イランイランとバニラが溢れるリゾートアイランド・ノシベ空港に到着
ドンドンドン!激しくドアをたたく音に目が覚める。うひ~~ン、ねぶい。
ホテルには目覚まし時計とか、電話とかないから、モーニングコールはホテルのスタッフがドアをたたいて知らせるのだ。
時計を見ると午前3時前。もう出発する時間だ
「さあ起きよ~」
アンタナナリブ空港に到着した / 車から荷物を降ろすマミー / 国内線の搭乗カウンター
さよならペリネ
ママもカイもものすごく眠そうな顔のままベッドに起き上がる。リュウは不機嫌な顔つきで、何やら呪いの呪文のようなものをわめきちらしながら大暴れ。もっと寝かせろーー!ごめんごめん、でも車までちょっとの距離だから。車に乗ったらまたたっぷり寝れるよ。ここからアンタナナリブの空港まで車を飛ばして3時間近くかかるのだ。
まだほとんど真夜中と言っていいロッジの敷地を歩いて駐車場へ向かう。車の前ではマミーがまったく眠そうな顔もせずに、むしろさわやかな笑顔で待っていた。
「おはようございます」
いや、まだ夜中だって。アンタこんな時間によくそんなさわやかな顔でできるね。
車に乗り込む前にもう一度ペリネの森を振り返る。ああ、今もこの真っ暗な森のどこからか、アイアイがわたしたちの出発を見送っいるんだろうな、さよなら、元気でね、きっとまた来るから。その時はわたしたちの前に姿を現してね。
マミーとお別れ
それからどれくらい走っただろうか?
気がつくと雨はすっかりあがっていて、東の上空がジョジョに薄明るくなっている。ジョジョの奇妙な冒険。夜が白々と明けるとはよく言ったもので、確かに東の山のはの空の色が、何色かと聞かれれば「白々いろ」と答えるしかないような色に染まってゆく。わた菓子のようなふっくらした雲が、ゆらゆらとたなびいている。時計を見ると午前5時半。もうすぐ空港に到着する頃だ。車に乗って、アイアイの森を振り返ったところまでは覚えているが、そこから先はぷっつり記憶が途切れている。連日の移動ででわたしもこどもたちも疲れていたのだろう。
遠くに丘が点在し、棚田がたくさん見えてる。やがて建物が増えきたと思ったらアンタナナリブ空港に到着した。
空港に到着すると、マミーがてきぱきと搭乗手続きをする。国内線ターミナルは、空港ビルむかって国際線ターミナルの左隣。マダガスカルに到着した日、乗り継いでモロンダバに向かうのに利用したターミナルだ。カウンターで荷物を預け、セキュリティチェックを通過して待ち合いロビーへ入ろうとした時、マミーがここでお別れです、と言う。え?ああ、そうか、マミーが同行してくれるのは、マダガスカル本島のみ。観光地として開発が進んでいるノシベ島では、英語も通じるし、基本的にリゾートでのんびりすごすだけだからガイドが同行する必要はない。
ありがとう!また会えるよね?
ええ、みなさんがノシベから帰ってこられた時にまたわたしがお迎えする予定になっています。
それじゃ、その時までしばしお別れだね、ありがとう!
楽しい休日をお過ごし下さい。
バイバイ、マミー!
あの飛行機でノシベへ行くよ / アンタナナリブ上空 / 翼の下にノシベ島が見えてきた
イランイランの島ノシベへ
アンタナナリブからノシベへは約1時間のフライト。観光客に人気の路線で、ジェット機が就航してる。またノシベ空港はヨーロッパ各地からダイレクトフライトもあると言う。ヨーロッパ人にとってノシベはマダガスカルとは別の国、という感覚なのだろう。
ほぼ満席の飛行機はマダガスカルを縦断。窓の下には家も道路もない深い山々が続いていたが、やがて海岸線が見えてきた。海を越えるともうすぐノシベだ。
ノシベ国際空港に到着 / 到着ロビーは観光客で溢れかえっている
ノシベについて
ノシベはマダガスカル本島の北西、モザンビーク海峡に浮かぶ小さな島。小さな島といてもそれはマダガスカル本島と比べたらの話しであって、実際ノシベノ島の外周はおよそ100km近くある。
世界トップクラスの美しさを誇るビーチリゾートで知られ、ラグジュアリーなホテルが点在する。ヨーロッパからの直行便があるため観光施設や、観光客向けのアクティビティも充実しており、マダガスカル本島とは異なる旅行を体験するこができる。まさにバカンスと呼べる休日を過ごす事ができる第1級のアイランドリゾートだ。ちなみに「ノシ」はマダガスカル語で「島」を意味する。
またノシベは香水の原料として使われるイランイランの栽培でも有名。島南東部にはクロキツネザルやカメレオン等が生息するロコベ全面自然保護区があり、ビーチリゾートにいながら、自然観察ができるのも魅力。島の南西沖合には、キツネザルが放し飼いにされているヌシコンバ(コンバ島)、その隣にはスノーケリングが楽しめるヌシタニケリー(タニケリー島)があり、エクスカーションの行き先として高い人気を誇っている。
さらに島周辺の海域は、クジラやジンベエザメ、マンタなど大物との遭遇が期待できる絶好のダイビングスポットとなっている。
これからボートまでご案内します / 車に荷を積んで出発だ / ノシベ空港ビルの外観
ノシベ国際空港
窓の下に美しいラグーンが見えたと思ったら飛行機は大きく旋回し、島の東部にあるノシベ空港に到着した。さすがヨーロッパからの直行便が飛ぶ国際空港だけに、首都アンタナンリブ空港に負けずとも劣らず立派な空港だ。
タラップを降りて、焼け付くような日差しが照りつける滑走路を、歩いて空港ターミナルビルに入る。そこで荷物をピックアップし、玄関の外に出たら、ホテル送迎のスタッフがわたしたちのネームカードを掲げて待ていた。
「こんにちは、ようこそノシベへ」
荷物を持ってもらい案内されて車に進むと、1組の熟年夫婦がすでに車の中に座っていた。イタリアからバカンスでやって来たモレル夫妻だ。
「こんにちは、お待たせしてしまってすみません」
「ぜんぜんかまわないわよ」
それから車は空港を出て、緑の木々や花が咲き乱れる丘の上の道を進んで行った。