アフリカ旅行でかかる病気の症状と予防対策

2019年1月22日

アフリカ旅行でかかる病気の症状と予防対策

ジャンボ〜!6歳(幼稚園年長)から11歳(小学6年生)まで6人の子どもを連れて、猛獣が闊歩するアフリカのサバンナでキャンプ旅行をしました。この項では気になるアフリカの感染症やアフリカで子どもがかかりやすい病気についてその傾向と予防対策を説明します。

東アフリカで子どもがかかる可能性のある病気の傾向と対策

ケニア、タンザニアでは日本ではまずお目にかからない危険な病気にかかるリスクがある。過剰に警戒する必要はないが、なめてかかるとタイヘンなことになる。まず基本は「自分とこどもの健康は自分が管理する」意識の徹底と病気の特性を知ることだ。

ここでは東アフリカでかかる可能性の高い病気の特徴と対応策を書いていく。

ただしわたしは医者でも病原菌の専門家でもないので、ここに書いたことはくれぐれもうのみにされないように。必要であればご自身で調べて下さい。また旅行前には渡航先での感染症最新流行情報の取得も必ずおこなって下さい(海外旅行者のための感染症情報/厚生労働省検疫所)。

黄熱病

黄熱は、蚊から人へと感染することで発症する病気で、死亡率は免疫のない旅行者などでは50%以上になる。流行地域はアフリカと中南米の国々。

●感染様式

 黄熱ウイルスを持った蚊(ネッタイシマカ)に吸血されることで感染する。

●症状

 通常、3~6日の潜伏期間の後、突然の発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐などの症状がおきる。病気が進行するにつれ出血症状(鼻血、歯肉からの出血、吐血)や蛋白尿が見られ、重傷になると黄疸が現れる。

●治療方法

 治療法はなく、対症療法が主となる。

●予防方法

 1回の接種で10年間有効な予防接種がある。流行地に旅行する際は、渡航の10日以上前に接種を受けることが最も有効な予防法。予防接種をしていない場合は、とにかく蚊に刺されないようにすることが大切。肌を露出しない服装、防虫スプレーや蚊取り線香の仕様など。

●予防接種について

 黄熱病予防接種の効果は接種後10日目から。従って出発直前に予防接種をしても最初の何日間は無防備な状態だということ理解しておこう。有効期間が10年もあるのでどうせ受けるなら早めに。予防接種は検疫所又は指定の医療機関でしか受けられない。しかも、曜日と時間が決まっているうえに事前予約をする必要がある。さらにやっかいなことに、検疫所はどこにでもあるというものではなく、東京都の場合2箇所のみ。まったくない都道府県もある、というかない都道府県がほとんど。家の隣に検疫所があるなんてラッキーな人はごく稀でしょうから、大半の人は、予防接種を受けるために学校や仕事を休まなければならないのが現状だ。

予防接種の副作用は、頭痛、筋肉痛、微熱などの症状が4人に1人くらいの割合で現れる。またきわめて稀だが神経疾患や肝不全、多臓器不全となる例も報告されている。

海外渡航者向けワクチン接種検疫所リストを参照

●注意点

 黄熱ワクチン接種済み証明書を入国時に要求する国や、帰国時の乗り換えの時に要求する国がある。今回われわれが利用したエミレーツ航空ドバイ経由のルートでは必要なかった。どのルートが必要になるかは検疫所で確認して下さい。

●我が家の場合

 今回旅行する地域は気温の低い高地のため、そもそも蚊があまりいない場所。感染し発病する可能性はまずありません、という旅行会社のアドバイスもあり、なかなか予防接種を受ける決断ができずにいた。しかも旅行で会社を何日も休むのに、その予防接種でまた別に休みますなんて思いっきり気が引ける。アフリカへまたリピートする可能性は大きいし、南米だっていつか行きたい。だから本当はゼッタイ受けておくべきだったのに、決断できぬままだらだらと日にちがたち、気がついたら出発直前の12月になっていて、結局受けないまま旅行に出発してしまった。まあ何事もなかったからよかったのだが、これから計画されている方にはよけいな心配をしないためにも、予防接種を受けられることをおすすめします。旅行が1年後だとしたら、その前にくる春休みとか夏休みとかに受けれるので。

マラリア

●種類

熱帯熱マラリア

四日熱マラリア

三日熱マラリア

卵型マラリア

●感染方法と潜伏期

 マラリア原虫を持つハマダラカに刺されるされることによって感染する。人の体内にマラリア原虫が侵入してから発症するまでの期間(潜伏期)は、熱帯熱マラリアで12日前後、四日熱マラリアは30日、三日熱マラリアと卵型マラリアでは14日程度。

●症状

 一定の潜伏期間の後、悪寒、震えと共に体温が上昇し、1~2時間続く。その後悪寒は消えるが、体温は更に上昇し、顔面紅潮、呼吸切迫、結膜充血、嘔吐、頭痛、筋肉痛などが起こり、4~5時間続いたあと、発汗と共に解熱する。この熱発作の間隔は、感染するマラリアの種類によって異なり、四日熱マラリアは72時間、三日熱、卵型マラリアは48時間ごとに起こるが、感染初期では発熱が持続する傾向が多い。一般に熱帯熱マラリアは、他のマラリアと異なり高熱が持続する傾向があり、平熱まで下がることはほとんどない。また、症状も重く治療が遅れると意識障害、腎不全などを起こし、死亡することもある。

●予防方法

 蚊による刺咬を防ぐこと。防虫スプレ-(ポンプ式のもの、ガス式は機内への持ち込みが制限されることがある)や蚊取り線香も多少は有効。肌を露出しない服装(薄手の物はだめ)も効果がある。ハマダラカは日没後に出現するので、暗くなってからの不用意な外出は避ける。

マラリアには、感染を防ぐワクチンのような予防接種はなく、感染しても発病しないための予防薬を内服することで対処する。しかし近年、薬剤に耐性のあるマラリア(耐性マラリア)の存在が問題となっており、予防薬の服用に際しては現地のマラリア汚染状況などによって決める必要がある。また、予防薬は規則的に服用しないと発症は防げない。そのため、帰国してからも4~6週間は飲み続けなければならない。副作用もある。

● 我が家の場合

 感染して服用する薬と予防薬は同じなので、かかってから飲めばいい、という判断のもとわれわれは服用しなかった。それより、蚊にさされない工夫をすることと、発症したらすみやかに治療を受ける心構えを持つとが重要。また何事もなく日本に帰ってきてもしばらくの間は、警戒心を解かないことも大切なポイント。マラリアの特性を考えると、もっとも恐ろしい熱帯熱マラリアの場合、症状がなくても帰国後2週間近く潜伏期間がある。もし感染していた場合、初期症状は風邪やインフルエンザに似ており、また日本のお医者さんはマラリアを疑うことになれていない。風邪と誤診され手遅れになったケースもある。症状が現れたらすぐ病院へ行き、マラリア感染地帯へ旅行していた旨を伝えよう。

マラリア治療に関する相談場所一覧

病原虫の研究をおこなっている大学病院などでは、貴重なサンプルが来院したとVIP待遇でもてなされるらしい(笑)

狂犬病

狂犬病は、発病するとほぼ100%死亡し治療法がないおそろしい感染症だ。

日本では徹底した野犬対策などにより効果を上げ、1957年以後患者の発生はなくなったが、2006年8月にフィリピンで犬にかまれた人が日本に帰国後狂犬病を発病し死亡した例が報告されている。世界では現在も狂犬病により年間4万人~6万人が死亡しており、欧米を含むほぼすべての地域に存在している。(オセアニア、イギリス、アイスランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデンのみが例外。2007年4月現在)

イヌからの感染が多いので「犬」と名がついているが、アライグマやスカンク、コウモリ、キツネ、アフリカではイヌ、ジャッカルやマングースからでも感染する。ネコや馬、牛なども感染源になる。

●病原体

 狂犬病ウイルスはラブドウイルスの一種。

●感染様式

 感染した動物にかまれた傷口からウイルスが侵入する。

●症状

 ヒトの場合、潜伏期間は9日から数年で通常は20から60日程度。発病率は32~64%。発病するかどうかはかまれた傷口の大きさや体内に入ったウイルス量などでかわる。

症状は、発熱、頭痛、全身倦怠、嘔吐などの不定症状で始まり、かまれた部位の異常感覚がある。そして筋肉の緊張、幻覚、けいれん、嚥下困難などが起きる。液体を飲むとのどがけいれんを起こし苦しいため、水を怖れるようになる(このため恐水病とも呼ばれる)。犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、大量のヨダレをながし、昏睡、呼吸麻痺が起き死にいたる。

●治療方法

 狂犬病のおそれのある動物にかまれたら、すぐに傷を水でよく洗い、信頼できる病院でできるだけ早く傷の処置とワクチンを接種する。いったん発病したら治療法はなく、100%死亡します。

●狂犬病の動物について

 狂犬病に感染した犬は1~2週間の短期間で発病する。狂犬病の犬は、むやみに歩き回り、柱などの物体にかみついたり、地面を無意味に掘る、狼のような遠吠えをするなどの異常行動をとる。また、流れるようにヨダレを流すようになる。この時期の犬は攻撃的で、ちょっとした刺激でかみつくので、見かけたらすぐ逃げよう。

●予防方法

 日本人はイヌやネコをみると無防備にふれようとしがちだが、野犬や野生動物にはむやみに手を出さないようにすること。

コレラ、赤痢、細菌性中毒症

●感染経路

 いずれも生水、不潔な手指、生の魚介類、細菌によって汚染された食品が経路となる。

●症状

 下痢、嘔吐、発熱、腹痛、血便、脱水症状、意識障害、けいれん等

●予防策

手洗いの徹底(特にこどもたち)。目の前で栓を開けたものしか飲まない。安宿や不衛生な食堂での食事を避ける。生野菜、フルーツを控える。生魚介類、生肉は食べない。歯磨きはミネラルウォーターを使用する。ジュースなどを飲むときも氷は使わない

日射病白内障

日射病対策として、長時間日向にいない。帽子をかぶる。もし日射病にかかったら、涼しい木陰で休息し水分を多めに補給する。紫外線による白内障など目の障害を防ぐためサングラスを着用する。

こどもにはとにかく普段から偏食させず、また化学薬品が大量に含まれる市販の菓子類を食べさせないこと。合成着色料や化学的保存料を使用している食品やジュースを避け、栄養のあるものを食べ、よく寝てよく遊んでよく笑い規則正しい生活をすることが何よりの病気予防だと思います。

かかりやす病気の症状、対策、予防法

参考記事:子連れ海外旅行の心配事第一位・赤ちゃん・子どもの病気対策と予防法