ピローグに乗ってヴェス族の暮らす文明の最果ての島へ渡る〜ベタニタ漁村観光

2019年3月2日

ベタニタ漁村は、漁で生計をたてるヴェス族の漁村。

モロンダバの対岸の、砂でできた島にあり、ピローグと呼ばれる手漕ぎのアウトリガーカヌーで渡る。

ヴェス族の人たちの素朴な暮らしや、のどかな村の様子を見ることができる、貴重な体験だ。

 

ベタニタ漁村観光

 

ピローグ漕ぎの名人ジョー

今日われわれをベタニア漁村へ連れてってくれるのは、ピローグ漕ぎの名人ジョー。筋肉隆々の太い腕が、赤銅色に日焼けしていて、いかにも海の男といった感じのお兄さん。ピローグは、ホテルを出て前の道路を渡った岸辺に泊めてある。さっそくのり込んで出発だ!

 

ピローグに乗る子ども達

              このピローグに乗ってベタニア漁村へ行くんだよ

 

水上集落

ピローグはマングローブの水路をかき分けて進む。時折、岸辺の茂みの中に水上集落があらわれる。家のまわりではかならず数人のこどもたちが水に入って遊んでおり、こちらに気づくとカッパのように水しぶきを飛ばしながら手を降る。

水路を行き交う船は、ほどんどが、ピローグか帆船。つまりエンジンで走る船はひとつもなく。昔ながらの航法で、CO2の排出量なんかもちろんゼロですよ。それにエンジンの音がしないから静か。船が水を切るチャプチャプという音だけが風に乗って水路に響きわたっている。

 

 

ヴェス族の島

やがてわれわれを乗せたピローグは水路を抜け海に出た。同時に対岸の島に村が見えてきた。あれがベタニア漁村か。砂浜と木々の間に、木造のこじんまりした家が並んでいる。なんか、100年前にタイムスリップしたような風景だ。あるいは黒沢明監督の映画「七人の侍」の舞台ロケセットの中にまぎれこんだような不思議な光景。

島がどんどん近づいてきて、船は砂浜に打ち上げた。ここから船を降りて徒歩で村を散策するのだ。

 

島に上陸

          島に上陸 / ここが村の入り口です

 

ベタニア漁村

ジョーとマミーのあとについて村に入ると、そこらで遊んでいたこどもたちがわーっと集まってきた。キラキラ輝く瞳で、カイとリュウを見ている。東洋人の子供は珍しいのだろうか。何か小声で話しながら、わたしたちのあとをついて来る。カイとリュウがお笑い芸人のように、おおげさにつまずいたふりをすると大笑い。って何ウケねらってんだよーー。

驚いたことに村には電気やガス、水道はないという。お店ももちろんコンビニも、学校も病院も道も公園も下水道もない。車やバイクなども全く走っていない。

村の中心にその昔キリスト教の宣教師が建てた古びた教会があり、教会の前に井戸があった。井戸の水は海水が少し混じっていて塩っぱいらしいが、飲めないほどではないと言う。この村の人たちは、みなこの井戸水で命をつなぎ、昔から変わらない生活をここで続けているのだ。

 

ベタニア漁村の子ども達

           無邪気な笑顔でついてくるベタニア漁村の子ども達

 

日本各地にも、その地方独自の文化や産業を育んできた集落がたくさんあった。数百年にわたり存続してきてたそれらの集落の大半が、ほんのここ50年の間に、日本の国土から姿を消してしまった。野生動物で言えば「絶滅」と同じこと。かって日本じゅうにあった、独特の文化を持った集落の多くが、「絶命」してしまったのだ。お金と効率性を追求してきた日本人は、どこかで道を間違えたのだろうか?

 

                 この古い塔は宗教的な建物らしい / 砂漠のような砂の島 / 村共同のシャワールーム

 

文明の最果ての島に昇る月は、電気のない闇夜を明るく照らす。

ガスも水道も電気も、病院も警察も学校もないベタニア漁村では、そんなささやかな自然の恵みに感謝し、大人から子供まで、お互い助け合いながら、笑顔で暮らしている。

 

ヴェス族の人々