子連れ海外旅行の心配事第一位・赤ちゃん・子どもの病気対策と予防法

2019年3月18日

子供の病気対策と予防法

マダガスカル旅行中、下痢、嘔吐、発熱の症状が出て、ホテルの部屋でドクターに往診してもらう次男

子供の体調管理は親の責任

赤ちゃん連れ・子連れで海外旅行をする時、一番の心配事は子供の病気ではないでしょうか?旅行中不慣れな海外で子供が高熱を出したらどうしよう、とか、出発直前に子供が病気になって旅行がキャンセルになりはしないか、等々、心配の種は尽きません。

そもそも心配や不安というのは、相手がどんなものかわからないから起きるのものです。なぜ人は病気になるのか?どんなときどんな病気にかかりやすのか?そして、旅行先ごとに子供がかかりやすい病気と、日本を出発する季節別に子供がかかりやすい病気を知り、その対策、予防法を知れば、子連れ旅行の病気に関する不安はかなり減退するのではないでしょうか。

地域別、季節別、に子供がかかりやすい病気の傾向と対策を知り、それを防ぐ生活習慣を子供に家庭内でのしつけのいっかんとしてきちんと実践していれば、子供の病気に関するリスクは大きく減らすことができます。

「子供の健康管理は親の責任」

まさにこれこそが、子連れ旅行における子供の病気対策の一番重要なポイントです。子供にしても大人にしても病気になるのはたまたま運が悪かったからではありません。ほとんどのケースは、病気にかかりやすいタイミングで、かかりやすい場所に行き、かかりやすいことをしてしまったから、かかるのです。病気にかかるのは原因があり、その原因を生んでしまったのは親であるあなただということ、その自己責任の原則をしっかり認識することが大切です。

ここでは、旅行前、旅行中、旅行後、それぞれの局面で、子供の病気についてどんな点に気をつけるべきかをまとめてみました。また、日本を出発する季節ごとの子供がかかりやすい病気や、旅行先で我が家の子供達が実際にかかった病気とその症状、治療法、現地のドクターに診察してもらったときの体験談や、治療費の保険での請求方法等をご紹介します。

あらためて言うまでもありませんが、私は医師でも医療関係従事者でもありませんので、ここで説明している情報をうのみにしないでください。必要であれば必ずご自身で確認されることをおすすめします。

一方、このブログでご紹介しているように、私は非常に多くの国、地域へ、何回も赤ちゃん連れ・子連れで海外旅行に出かけました。そして不本意ながら、旅行中だけでなく、出発前や帰国後に子供たちを含む家族が病気を発症したことも一度や二度ではありません。自慢できることではありませんが、その実体験に基づく子供の病気と予防対策に関する経験とノウハウは、誰よりも豊富にあると自負しています。

旅行前に出来る病気対策

旅行の計画段階~出発前にできるこどもの病気対策をあげてみます。

●旅行の内容があれもこれも欲張りすぎて、ハードな旅程になっていませんか?無理なスケジュールは子供が体調を崩す原因になります。旅行を計画する時、子供の健康を考慮して、ゆったりと余裕を持ったプランを練って下さい。

潜伏期間が長い感染症は、旅行中に現地で発症する可能性があります。お子さんのまわりで流行していて心配なら、旅行に出発する前に、健康診断やかかりつけの医者にみてもらいましょう。

おたふくかぜや水ぼうそうなどの小児感染症に出発直前にかかったらアウトです。これらの感染症は、予防接種を受ける事で、発症のリスクを減らすことができます。

旅行先の気候にあわせた服装を用意しましょう。南の国へ行く場合でも、室内や機内は冷房が効き過ぎていて風邪をひくことがあります。長袖のトレーナーかシャツ等羽織れるものを1着持って行かれることをお進めします。

旅行先の流行病や衛生状況をよく知っておきましょう。衛生状態のよくない国へ旅行する場合は、除菌タイプのウェットティッシュは必需品です。

子連れ海外旅行出発前にチェックしておきたいHP

海外渡航者のための感染症情報/厚生労働省 

国立感染症研究所のホームページ 

薬を持っていく

風邪薬、整腸剤、痛み止め、など普段飲み慣れた市販薬を持って行きましょう。思わぬトラブルで滞在期間が伸びてしまった場合に備えて、少し多めに持っていかれることをおすすめします。

また病気でなくてもかかりつけの医師に相談して、旅行中の薬を処方してもらうことができます。旅行先や旅行期間を告げて、日頃のこどもの様子や近所で流行している病気、潜伏期間などを考慮し、適切な薬を処方してもらえるでしょう。

我が家の経験では、旅行中病気にかかることより、擦り傷や切り傷等けがをすることのほうが圧倒的に多かったため、バンドエイドのような傷用市販薬が重宝しました。

また、お腹をこわした状態でバス等などで長時間移動するのは大変つらいため下痢止めが活躍したこともあります(南の国への旅行時)。さらに乗り物の酔い止め薬、うがい薬も持って行かれると良いでしょう。*うがい薬は現地での風邪予防です。

それから殺菌作用のあるウェットティッシュは南の島や衛生状態のあまり良くない国へ行く時は必需品です。

英文の診断書

英文の診断書・英文母子健康手帳

英文診断書は、病歴や服用中の薬、アレルギーの有無などを英文でまとめたもので、これがあれば海外旅行先で病気になっても、スムーズに診察や治療がおこなわれます。持病のある子供や、治療中のおじいちゃん、おばあちゃんがいっしょに行く場合などは、用意したほうがいいケースがあるかもしれません。

また、過去の予防接種記録一覧の翻訳や、予防接種証明書、薬物携帯証明書、英文の母子健康手帳なども申請すれば発行してもらえます(有料)。

日本旅行医学会のサイトで、診断書の作成を受け付ける学会認定医師リストを公開しています。

*日本旅行医学会の公式サイト:コチラ

子連れ旅行者の海外旅行保険

海外旅行保険

子連れ海外旅行に行く時は、必ず海外旅行保険に加入することをおすすめします。旅行保険には現地での治療費や薬代の他、診察所までの交通費までカバーされるものがあります。

また現地で日本語の話せる医師を紹介したり、日本人スタッフがサポートしてくれるサービスが付いた保険、あるいは、24時間いつでも日本に国際電話をかけて相談することが可能なタイプなど、様々な種類の保険が用意されています。

いろいろな保険会社のプランを比較して、旅行先や期間など自分の家族に最適な旅行保険を選びましょう。

カード付帯の旅行保険

クレジットカードをお持ちなら旅行保険が付帯されているケースがほとんどです。ご自身が加入されているカード会社の保険内容をチェックし、別途海外旅行保険に入る場合は、内容が重複しないようにしましょう。

クレッジトカード付帯の保険は、カード加入者本人のみ被保険者になれるケースが多いですが、中には一緒に旅行をしている家族全員が被保険者になれる保険もあります、

これから子連れで家族旅行をたくさんしようと考えてらっしゃる方は、そういう観点からクレッジトカード加入を選ぶのもいいと思います。

公的な健康保険

あまり知られていませんが、海外で受けた治療でも公的な健康保険が適用されます。

「海外療養費制度」と言って自己負担の割合はサラリーマンなら3割と、国内と同じです。申請には、滞在中かかった病院で受け取った診断書と、領収書、そして診断内容明細書を社会保険事務所か国民健康保険の窓口に提出します。

この時やっかいなのは、診断内容明細書を日本語に翻訳して提出しないと受理されないことです。

診断書の翻訳は素人には難しいので、コクホ中央研究所などの専門家に依頼するのがいいでしょう。

コクホ中央研究所
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-5-5 全国旅館会館

海外旅行の保険を申請する

小児感染症対策・赤ちゃん・子供がかかりやすい病気の原因、症状、潜伏期間、予防接種、登園停止期間

赤ちゃん・子供がかかりやすい病気

子供がかかりやすい病気と特徴
ペルーでウィルス性腸炎と高山病にかかり治療を受ける次男

子供の健康管理は親の責任と言っても、病気に関する知識がなかったら、発見のしようも、対策の練りようもありません。

旅行前に、本やネットで必要最低限の知識は取得しておきましょう。

ここでは、子供がかかりやすい病気について簡単に記述しておきます。

しかし、わたしは医学の専門家ではないので、あくまで参考程度に読み流し、必要であれば必ずご自身で調べて下さい。

赤ちゃん・幼児の病気の特徴は、

  • 病気の進行も治り方も早い
  • 感染症が多い
  • 脱水症状をおこしやすい
  • 心のひずみや不安が身体的症状として出やすい

などです。次に主な病気と症状を見てみましょう。

「登園停止期間」は、他の赤ちゃんや子どもにうつしてしまう可能性が高く、海外旅行に出発できない期間と考えて下さい。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

  • 原因 ムンプスウィルス
  • 症状 発熱・耳下腺のはれ(ほとんど両側性)
  • 好発季節 通年
  • 潜伏期間 2~3週
  • 予防接種 あります
  • 合併症 髄膜炎・膵炎・睾丸炎
  • 登園停止期間 耳下腺のはれが消失するまで

手足口病

  • 原因 (コクサッキー)ウィルス
  • 症状 手・足の裏・口の中・おしりやひざの後ろに小さい水疱・発熱。3~4日で自然に治る。
  • 好発季節 春から秋、特に夏に多い。
  • 潜伏期間 10日~14日
  • 合併症 まれに心筋炎・髄膜脳炎
  • 登園禁止期間 主治医に相談しましょう。

水ぼうそう(水痘)

  • 原因 水痘ウィルス
  • 症状 発疹・発熱・倦怠・食欲不振
  • (小紅斑(赤くなる)→丘疹(盛り上がる)→水疱→痂皮(かさぶた)の順に進行し、これらの皮疹が混在して認められる。)
  • 好発季節 通年
  • 潜伏期間 2週
  • 予防接種 あります
  • 合併症 髄膜脳炎・皮膚の感染
  • 登園停止期間 すべての発疹がかさぶたになるまで

はしか(麻疹)

  • 原因 麻疹ウィルス
  • 症状 発熱・ せき・結膜充血・発疹
  • 好発季節 春
  • 潜伏期間 10日
  • 予防接種 あります
  • 合併症 肺炎・中耳炎
  • 登園停止期間 解熱後3日を経過するまで

風疹(三日ばしか)

  • 原因 風疹ウィルス
  • 症状 2~3日の発熱と発疹(熱のないこともある)
  • 潜伏期 2~3週
  • 予防接種 あります
  • 合併症 脳炎・血小板減少症
  • 登園停止期間 発疹が消失し症状がなくなるまで

突発性発疹症

39度前後の高熱が3~4日ほど続き、熱が下がると発疹が出ます。90パーセントは1歳未満の乳児で、特に親からもらった免疫が消える6~10ヶ月頃に発病するケースが多いと言われています。ウィルスが原因で、感染してから発病するまでに10日前後かかりますが、発病するとすぐ高熱が出るケースがほとんどです。食欲がなくなり下痢をおこすこともあります。

6ヶ月以上1歳未満の幼児を連れて海外旅行に行く場合、旅行前、旅行中にこの病気にかかるリスクが高いと言えます。できたらこの病気を一度体験してから、旅行の計画をされたほうがいいかもしれません。

子連れ海外旅行者の小児感染症対策

おたふくかぜや水ぼうそう等の小児感染症は、子連れ旅行出発直前に発症したらどうしようもありません。しかし、一度感染すると免疫ができて発病しなくなるので、合理的な対策としては、早めに感染して病気になることだと言えます。我が家の場合は、これらの感染症に、長男も次男も比較的早い時期に感染してくれたおかげで、小児感染症を気にせず海外旅行の計画をたてることができました。

なお前述したように、おたふくかぜ、水ぼうそう、はしか、風疹には予防接種があります。予防接種を受けることで、子連れ旅行の出発直前や旅行中に発症するリスクを減らすことが可能です。予防接種を受ける年齢や時期、効果など詳細については、医師に相談して下さい。

残念ながら現在のところ、赤ちゃん、子供がかかりやすい病気のうち、手足口病と突発性発疹症には、予防接種はありません。

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インフルエンザ予防対策

インフルエンザ治療薬
インフルエンザ治療薬イナビルの使用方法

前項以外の感染症で、出発前に感染し、旅行がキャンセルになるほど症状の重い病気は、インフルエンザとプール熱です。

インフルエンザは主に冬に流行し、プール熱は夏に流行します。この2つの病気にかかる旅行のキャンセルリスクを恐れるなら、それらが流行する時期には子連れ旅行に行かないことが一番の対策法です。

しかし小学生以上の子連れ家族にとって、夏休み(プール熱が流行)、冬休み(インフルエンザが流行)、ときに春休み(インフルエンザは3月になっても猛威をふるっていることがあります)に 海外旅行へ行けないとしたら、もうほとんど旅行へ行く機会はないですよね。

しかもインフルエンザは、ほかの小児感染症と違い、一度感染したからといって次の年は感染しないということはありません。へたをすると毎年だって発病する可能性がある病気です。また予防接種をしても、100%発症をおさえることは不可能です。

インフルエンザが流行すると、学校や幼稚園の教室、通勤通学の電車の中、買い物をするスーパーの人ごみの中、も~そこらじゅうにウィルスが蔓延します。そんな中では、山奥の秘境か無人島にでもこもって誰にも会わない生活をする以外、感染を防ぐ方法はないと言っていいでしょう。

つまり、家族の誰もが保菌者になる可能性が高いということです。

そうであれば、現実的な対策として考えるべきは、保菌者にはなるけど、発症しないためにはどうすればいいかということです。そのためのキーポイントは「免疫力を高める」ことにつきると思います。

以下ではインフルエンザ予防対策も含め、病気を発症しないために、子連れ海外旅行者がやるべきことを説明します。

子供の免疫力を高める方法~病気にならないために

インフルエンザが流行している中で、ウィルスにまったく触れずに生活することは不可能と言っていいでしょう。

でも、インフルエンザウィルスに感染することと、インフルエンザを発症することは違います。ウィルスに感染しにくい人や、感染してもしても、病気を発症しない人はたくさんいるのです。では、ウィルスに感染しない、あるいは感染しても発症しないためにはどうすればいいのか?

有効な手段のひとつは、免疫力の強い体を作る事です。

具体敵な方法は

  • 子供は夜8時にはベッドに入ってぐっすり寝る
  • 食事は朝、昼、夕、規則正しくしっかり食べる
  • 食欲が落ちないようにお菓子やジュースは与えない
  • 夜ぐっすり眠れるよう、日中は思い切り体を動かして遊ばせる
  • 外から帰ってきた時は手洗いとうがいを徹底さる(うがいは紅茶でおこないます。紅茶は殺菌効果が高いうえ、間違って飲み込んでも問題ありません)
  • 楽しいことを考える、笑う、なども免疫力を高める効果があると言われています
  • 必要であれば寝る時にマスクをします
  • スナック菓子や加工食品、食パン、マーガリン、ドレッシングなどに含まれている原材料をよくチェックし、体に危険なものがあれば食べない

重要なことは、海外旅行に行く行かないは関係なしに、普段から子供に、規則正しい生活と早寝早起き、偏食せず栄養のあるものをバランスよく食べる、などの習慣を身につけさせているかということだと思います。

免疫力を高める生き方とは、結局、子供の心身を健全に育むことと、同じことなのです。

免疫力は、ちょっと気をつけたからといってすぐに強化されるものではありません。普段、お菓子やジュースばかり与えて、夜はだらだら遅くまで起きている、朝食は食べない、ような生活習慣の子供が、旅行の1週間前だけ気をつけても、効果は薄いといえるでしょう。

南の国、地域への子連れ旅行でかかりやすい病気

南の国でかかりやすい病気

美しいビーチのある熱帯地方では日差しが強烈で日射病にかかりやすい

子連れ海外旅行では、ハワイや東南アジアなど熱帯、亜熱帯の国、地域が人気です。南の国では風邪などにかかることはまれですがその一方で、南の国ならではのかかりやすい病気があります。楽しい旅行を続けるために、南の国で子供がかかりやすい病気と予防策をぜひ知っておきましょう。

食中毒

南の国でかかりやすい病気のひとつは食あたりや食中毒です。日本でも食中毒は冬より夏に発生することが多いですよね。軽い食あたりや胃腸にくる風邪のような症状なら、市販の整腸剤でも対応できますが、ひどい食中毒にかかると、高熱が出て脱水症状に陥りやすくなり、とてもつらいです。

またコレラや赤痢も南の国でかかる可能性がある感染症です。

予防策はとにかく手をよく洗うこと。それから生水を飲まない、生肉、生魚はもちろん、国や地域によっては生野菜やフルーツも、どんな水で洗っているのかわからない場合があるので注意しましょう。グラスに注いだジュースや水に入っている氷も要注意です。

徹底的に予防したいなら、歯磨きもミネラルウォーターでするくらいの覚悟が必要です。

食中毒菌の種類と症状

サルモネラ菌・・・・下痢・吐気・嘔吐・腹痛・発熱・頭痛

潜伏時間 12時間~24時間

ブドウ球菌・・・・・・吐気・嘔吐・下痢・腹痛

潜伏時間 2.5時間~3時間

腸炎ビブリオ・・・・下痢・腹痛・嘔吐・発熱

潜伏時間 14時間~17時間

ボツリヌス菌・・・・・嚥下困難・複視・発声困難・呼吸困難

潜伏時間 12時間 ~36時間

病原性大腸菌(O-157を含む)・下痢・腹痛・発熱・吐気・嘔吐

潜伏時間 10時間~24時間

日射病

南の国の強烈な日差しの下で何時間も遊んでいると日射病にかかりやすくなります。症状は発熱、頭痛、倦怠感などです。時に高熱が続くこともあります。

我が家の子供たちは、外で夢中になって遊ぶため、特によくお世話になった病気です。

熱が出たら、涼しい室内で水分をたっぷり捕って安静にします。たいていは半日~2日くらいで治ります。

熱中症

やはり気温の高い国や地域でかかりやすい病気です。近年は気温上昇により、程度の差はありますが日本国内でも夏季には多くの人が発症しています。日射病は直射日光や強い紫外線を浴びることで発症しますが、熱中症は、日光の当たらない室内でも発症します。特に赤ちゃんや小さな子供、高齢者などは命にかかわるケースもありますので、気温の高い南の国へ旅行する子連れ旅行者は、十分な注意が必要です。

熱中症は、常識的な判断力と行動があれば防ぐことが可能です。気温が高い中での長時間の観光や、運動を避ける、こまめに水分補給をする、など気をつけて計画、行動してください。

飛行中の機内でかかりやすい病気と予防法

飛行中の機内でかかりやすい病気と予防法

機内は砂漠

さて旅行出発前に大きな病気になることもなく、無事に空港に着きました。あとは飛行機に乗るだけ、と油断していたら、思わぬ落とし穴が待っていますよ。それは機内の環境です。海外旅行で飛行中の機内は「海抜二千五百メートルにある砂漠」と表現されるくらい「過酷」な環境だということをご存知ですか?

気圧は0.8気圧、湿度は5~15%とサハラ砂漠より低いのです。

この異常に乾燥した空気により、搭乗中に喉や鼻をやられて、風邪をひいてしまう赤ちゃん、子供(大人も)が少なくありません。目的地に到着した頃に熱が上がり、せっかくの旅行が台無しになりかねません。また乾燥した空気が大好きなインフルエンザウイルスも活発に活動します。

湿気の多い日本に住んでいる我々日本人は、特に乾燥に対して喉や鼻の粘膜が弱い人が多いので、十分気をつける必要があります。

対策としては、搭乗中は濡れたハンカチ、ガーゼなどを口や鼻にあてておく、毛布を顔までかぶって寝る、マスクをする、等です。もちろん旅行出発前までに子供の免疫力を高める生活習慣を身につけておくことも重要なポイントです。

我が家では子連れ海外旅行で飛行機に乗るときは、乾燥対策、風邪予防のため、いつもマスクをしています。機内で寝るときももちろんマスクをしたまま寝ます。想定できるリスクは自分たちの努力と工夫で排除し、健康で楽しく旅行を続けて欲しいと思います。

参考記事:機内を無事すごす無敵のノウハウ11選

旅行中に注意することと帰国後の時差ぼけ解消法

これま旅行出発前にできるこどもの病気対策をお話しして来ましたが、ここでは、旅行中、旅行後に気をつけるポイントをご説明します。

旅行中に注意すること

マダガスカル旅行中、病気になり医師の診察を受ける長男。この旅行では予約手配ミスやトラブルが続いたため過密スケジュールになり、それが子供の体力、免疫力を削っていった。それに気づかずさらに夢中になって遊んだため遂に病気が発症したケース

旅行中に注意すること

旅行中は、とにかく旅行の楽しさや忙しさにまぎれて、赤ちゃん、子供のちょっとした変化を見落とさないようにしましょう。早めの気付き、対応が重症化を防ぐ方法です。時には旅行のスケジュールを変更したり、旅行そのものの継続を中断する勇気も必要になります。体さえ健康であれば、またいつでも家族で子連れ海外旅行を楽しめるのです。

繰り返しになりますが、海外でかかりやすい病気は行き先の気候、風土、食べ物などによって異なります。旅行先の特徴とかかりやす病気の傾向をよく理解し、旅行中は子どものちょっとした変化も見逃さない心構えが必要です。

一般的には、海外旅行で子供がかかりやすい病気は食中毒(下痢、嘔吐)、日射病、風邪、等です。それにその地方独自の感染症があります。対策として下記に列挙しましたが、基本的には免疫力を高く保つことが重要です。そのためには、過密なスケジュールは避け、十分な休息とできれば普段食べ慣れている食事をしっかりとることが大切です。

  • 食事に注意しましょう(生水をのまない。慣れた日本食などを適度にとる)
  • 外出するときは帽子をかぶりましょう。長時間、直射日光を浴びないようにしましょう
  • 過密スケジュールを組まないようにしましょう
  • 疲れを感じたら休養をとりましょう

予定通りにスケジュールを遂行する必要はありません。子供中心の余裕を持ったスケジュールと体調管理をくれぐれも心がけて下さい。

子供の病気対策

ハワイのバケーションホームの庭で家族で朝食をいただく写真。滞在すること自体を楽しむスタイルの旅行では、スケジュールに振り回されず、家族で贅沢な時間の流れを満喫できる。子連れ海外旅行の病気対策ではあれやこれやスケジュールを詰め込みすぎないことが肝心だ。

旅行中の赤ちゃん・子どもの病気に対応力のある旅行スタイル

コンドミアムに滞在する 子どもが普段食べ慣れている食事を作ることができ、旅行中の子どもストレスを低減できます

一箇所に滞在する 宿泊先を毎日のように変更するスタイルの旅行では、子どもが病気になったとき対応するのが難しくなります

クルーズ旅行 毎日のように違う国を訪れても寝る部屋が同じなので、赤ちゃん連れ・子連れに適した旅行です。大きなクルーズ船にはドクターが乗船しているので安心。

クルーズ旅行の参考記事↓

帰国後に注意すること

楽しかった旅行が無事終わってやれやれ。でも、安心するのはまだ早いですよ。旅行先によってはマラリアやコレラ、黄熱病など、日本にはない感染症にかかっていないか、帰国後もしばらくは注意が必要です。

これらの感染症の中には、潜伏期間が長いものもあるので、帰国後日数が経過していても、おかしいと思ったら旅行中の感染を疑い、医師に相談しましょう。「風邪だろう」と勝手に判断し解熱剤などを服用すると、病気の進行に気付くのが遅れ致命傷になることもあります。

また旅行後は無理をせず、ゆとりを持ってゆっくりと日本でのペースを取り戻して行きましょう。

時差ぼけ解消法

時差ぼけ解消には、朝は眠くても早く起きる、目覚めた時太陽の光を全身で浴びること等が有効です。時差ぼけがある状態では、身体の免疫力が低下しており、帰国後に体調を崩したり、病気にかかったりするリスクが高くなります。

繰り返しになりますが、帰国後はゆっくり身体を休養させ、早く時差ぼけを解消して下さい。ちなみに眠いからと朝寝、昼寝をすると、結局その日の夜はなかなか寝付く事ができなかったり、夜中に何度も目が覚めて十分な睡眠を取れなくなりがちです。

どんなに眠くても帰国した翌朝はさっと起きて朝日を浴びましょう。その日はもしかしたら一日中眠気を感じるかもしれませんが、それくらいのほうがその日の夜、すぐ寝付け深い睡眠を取ることができます。そうするとその翌日には時差ぼけも解消され日本での生活のペースを早く取り戻すことができると思います。

海外旅行先で病気になった我が家のケース

旅行先で病気になった我が家のケース

最後に我が家が実際海外旅行中に病気になったケースをご紹介します。みなさんの子連れ海外旅行病気対策、予防の参考にして下さい。(カイは長男、リュウは次男です)

●ケース1 リュウ1歳 

ハワイ島 到着日の翌日の早朝からリュウが発熱。原因不明。半日寝ていたらおさまった

●ケース2 カイ4歳 

オアフ島 到着日翌日の昼食後カイが嘔吐と発熱。熱はたいしたことなかったが、腹痛を訴える。その日の夕食を軽くして安静にしていたら翌朝には治っていた

●ケース3 わたし 

カウアイ島 到着日の夜から40度近い高熱、全身の関節がくだけるように痛む。出発直前に感染し現地到着後に発症した可能性大。4~5日部屋で寝てすごした。持参していた解熱剤を服用。

●ケース4 カイ5歳 

カウアイ島 5日目の夕方から発熱。日中長く日差しをあびていたので日射病と思われる。丸1日涼しい室内で安静にしていたら熱がひいた

●ケース5 カイ7歳  

カウアイ島 5日目。おそらく日射病か軽い熱中症。急な発熱と食欲不振。丸1日程度室内で安静にしていたら完治

●ケース6 リュウ5歳

カウアイ島 8日目 おそらく日射病。発熱。半日程度室内で安静にしていたら完治。

●ケース7 ママ

シチリア島 5日目、おそらく日射病か軽い熱中症。発熱と頭痛。1日半程度室内で安静にしていたら完治。

●ケース8 カイ9歳 

マダガスカル 4日目 食あたり 持参した整腸剤を服用

●ケース9 リュウ7歳 

マダガスカル 6日目 発熱と嘔吐 おそらく食あたり ホテルの医師に診てもらう

●ケース10 カイ9歳

マダガスカル 7日目 おそらく日射病か熱中症 高熱が1日半続く マラリアの疑いもあるのでホテルの医師に診てもらう。診察代はクレッジトカード付帯の海外旅行保険で申請

●ケース11 わたし

ペルー 行きの飛行機 おそらく腎臓結石 気を失うほどの強烈な痛みに突然襲われる。現地到着後アスピリンを購入し旅行中7時間ごとに服用して対応。

●ケース12 カイ13歳 

ペルー/クスコ 軽い高山病 30分ほど酸素マスクで酸素を注入

●ケース13 リュウ10歳 

ペルー/マチュピチュ 細菌性腸炎 40度をこす高熱と嘔吐 ホテルの部屋に医師に来てもらう ペルー独特の細菌とのこと 我が家の子連れ海外旅行史上最悪の症状 診察代はクレッジトカード付帯の海外旅行保険で申請

関連記事:トラベルドクターを呼んで(マチュピチュ・ペルーで病気になった時の旅行記)

●ケース14 ママ

ペルー/チチカカ湖 軽い高山病 30分ほど酸素マスクで酸素注入

出発直前のピンチ

ケース1

ニューヨーク旅行出発前にリュウ(年中)→カイ(小2)の順番でプール熱にかかる。高熱が4日間続き食事も取れない 一時は旅行をあきらめるが出発当日の朝、カイの熱が奇跡的に平熱にもどる

ケース2 

タヒチ出発1週間前 リュウ(8歳)がインフルエンザになる。1週間あったので出発までにリュウは治ると思ったがその間に家族の他のメンバーにうつったら大変。最強の警戒態勢で誰にも感染せず無事出発

ケース3

マダガスカル出発直前、カイ(小4)とリュウ(小1)の学校でインフルエンザ大流行。リュウのクラスは学級閉鎖に。リュウも保菌者である可能性が高く、とにかく発病しないよう、そして家族の他のメンバーにうつらないよう、免疫力を徹底的に高めて対応。無事出発できる。