マダガスカルを代表する景観に会いに行く〜サカラバ族の村にあるバオバブの並木道

2019年3月2日

雨上がりのバオバブ並木

マダガスカルを代表する景観

まるで巨人が木を引っこ抜いて、地面に逆さまに突き刺したようなバオバブの木。それが乾燥した大地に群生するモロンダバ近郊のバオバブ並木は、マダガスカルを代表する景観と出会える場所だ。

バオバブの木は、幹の太さが約10m、高さは20m以上になる巨木。その立派な体格とは不釣合いなくらい、枝ぶりはこじんまりしている。実際目の前で見るとどんな光景なんだろうか?

 

バオバブ並木を歩く子ども達の写真

              バオバブ並木を歩く子ども達

 

6時半にホテルを出発したわれわれの車は、モロンダバの中心を過ぎ、やがて郊外に出た。あたりには田んぼが見え始める。ちょうどこれから苗を植えるのだろうか?道の両脇にどこまでも広がる水田は、まるで広大な湿原のように、水をまんまんに満たしている。地雷が爆発したみたいな穴ぼこだらけの道路でなければ、日本の田舎道を走っていると勘違いするだろう。

 

バオバブの実を売る村のこどもの写真

バオバブの実を売る村のこども。木のてっぺんまで登って取るんだって / どれどれ、美味しいかな~酸っぱくない梅干しみたいな味です

 

「あー、あれバオバブじゃない」

後部座席で窓の外を見ていたカイが、水田のずーっと向こうににゅ~っと立っている、木を指差して声を出した。

「あーー本当だ、あれバオバブだよ」「そうです、あれはバオバブの木です」とマミー。

バオバブは並木の場所でしか見れないと思っていたので、まだ並木道までは距離があるのこんな場所で見えてびっくり。

 

バオバブ並木

 

ほこりを舞い上げながらさらに車は進む。時折、荷物を山のように積んだ牛車とすれ違う。進むにつれバオバブの木があっちこっちに目だってきた。やがて、ひときはたくさんバオバブが生えている場所があるな~と思ったら、助手席に座っていたマミーが後ろを振り返ってにっこり笑いながら言った。

「着きました」

ホテルを出発しておよそ1時間、わたしたちは、ついにグランディディエリ・バオバブの並木道の入り口に到着したのだ。おお~~ついに来た!写真でよく見る景色と同じ場所です。それにして大きいなーー。これは想像以上。並木道の入り口に立つと、すぐそこに見えてるバオバブの木が、実はかなり遠くにあるのだとわかる。木がものすごく大きいため、実際より近くにあるような錯覚をおこすのだ。

 

 

バオバブはサン・テグジュペリの小説『星の王子様』に登場し、世界中のこどもたちの間にその名前が広まった。見たことがある人より、名前を知っている人のほうが多い奇妙な木です。アフリカ、オーストラリアの一部、マダガスカルのみに生息する希少な植物で、全部で7種あるが、全種が生息するのはマダガスカルだけ。モロンダバではそのうち3種を見ることができる。

バオバブの樹齢は500年と言われている。中には樹齢800年のものもあるそうだ。この地方に住むサカラバ族はバオバブを死者の魂が戻ってくる場所と考え、決して伐採しない。それがこの地に、とりわけバオバブがたくさん生えている理由だろう。

 

サカバラ族の子ども達とバオバブの写真

 

実は「バオバブの木」と呼ばれているが、植物学上は「木」ではなく「草」なんです。ええ~~あれが草なの!太い幹の中は空洞で、木なら幹の中もぎっしり詰まっていて、横にスパッと切れば年輪が見れるのだが、バオバブの幹を切ると中は空洞の筒になっていて水がたっまているらしい。雨が降らなくなると、モロンダバのバオバブは休眠状態になる。その間枝からすべての葉を落とし、内部に溜め込んだ水で生きながらえ、長く厳しい乾季を耐えるのだ。

雨上がりのバオバブ並木道を、カサバラ族の村の少年たちに追い立てられて、コブ牛の列が横切って行った。

 

バオバブ並木とコブ牛