は30℃にも達します。その一方、6月から9月までの冬は最低気温が10℃まで下がる典型的な砂漠地域の気候です。

ペルー独立に貢献したアルゼンチンのサン・マルティン将軍がペルーに上陸した地でもあり、彼にデザインされたペルーの国旗は、パラカスに生息するフラミンゴの赤と白を基調にしたとされています。海沿いにはリゾートホテルやレストラン、ショップが立ち並び、とても華やかな雰囲気です。

バジェスタ島へはエル・チャコ港からボートでおよそ30分の距離です。

パラカス半島の北側にある「カンデラブロ遺跡」は、バジェスタ島へ行く途中、ボート上から観光するのが一般的です。カンデラブロ遺跡は一見すると砂丘に描かれた地上絵のように見えますが、実際は岩盤に刻まれた巨大彫刻です。

パラカスの北およそ22kmにあるピスコ空港からナスカ地上絵を見るフライトとセットにすれば、リマから日帰りで、ナスカ地上絵とバジェスタ島を観光することも可能です。ただしかなりハードです。

パラカスにはエコノミークラスからラグジュアリークラスまで様々なタイプのホテルがあります。ナスカやイカより、ホテルの種類も数も断然多いです。ナスカの地上絵観光をする場合も、ビーチリゾートであるパラカスを起点におこなうプランも魅力的ですよ。

パラカスからナスカへはバスで片道3時間半です。パラカスで1泊し、バジェスタ島観光とナスカ地上絵観光を組み合わせることが可能です。しかも宿泊はパラカスのビーチホテル!

パラカスの海とバスセンター

 パラカスの海とバスセンター

砂漠のオアシス・イカに到着

海の家のようなパラカスのバスターミナルを出発すると、今やってきた道を走り、パンアメリカンハイウェイへ戻ります。そしてハイウェイまで戻ったら、さきほどまでの続きのように、ふたたび南を目指して進むのでした。

パラカスを出発した後、さらに1時間くらい走ると、砂漠の中に町が見えてきました。

イカです。タコではありません(><)。。。ごめんなさい。

イカはリマの南約308km、荒涼と広がる砂漠の真ん中にこつ然と姿を現すオアシス都市です。遠くアンデス山脈から流れて来た地下水が、このあたりで地上に沸き出し、砂漠の中にオアシスを作り出しているのです。イカの市街地のすぐ西側には巨大な砂の山があります。ここでは4WDバギーカーで砂山を駆け上ったり、急降下するアクティビティが大人気とのことです。またイカの西およそ5kmのところに、ワカチナというオアシスリゾートがあります。

ナスカの地上絵を観察するフライトは、このイカや、先ほど立ち寄ったパラカスの隣にあるピスコの空港から出発することも多くあります。イカからナスカへはバスでさらに2時間近くかかりますが、ここから飛行機に乗ってしまえば、時間を節約して地上絵フライトを楽しむことができるからです。でもここまで来てナスカの土地を踏まないのはなんか中途半端な気がします。

バスはイカの町に入って、まず海側のホテルの前で停車しました。ここでは誰も降りませんでしたが、4~5名の乗客が新たに乗ってきました。ぼ~っとしていたのでホテルの名前は忘れてしまいましたが、リマ~ナスカの路線バスがわざわざ停車するくらいですから、由緒あるホテルなんでしょう。見た感じも立派なリゾートホテル風ホテルでした。ってなんじゃそりゃぁ~~!

そのあと来た道を引き返し、パンアメリカンハイウェイに合流したあと、少しイカの町中を走ったと思ったら、大きなイスラムモスクのような教会が見える手前で今度は左折しました。そして左折してすぐのところにあるバスセンターで停車しました。バスが止まると運転手さんはエンジンを切ってさっさとバスから降りて行きました。きっと少しこのバスセンターで休憩するんだろうと思い、わたしたちもバスから降りて、外の空気を吸う事にしました。

地面に降りてぐっと背伸びをすると、いい気分転換転換になります。リマを出発してここまでおよそ5時間弱、そしてここからナスカまであと2~2時間半です。その意味でもイカはちょうどいい休憩ポイントと言えるでしょう。バスセンターのまわりは、車も通行人も多く、道路の両側には、お店も並んでいます。きっとイカの中心地に近いのだと思います。

「ああ、あとちょっとだね、ナスカまで」

砂漠の乾燥した空気はとても爽やかで湿気の多い夏の日本からきた我々には、快適です。

「そろそろバスに戻ったほがいんじゃない?」

心配そうにママが言います。

わたしとママには途中下車に関するある「事件」がトラウマとなっているのです。

イカの町

イカの町

真冬の小樽でやらかした話

それはまだ子どもたちがいない頃に行った北海道スキー旅行での出来事です。ニセコから札幌に戻る途中、わたしたちを乗せたリゾート列車「ニセコエクスプレス」は小樽の駅でちょっとだけ停車しました。

「おお、ここが有名な小樽か」

「せっかくだからホームに出て写真を撮ろうよ」

ちょっと写真を撮りに、急いで電車からホームに降りました。すぐ終らせるつもりだったので、上着を着ないで出たのですが、2月という真冬のしかも夕刻の小樽の気温は耳が凍るほど低く、凄まじいものがありました。北海道へ行かれたことのある人ならおわかりでしょうが、電車の中やホテルなど建物の中は真冬でも、暑いくらいに暖房が効いています。それこそ半袖のシャツでも十分なくらいに。その一方外はマイナス10度とか15度の寒さです。

わたしたちもニセコエクスプレスの中があまりにも暖かかったので、うっかり上着を着ずに、シャツだけの格好で外に出たのですが、すぐに猛烈な寒さに襲われて「あ、これはいかん」と後悔したのです。

「おおー、すげぇー寒い!、さっさと写真を撮って車内に戻ろう」

ホームに降りたら「小樽」と表示された看板の前で2~3枚、それからニセコエクスプレスとのツーショット写真を撮りました。

「かっこいいね、ニセコエクスプレス、走ってる姿もまた絵になるぞ、って、おい!走ってる!

そうです、発車ベルもアナウンスもないまま、いつの間にかニセコエクスプレスのドアが閉まり、ホームを滑るように動き出し、だんだん加速しているのです。おいおい、ちょっと待って!やばいよ、これは。わたしたちは上着がなくてもう今にも凍えそうな状態、しかもよく考えたらサイフや旅行のチケットなど貴重品もみんな車内の座席に置いたままでした!夕暮れの小樽駅のホームに立ちすくむわたしたちの目の前をニセコエクプレスは徐々にスピードをあげて走り過ぎてゆきます。

最後部車両がわたしたちの前を過ぎる頃にはかなりのスピードが出ていて、あっという間に通り過ぎ、線路の向うに小さくなっていきます。

ああ、どうしよう、寒いし、、、

途方に暮れていると、小さくなっていくニセコエクスプレスが、どんどん遠ざかって、やがて姿が見えなくなるはずなのに、いつまでも消えません、

それどころか逆に大きくなっているように感じます。

「え、なんかこっちに戻って来てない?」

そうです!ホームを過ぎて少し走ったところで急停止し、そこからバックで駅に戻ってきているのです。そうして唖然と立ちすくむわたしたちの前まで戻ると再び停止して、静かにドアが開きました。いったい何が起きたんだかわからないまま、とりあえず車内に入りました。するとすぐにドアが閉まり、また札幌へ向けてゆっくりと動き始めたのです。

「、、、なんかしらないけど、セーフだよね。これ?」

「きっと誰かが私達に気付いて戻って来てくれたんだよ」

いやーーよかった、よかった、わはは、本当に助かった!

それにしてもあっぶねぇ~~、真冬の夕暮れの小樽で上着なしで、もう少しで凍え死ぬところだった!

でも「いかにも助かりました」と嬉しそうに座席に戻ったら、他の乗客に「あの人たちのせいで、今小樽駅までバックしたんじゃないか?」とばれてしまうので、しばらくはドア付近の通路に立って、ほとぼりが覚めるのを待ちました。

後で分かったのですが、ニセコエクスプレスの最後尾に乗ってい車掌さんが、ホームに取り残されたわたしたちに気付いて、運転手に連絡して、逆戻りしてくれたようです。ニセコ駅で乗車する前に写真を撮ったりして車掌さんと少し話したりしたのがここで効いたんですね。

人には親切にするもんです。

イカの町

実はナポリでもやらかした

って、あれ?いったい何の話しでしたっけ?そうそう。このようにバスをちょろっとおりて、いつの間にか発車しちゃったら大変、という話しでした。もしわたしたちに気付かず出発しても、まさかこのペルーでバックして助けに戻ってくれたりすることはないでしょうから。

そう言えば、ナポリからシチリアへ渡るフェリーでも同じようなことがありましたね。これも大ピンチでした(><)。こちらの大ピンチ!エピソードはシチリア子連れ旅行記の「ナポリ湾サンセットクルーズ」で紹介しているので、よかったら見てください。

さて、話しが完全に脇道へそれてしまいましたが、運転手さんがバスに戻ってきて、再びエンジンをかけ出発します。バスターミナルから、大通りへ出て、パンアメリカンハイウェイを南下、イカの町を抜けると、また砂漠が広がる景色になります。ここからナスカまであと2時間半くらい。もうちょっとだね、地上絵に遭えるまで。

ついにナスカまで来た

ナスカ平原

ナスカ平原の景色

イカを出発してしばらくしてまた眠っていましたが、再び目が覚めると、バスは少し山岳地帯のような場所を走っていました。相変わらず周囲には緑はなく、砂漠であることにかわりはありません。砂漠の山岳地帯です。ナスカは標高600メートルの台地の上にあるので、こうして道が登っていくのでしょう。

このあたりは、過去1200年近く雨が降っていないそうです。だから、地上に線を引いただけの地上絵が今でも残っているのです。広大なナスカ平原の砂漠の中を進むと、前方に緑の盆地のような場所が見えてきました。どうやらあれが目的地のナスカの町のようです。

とうとう到着です!

では、そろそろ降りる準備を始めましょう♪

ナスカに到着

ナスカに到着

荒涼とした砂漠の中をひたすら南へ走ってきたパンアメリカンハイウェイは、地上絵のあるナスカ平原から少し下った盆地のような場所で、緑のオアシスと出会います。坂を下る直線コースの途中にある「ようこそ!ナスカへ」と書かれた赤いゲートくぐり、低層の建物が格子状の道路沿いに並ぶナスカの町を少し走ったら、すぐクルス・デル・スル社、のバスセンターがありました。

ナスカは言わずと知れた世界遺産に登録されている「ナスカの地上絵」がある町です。ペルーの首都リマの444km、イカから約141km南にあり、標高620mのナスカ台地に位置します。あたりは年間を通じほとんど雨の降らない乾いた砂漠地帯ですが、アンデス山脈から流れてくる地下水が沸き出し、砂漠の中に緑豊かなオアシスを形成しています。

「ナスカ」という町名は世界的に有名ですが、その知名度とはうらはらに人口僅か3万人の、拍子抜けするくらい小さく素朴な町です。町には近代的な高層ビルやショッピングモールなどなく、大規模なホテルもありません。大半の観光客は、地上絵だけ見たらさっさと立ち去るか、リマやピスコから遊覧飛行でやって来てナスカの町に降り立つ事もなく通り過ぎて行きます。そのことが、意外にもこんな有名な場所で「素顔のペルー」にふれることができる理由です。

ナスカのバスセンターに到着

ナスカのバスセンターに到着しました

ナスカバスセンター

通りから見たバスセンターの建物

ナスカへの行き方と所要時間

ナスカへ行くには、一般的にバスを利用します。個人手配で人数が多いときは専用車の手配も可能です。

リマから

クルス・デル・スル社、オルメーニョ社、シバ社、などが毎日数便を運行、所要時間は片道6~7時間です。

料金はs./40~110。パラカス、イカを経由。わたしたちのように手配旅行の移動部分をバス利用という方法もあります。

アキレバから

所要時間およそ9時間、料金はs./30~85。

リマ、パラカス、イカ、ナスカ、アキレバはいずれも、海岸の砂漠地帯を走るので、天候や土砂崩れ、河川の氾濫などによる運行への影響はありません。

クスコから

所要時間およそ13時間、かなりの悪路、時期によっては運行されません。

飛行機利用

ナスカには空港がありますが、他地域からの定期便は就航していません。地上絵観光フライトのセスナのみ利用する空港です。

パラカスやピスコ、リマの空港発でナスカの地上絵を観光するフライト/ツアーもあります。ただしナスカの地面には降り立ちません。

ツアー利用

リマ、パラカス発のツアーを利用しナスカへ行く方法もあります。バジェスタ島とナスカ地上絵をセットで観光する内容で、最短ではリマからの日帰りパックも用意されています。通常は1泊2日程度の旅程です。

 

ペルーハイライトツアーのようなパッケージツアーでは、リマから専用車で往復しナスカで1泊するパターンと、リマから飛行機で往復し、ナスカには降りないパターンがあります。

ナスカの現地ガイドと送迎車

 現地を案内してくれるロサさんと送迎車

ロサさんのお出迎え

バスセンターに到着しバスを降りるととすぐ1人の女性が近づいてきました。

「イルカさんですね、よこそナスカへ。長旅お疲れさまでした」

今日と明日の2日間、ナスカでガイドをしてくれるロサさんでした。

「こんにちは、こちらこそよろしくお願いします」

わたしたちにあいさつをしたあと、ロサさんはバスのスタッフが車体から荷物を降ろしてるところに近づき「イルカさんたちの荷物はどれですか?」と尋ねます。

「これと、あれです」という返事を聞くと、ロサさんは一緒にいたペルー人の男性スタッフにスペイン語で指示をしました。どうやらその男性はドライバーさんのようです。ロサさんの指示通りわたしたちの荷物を送迎車に運び、ハッチバックを開けて荷物を積み込みます。

「さあ、どうぞ、お乗り下さい」

続いてロサさんが送迎車のゲスト側のドアをさっと開けてわたしたちを車内へ誘導します。その手際よく案内する様子を見て「これは頼もしいガイドさんだ、当たりだね!」と嬉しく思いました。

「では、これからナスカ空港へ向かいます」

ええ~~。いきないりですかーー!!

たった今ナスカに着いたばかりなのに、早速「メインイベント」ともいえる地上絵遊覧飛行に行くのですね。覚悟していたとはいえ、あまりの急展開にどきどき高鳴る心臓の音を聞きながら、車窓に流れる景色を見ているのでした。

ちょこっとコラム / ペルー旅行とナスカ観光

ペルー旅行を計画するうえではずすことが難しい「ナスカ」。広大な砂漠地帯に描かれた謎の地上絵は、世界遺産にも登録されており、多くの人が小さい頃からテレビなどで不思議な想像を膨らませていたことでしょう。しかし実際、行くとなるととても難しいのがナスカです。ペルーの玄関口リマから、南へおよそ444k離れた場所にあります。そしてこのナスカには飛行場はあるのですが、それは地上絵遊覧飛行のもので、リマやクスコなど他地域からの定期便は就航していません。つまりナスカへ行こうと思うと、リマから往復880kmもの距離を陸路で移動しなければならないのです。

それでなくとも、ペルーはマチュピチュやチチカカ湖など広い国土に見所が散らばっており、あれもこれも見てまわるのに大変な移動距離と時間を擁します。またそもそも日本からペルーへの往復の飛行でもおよそ3日間という時間が費やされるのです。旅行の日程がたっぷり取れる人なら問題ないでしょうが、私のようなサラリーマンやまして大人以上にスケジュールがタイトな小学校高学年以上の子どもを連れての旅行で、ふんだんに時間をとることは不可能に近いと言えるでしょう。

そのような条件で、ナスカへ行くことを強行しようとするとどうしても無理が生じます。そのためリマから飛行機に乗ってナスカ上空まで行き、地上絵を見たらまたリマまで帰ってくる、という観光パターンが出来上がりました。これだと、リマ~ナスカの陸路往復14~15時間に比べて、3~4時間と、11時間以上も時間を節約することが可能です。へたをしたら午前中ナスカの地上絵を見て、午後からは世界遺産に指定されているリマ旧市街の観光をすることも可能です。

日本で組まれているたくさんのペルーツアーでは、このようなリマ発の遊覧飛行か、そもそもナスカへ行かないパターンが多いように思います。ただし、時間を節約できても、感動はうすいかもしれません。リマから飛行機で飛ぶため、途中の砂漠地帯やナスカの町には降り立たないからです。そもそも飛行機の窓から見下ろす地上絵はテレビの画面で見るのと何がが違うの?という感じもします。

まあ、そうは言っても時間が足りない人にはどうしようもないですが、ナスカの素晴らしい景色と素朴な雰囲気を味わわないのは、せっかくペルーまで行って、もったいないと思います。