ユングフラウ登山鉄道でヨーロッパ最高地点の駅ユングフラウヨッホを目指す
トップオブヨーロッパ
「ユングフラウヨッホ駅」は標高3454mの
ヨーロッパ最高地点にある鉄道駅だ。
駅のホームには「トップオブヨーロッパ」という文字が掲げてある。
この文字には単に標高が高いと言うだけでなく、
ヨーロッパで最も感動的な場所、
という意味が込められているのではないだろうか。
こんなへんぴな所まで線路を引くのは本当に大変な難工事だったと思う。
でもそのおかげで、
スイス初の世界自然遺産に登録された
ユングフラウーアレッチ氷河エリアの素晴らしい大自然を、
今や誰でも気軽に観察し体験することができるよいうになった。
ユングフラウヨッホは、スイスの人々の誇りであり、
まさにスイス観光のハイライトと言える場所だ。
朝カーテンを開けると、夕べまでの雨があがり窓の外には青い空が広がっている。
おお、今日は絶好のハイキング日和じゃないか。
急いで朝食を食べて出掛けよう。
ユングフラウヨッホ行き一番電車は、
グリデンデルワルドを午前7時15分発。
しかもこの電車は「グッドモーニングチケット」という
割引料金が適用されるのでとってもお得。
しかし、ホテルの朝食が6時半からしか始まらないのが痛い。
始発電車に乗るために、あわただしく食べて、
急いで準備して駅に駆け込むというのもせわしない。
ここはゆっくり朝食をいただき、
次の8時2分の電車で行くことにしよう。
谷の向こう正面には初日にトレッキングしたレーティ山、ブスアルプが見える
クライネシャイデックへ
朝食を終え駅に着くと、ものすごい人出。
しかもそのほとんどが日本人!
はぁーみんな気合いが入ってるなー、わたしたちもそうなんですが。
グリンデルワルドを出発すると、
電車はいったん谷の底の駅グランドに停車する。
グランドにも数軒ホテルやレストランがあり、
ゴンドラでメンリッヒェンへ行くことができる。
スキーが目的の場合はここに宿を取るほうが便利だ。
グランドを出ると、
電車はいよいよ急勾配の斜面を力強く登っていく。
アイガー北壁の真下にあたる斜面だ。
このとき座席は進行方向右側がよい。
登るにつれみるみる広がるグリンデルワルドの谷のパノラマと、
谷の向こうにそびえる峰々の景観は息を飲む美しさだ。
そしてグリンデルワルドを出発して40分足らず、
電車はクライネシャイデックに到着した。
ここでユングフラウ登山鉄道の電車に乗り換える。
クライネシャイデック駅で登山鉄道に乗り換える
ユングフラウ登山鉄道
ユングフラウ登山鉄道は、1895年(明治28年)に着工され、
完成までに16年もの歳月をようしたビッグプロジェクト。
しかし外を走るのはアイガーグレッチャーまでで、
そこから先はずーっとアイガー、メンヒの胎内を掘って作られた
暗いトンネルの中を走る。
車窓からは何も見えない
大人でも退屈な40分間だ。
アイガーグレッチャー駅を出発すると登山電車は40分間も暗いトンネルの中を走る。外の景色はこれでしばらく見納めだ
電車はトンネルに入る手前のアイガーグレッチャー駅で少し停車する。
この時進行方向右側の窓から、
線路のすぐそばまで迫る巨大な氷河の末端を見ることができる。
それから電車はゆっくりと動きだし、
岩盤を削って掘られた暗く長いトンネルの中を登ってゆく。
まわりが暗いので電車がどれくらいのスピードをだしているかわからないのだが、
しばらく走って明るい所に出て停車した。
「え、もう着いたの?」
そう思って窓の外を見ると、
どうやら駅のホームみたいだ。
「アイガーヴァント」と書いてある。
まだ終点ではないぞ。
なのに乗客はいっせいに電車を降り、
プラットホームから真横に伸びる細い通路へ走っていく。
何があるんだろうと、わたしたちもおそるおそる電車を降りて、
みんなの後をついて行ったら、
通路の先には展望室があった。
アイガー北壁に作られた展望室から下をのぞく / 登山鉄道の車内
アイガー北壁に作られた駅
標高3970mのアイガーの北側の斜面は、
ほぼ垂直の岩壁だ。
天候が不安定なうえ岩壁の構造も複雑なため、
多くのアルピニストが犠牲になっている。
長い間、人間の進入を拒んできたその「北壁」が
始めて征服されたのは1938年のこと。
ユングフラウ初登頂から実に120年あまりも経ってからのことだった。
北壁初登頂に成功したのは、
冬期五輪の金メダリスト、
ハインリッヒ・ハラーというオーストリア人。
ブラッド・ピット主演映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」は
ハラーをモデルにしたものだ。
アイガーヴァント駅は、
そんな
アイガー北壁の標高2865m地点に作られた駅。
展望室の窓からは、
北壁を登るアルピニスト
にしか見れなかった景色を眺めることができる。
電車はこの駅で約5分間停車するが、
これは高地に乗客の体を順応させるための意味もある。
トイレもあるので子連れにもありがたい。
トンネル内には、さらに標高3160m地点にはアイスメーア駅があり、
ここでも電車は5分間停車する。
この駅はグリンデルワルドとは反対側のユングフラウ連山の南斜面に作られていて、
この駅の展望室からは、フィッシャー氷河や、シュッレクホルンを見ることができる。
標高が高く空気が薄いので、
展望室に向うのにくれぐれも我れ先に全力疾走などしないように。
アイスメーアを出発すると、
やがて電車はヨーロッパ最高所の鉄道駅、
ユングフラウヨッホに到着。
時刻は午前9時37分。
グリンデルワドから1時間半の列車の旅だった。
やった~ついにユングフラウヨッホに到着だ!
ユングフラウ登山鉄道のリージョナルパス
1)グッドモーニングチケット
グリンデンルワルドまたラウターブルネンからの始発電車に乗ると割り引きになるチケット。グリンデルワルドからの料金は25%割り引きで130CHF。ただしユングフラウヨッホを12時45分までの電車で出発するという条件つき。
2)ユングフラウVIPパス
ユングフラウエリアの鉄道やゴンドラが3日間乗り放題になるパス。ただしクライネシャイデック~ユングフラウヨッホ間は1回のみ無料。120CHF前後
3)ユングフラウ鉄道パス
アイガーグレッチャー~ユングフラウヨッホ間が割引になり、それ以外のユングフラウエリアの鉄道やゴンドラが6日間乗り放題になるパス。140CHF。
ユングフラウ鉄道の公式サイト(英語)