今回の旅行の最大のミッション〜丸いお目目のおさるさんアイアイを探して雨の森でナイトサファリ

2019年3月4日

考えてみたら今日ってスゴい1日だ。

ペリネのモーニングサファリでインドリを観察し、バコマ保護区で珍しいキツネザルたちと出会い、手渡しでエサをあげて、お昼は究極のチョコレートムースを堪能して、そのあと人生で見た総数をはるかに上回る数のカメレオンを見て、補食シーンも何回も何回も拝めた。

アイアイの森でナイトサファリ

アイアイを求めて夜の森に出発だー! / ネズミキツネザル。よくこんな小さな生き物を見つけられるな~ / あそこに何かいるよ

 

アイアイの森でナイトサファリ

こんなイベントてんこ盛りの1日なんてそうあるもんじゃないけど、今日はまだもうひつ大きなイベントが残っている。しかも、それは、今日体験したどれもが霞んでしまうほどの世紀のビッグイベント。今回の旅行の目的とも言えるそのイベントは、じゃじゃ~ん、「アイアイを探して夜の森を歩くナイトサファリ!」

いあ~、今日はついてるからこれはイケイケで期待できそうだぞ。

カメレオンパークからペリネに戻ってきた我々はいったん今日の宿、「フェオニーアラ」にチェックイン。それからレストランで夕食をすまし、午後8時から野生のアイアイを探して夜の森へナイトサファリに出発だ!

今夜のガイドは今朝インドリを探してモーニングサファリをした時と同じ、エティエン。今朝のサファリで、彼の人間離れした視力と、動物を発見する野生の勘に感服、アイアイを探せるのはも~~彼しかいない、と決めていたのだ。マミーも「彼がペリネでナンバーワンのガイドです」と言う。是非今夜のアイアイナイトサファリのガイドも彼にお願いしたい、ということでスケジュールの調整をしてもらい、ガイドをしてもらうことができたのだ。

ちなみに今朝のペリネのサファリでは、いちじくの木の幹を指して、「ここはアイアイがかじったあとです」と解説していた。その時彼に「実際アイアイを見たのは何回くらいあるの?」と尋ねてみた。アイアイは環境破壊でその個体数が激減、現在はWWFの絶滅危惧種に指定されている極めて目撃することの難しい希少動物。

「う~ん、わたしはこのペリネで19年間ガイドをやっているけど、アイアイを見たのは5回ほどですね」

ひゃぁ~~、19年間、ほぼ毎日ガイドをやってて、それでアイアイを見たのは5回。これは絶望的な数字だろうか?いや、そうではない。もし彼が1回もアイアイを見た事がないというのなら、それはやっぱり無理なんだろう。今夜のサファリはあきらめてとっとと部屋で寝ることにしよう。でもエティンは5回もこの森で野生のアイアイを目撃しているのだ。なら今夜が6回目になってもぜんぜんおかしくない。

 

 

「アイアイ、おさるさんだね♪」「おさるさんだよ」

今回の旅行の最大のミッションはアイアイの住む森を歩き、「アイアイのうた」を口ずさみながら野生のアイアイを探す事。ええ、もうお気づきでしょうが、「アイアイを見る事」ではなく「探すこと」がミッションです。つまり、アイアイの姿は確認できなくても、こうして探して歩き回れば一応ミッションは遂行したこのにはなる。ああー、でもせっかくここまで来たんだからやっぱり見たいよ~。

天気はあいにくの雨。それもかなり激しく降ってる。それでなくても難しいのに、この熱帯雨林に降り注ぐ冷たい雨が、われわれに野生のアイアイとの遭遇をいっそう困難なものにしていた。

これはいくらなんでも無理だろーなー、と思った時エティエンがこっちへ来いと手招きする。え?何、何、近づいて彼が指さすほうを見ると、木の葉っぱの裏側にネズミキツネザルがいた。おおーすごい、というより、こんな鼻をつままれてもわからないような真っ暗な夜の森の中で、よく葉っぱの裏で雨宿りしている、小さなネズミキツネザルなんか見つけれたねー。そっちのほうが百倍すごいと思うよ。

エティエンの視力と野生の勘があれば、アイアイを発見できるのではないか、と期待が高まり、我々はさらに雨降る森を進んでゆく。

またエティエンが立ち止まった。今度は木の上のほうを懐中電灯で照らしている。その時ライトの光が照らす範囲の少し外側で、何か黒い生き物がさーっと動いた!え、今のアイアイ?それはほんの一瞬で、しかも光があたっている外側だったので、生き物だったのかさえわからない。でも大きさからするとアイアイであってもおかしくない。そのあたりをエティエンはしつこく探すも、それっきり何も見つけることはできなかった。うーん、残念、でも本当にいったい何だったんだろう?

それからまたもとのコースへ戻り、ゴールを目指して進んで行く。エテイエンはその後も脅威の視力で、暗闇の中で、夜行性のキツネザルやカメレオンを見つけるが、もう一度あの黒い生き物と出会うことはなかった。

1時間ほど夜の森を散策してゴールイン。レインコートを脱ぎながら車に乗る。

「いや~夜の森って本当にすごいね」

「さっきのあれ、アイアイだったの?」

「よくわからない。よくわからないから、自分が見たというものにしておけばいいんじゃないかな」

会話が盛り上がっている間に、車はロッジに向けて動き出す。こどもたちの歌声が聞こえるその車の後ろ姿を、雨の森の木の上で、きっとアイアイたちが見送っていることだろう。

*野生のアイアイとの遭遇率が高い場所は他にあった!旅行から帰ってきて調べものをしている時発見したのだが、マダガスカル東海岸、ペリネから400km北にあるマナナラがそうだ。マナナラはバニラの産地として有名だが、マナナラ川を含む河口の入り江一帯は野生動物の王国で国立公園にも指定されている。マナナラ川に浮かぶアイアイ島には野生のアイアイが生息し、島を訪れるとかなり高い確率でアイアイと遭遇できるらしい。また河口付近にはジュゴンも生息しているという。次回、もしマダガスカルを訪れる機会があったらぜひ真っ先に行ってみたい場所だ。