バンコクスワンナプーム国際空港で乗り継ぎ

2019年3月1日

「すげー、宇宙ステーションみたい!」

ボーディングブリッジを渡り、バンコク/スワンナプーム国際空港のコンコースに出たこどもたちは、

その未来的なデザインの通路を見て歓声をあげる。

日本からわれわれを乗せて来たタイ航空677便が到着したのは、コンコースCのゲートC-6。

ここから長い通路を歩いてまずコンコースDを目指す。

時刻は予定より約30分遅れて午後10時40分。日本は深夜12時40分だ。

スバンコク・ワンナプーム国際空港に到着

スワンナプーム国際空港に到着

こどもたちは自宅から成田までの車の中で1時間、成田からバンコクまでの機内で3時間、合計4時間寝せてある。これ以上寝かせると、ここからマダガスカルまでのフライトで寝なくなるかもしれないし、逆にこれより短いと、乗り継ぎの時ぐずってけんかをしたり、騒いで他の人に迷惑をかけてしまうかもしれない。深夜の乗り継ぎがある旅行では、普段以上にこどもたちの睡眠時間を管理しなければならない。

コンコースCとDが交わる所まで来て、乗り継ぎカウンターがあるのを見つけた。カウンターのスタッフ聞いてみると、ここはタイ航空とスターアライアンス系の専用カウンターだと言う。マダガスカル航空の乗り継ぎ用カウンターは、このコンコースDをずーっと歩いていったその先らしい。ひぇ~~、ずっと先なんて見えないじゃないか!噂には聞いていたけど、本当にデカイ、この空港。

スワンナプーム空港で乗り換える子ども達

スワンナプーム国際空港について

スワンナプーム国際空港は、バンコクの東約30kmの地点に2006年9月28日に開港した、東南アジア有数の巨大空港だ。空港の敷地面積は成田空港の約3倍、管制塔の高さは世界一を誇る。「スワンナプーム」とはタイの言葉で「黄金の土地」という意味。空港開港時に即位60年を迎えられたプミポン国王陛下が命名された。しかし最初に計画が持ち上がったのは、即位60年よりずっと以前の1973年。タイの国家的プロジェクトとして、バンコク新国際空を建設しようという計画がスタートしたのだ。しかしクーデターや、通貨危機、システムトラブルなど数々のアクシデントに見舞われ、完成が2006年までずれ込んだ経緯がある。様々な困難を乗り越え完成したスワンナプーム国際空港は、まさにタイの新時代の象徴と言えよう。

スワンナプーム国際空港には4000mと、3700mの2本の滑走路があり、1時間に76便の葉着を処理する能力がある。年間利用者のキャパシティーは4500万人で、将来予定されているさらに2本の滑走路が完成すると、年間1億人の利用者まで処理できる、世界有数の空港となる。

ターミナルビルの設計は、ドイツ人建築家のヘルムート・ヤーン氏。建設は、日本の大林組、竹中建設と、イタリア、タイの合弁会社が担当。地上7階建て、地下2階建て、建物の幅はなんと444mもある。

現在世界の80社あまりの航空会社が乗り入れ、アジア、オセアニア、アフリカ、中東、ヨーロッパ、北米などへ毎日たくさのフライトを運行している。ちなみにスワンナプーム国際空港に乗り入れているアフリカ系航空会は下記の4社。

1)マダガスカル航空/アンタナナリブ

2)エジプト航空/カイロ、北京、広州

3)エチオピア航空/アジスアベバ、香港、広州

4)ケニア航空/ナイロビ、香港

どこまでも続くコンコースの通路

どこまでも続くコンコースの通路 / タイ航空とスターアライアンスの乗り継ぎカウンター

空港と航空会社選びの意外なポイント

海外旅行を計画する時、航空会社を選ぶポイントとして、あなたは何に気をつけておられるだろうか?その航空会社のイメージ?料金の安さ?サービス?安全性?フライトスケジュールなどの利便性?マイレージプログラム?う~ん、どれも正解と言えば正解。でも子連れ旅行者なら、空港と航空会社の関係にもぜひ着目して欲しい。特に新バンコク国際空港=スワンナプーム国際空港のように超巨大空港を利用する場合、航空会社による利便性の違いを知らなければ、荷物が多く移動に時間がかかる子連れ旅行者は、痛い目に合うだろう。

スワンナプーム国際空港の旅客ターミナルビルの総床面積は563,000平方メートルで世界一の広さを誇る。ここに国際線、国内線のチェックイン、入出国手続き、荷物受け取り、税関などすべての到着、出発機能が集約されている。これは一見便利なようだが、実は大きな落とし穴が隠されている。確かに入国審査場や出国カウンターから近いコンコースを利用できれば便利だろう。でも逆にそこから遠いコンコースになってしまうと、とんでもない距離を移動しなければならなくなる。子連れで夜到着する場合など、ここでの30分~1時間の違いは致命傷になるくらい大きいといえるだろう。

ところであなたが乗ってる飛行機が、空港のどのゲートに到着するかなんて、その時の運まかせ、誰にも対処のしようがないと思ってはいないだろうか?いいえ対策の練りようはあります。例えば羽田空港のケース。ここでは大阪/伊丹空港から東京に到着する便は、優先的に正面出口に一番近いゲートを利用するようになっている。東京~大阪間の旅客輸送では、航空会社は新幹線と激しく競合しているため、利用客が「あ、やっぱり飛行機のほうが早くて快適だね。次も飛行機を利用しよう」と思ってもらえるよう、伊丹線の旅客を優遇しているのだ。

同じようなことが海外の諸空港でもおこなわれている。スワンナプーム空港はタイの空港だから、当然タイ航空が優遇される。タイにやって来た旅客が次もぜひタイ航空を利用しようと思えるように、便利な位置にあるコンコースをタイ航空に優先的に使用させているのだ。

スワンナプーム空港には、AからGまで7つのコンコースがあるが、そのうち、もっともターミナルビルに近いコンコースDはタイ航空専用だ。それからコンコースA、Bは国内線、Cはタイ国際航空とスターアライアンス加盟航空会社、E、F、Gはその他の航空会社となっている。つまり、タイ航空か、スターアライアンス加盟航空会社を利用すれば、確実にターミナルに近いコンコースを利用できるのだ。

ちなみにスターアライアンスとは、現在世界に3つある国際的航空会社連合組織のひとつ。航空業界は、1990年頃から世界的な規制緩和と競争激化を乗り切るため、コードシェアー便やマイレージの相互乗り入れなど、航空会社間の提携を広げていった。それが現在は大きな3つの連合に集約されているのだ。スターアライアンスには、タイ航空の他、全日空シンガポール航空、アシアナ航空、ルフトハンザ航空、スイスインターナショナル航空、スカンジナビア航空、ニュージーランド航空、エアカナダ、ユナイテッド航空、南アフリカ航空などが加盟している。その他の連合はワンワールド/アメリカン航空、日本航空、ブリテッィシュエアウェイズ、カンタス航空、キャセパシフィク航空など、それからもうひとつの連合、スカイチーム/ノースウェスト航空、コンチネンタル航空、デルタ航空、KLMオランダ航空、エールフランス、アリタリア航空、大韓航空などとなっている。

余談になるが、航空会社と空港の関係は他の行き先へ旅行をする時にもあてはまる。例えばシンガポール・チャンギ空港、シカゴ・オヘア空港、フランクフルト・マイン空港、ミュンヘン国際空港、チューリッヒ・クローテン空港などを利用する旅行では、スターアライアンス系の航空会社のメリットが大きい。一方、ホンコン・チェック・ラップ・コック空港、ロンドン・ヒースロー空港、ダラス・フォートワース空港等はJALなどが加盟するワンワールド系の航空会社、ソウル仁川空港、アムステルダム・スキポール空港、パリ・シャルルドゴール空港を利用する旅行はスカイチーム加盟の航空会社を利用するメリットが大いと言えるだろう。

国際空港にはこのように、そこを母空港として使用する航空会社があるので、それがどの会社でどの航空連合に加盟しているのか、最低限チェックしておいて損はない。マイレージにこだわらなくて、航空券の料金が変わらないなら、行き先で利用する空港がどの航空連合の母空港かに着目して利用する航空会社を選ぶと、旅の快適性がずいぶん違う。何かとストレスや災厄の多い子連れ旅行者は、ぜひフライト決定時に留意しておきたいポイントだ。

コンコースGの4階にあるスポーツバー

         コンコースGの4階にあるスポーツバー

到着~入国の流れ

スワンナプーム国際空港に到着したら、ボーディングブリッジを渡りコンコースへ出る。繰り返しになるが、どのコンコースに到着するかは利用航空会社によって異なる。

コンコースを歩いて入国審査場に到着すると、パスポートコントロールが3カ所ある。それぞれはかなり離れており、どこを選ぶかは、荷物を受け取るターンテーブルに近い所がいい。ターンテーブルは22個あり、入国審査場の手前に到着便ごとのテーブル番号が表示されているので、それを目当てにしよう。(テーブル番号1~6は国内線)

パスポートコントロールには72ヶ所の入国審査カウンターがあるので、長い時間がかかることは少ないだろう。入国審査がすむと、手荷物受け取り場のターンテーブルへ進む。入国カウンターの内側にも到着便ごとのテーブル番号が表示されているので、審査前に見忘れた人もここでもう一度確認できる。空港開港当初は荷物が出てくるまで6時間待ちなんてこともあったらしいが、現在その点は改善されているらしい(あたり前だろ~~)

手荷物を受け取ったらそのまままっすぐ進み税関に向かう。特に申告するものがなければ通過して出口から空港の外、到着ホールに出る。出口はA、B、Cの3カ所あり(コンコースの表示とは無関係)、現地旅行会社のスタッフと待ち合わせするなら、事前にどの出口か確認しておこう。

空港からのアクセス

バンコク市街と空港を結ぶ鉄道は2008年度中に開業予定だが、現在はまだ運行されていない。したがって空港からバンコクやその他のタイ国内地域へ行く場合、バスか車を利用することになる。

●リムジンタクシー   空港ターミナル2階から出発。料金は車種によって異なる。メルセデスベンツやボルボなどの高級車から日本車、ワゴン車など選択肢がある。料金は車種によって異なるが、おおよそ900~1900バーツ。パタヤまではおよそ2600バーツ。 バンコク市内までの所要時間はおよそ30分(渋滞がないケース)

●メータータクシー   空港ターミナル2階から出発。メーター料金に50バーツの追加と、バンコクまでの高速道路料金/25~65バーツが別途必要。バンコク市内までおよそ300バーツ(高速代別)。バンコク市内までの所要時間はおよそ30分(渋滞がないケース)。

●エアポートバス    空港ターミナル1階から出発。30~60分間隔で午前5時半から深夜1時まで運行されている。料金は1人150バーツ。バンコク市内までの所要時間はおよそ1時間(渋滞がないケース。行き先は1)シーロム、2)カオサン通り、3)スクムウィット通り行きの3路線。

●公共交通センター   空港ターミナルビルの3km北東にある交通センター。公共バスのターミナルになっており、バンコク市内の他パタヤなどその他タイ国内への路線の基点となっている。公共バスは24時間運行で、バンコク市内までの料金は35バーツ均一。所要時間は約1時間半(渋滞がないケース)。空港ターミナル2階から、公共交通センター行き無料シャトルバスに乗車することができる。交通センターまでの所要時間あはおよそ3~5分。公共交通センターからは、一般メータータクシーを利用することもできる。空港ターミナルのタクシー乗り場が長蛇の列なら、こちらへ無料シャトルで移動してきたほうが早いケースもある。

タイ航空ロイヤルシクルラウンジ

        タイ航空ロイヤルシクルラウンジ

空港ホテル

ターミナルを出て道路を渡った正面に空港ホテルがある。名称はノボテル・スワンナプーム・エアポートホテル。客室数は612室。日本食、中華など5店のレストラン、カフェと、免税店、プール、スパがある。ホテルのウェブサイトはコチラ

タイ・シルクの専門店「ジムトンプソン」

                タイ・シルクの専門店「ジムトンプソン」

出国

スワンナプーム空港の出国の様子についても簡単に触れておこう。空港に到着したら利用する航空会社のチェックインカウンターで搭乗手続きをする。この時預ける荷物があれば同じくカウンターで手続きをする。出国税/空港使用料の含まれていない航空券を所持している場合は、空港のチェックインカウンターで700バーツを支う。ただし、

  1. 乗り継ぎエリアから出ない乗り継ぎのみ
  2. 2歳未満のこども 

は空港使用料を払う必要はない。搭乗手続きが終了したら出国審査に進み、それが終わると、出発ロビーに入れる。何度も繰り返しになるが、出国審査場から飛行機の登場ゲートまで、利用する航空会社によっては相当な距離を歩くことになるので、空港内で最後の買い物や食事を楽しみたい場合は、早めに空港に到着するようにしたい。

フィッシュボール入りタイ風汁ビーフン

     空港内レストラン / フィッシュボール入りタイ風汁ビーフン

乗り継ぎ

さて、今回わたしたちはバンコクで入国はせず、マダガスカル航空に乗り継いでアンタナナリブを目指す。バンコクでの乗り継ぎ時間は3時間ほどあり、計算上はたっぷり余裕があるように見えていた。がすでに飛行機の到着の遅れ30分と、ここまで歩いてくるのに30分かっかっているので、バンコク到着後1時間が経過している。このままコンコースDを歩いて行って、もし、マダガスカル航空のカウンターがなかったら、乗り継ぎに間に合わなくなっちゃうぞ。マダガスカル航空なんて小さな航空会社だから、カウンターも目立たないくらい小さいに違いない。きっと見つけるのも簡単ではないだろう。

マダガスカル航空の乗り継ぎカウンター

    マダガスカル航空の乗り継ぎカウンター。こんな小さな表示?

スワンナプーム空港の通路は、シンプルなデザインのため歩いても歩いても風景が変わらず、余計距離を長く感じる。やっとコンコースDの終わりまで来て、乗り継ぎカウンターを見つけた。やった~、本当にあったよ。あれーー?、でもマダガスカル航空のカウンターが見当たらないぞ。どうしよー、ここじゃないのかな?こどもたちもママも手分けして探す。もしここじゃなくて、別のコンコースなら、早く移動しないと、本当に飛行機に間に合わなくなっちゃう。

気があせってあたふたしている時「あったーー」とママの声がした。さんざん探してやっと見つけたのは、フィリピン航空のカウンターの影に、ひっそりとたたずむマダガスカル航空の文字だった。ええ~~、なぜですかーー。空港はこんなデカイのに、文字ったら不自然なほど小さすぎ!でもまあとかくあってよった。ここでアンタナナリブまでの乗り継ぎ手続きをして、終わったら3階に上がって食事にしよう。3階はショップも充実しており、ママはジムトンプソンを見つけすかさず潜入。以前バンコク市内のジムトンプソンで買ったクッションカバーが、いかにもアジア風デザインで気に入っていたのだが、同じようなものは売っていなかった。それからカフェ風のおしゃれなレストランでタイ風汁ビーフンをいただき、こどもたちはスポーツバーでハンバーガーとソフトクリームを食べて、久しぶりの&つかの間のバンコクの夜を満喫したのだった(というほどおおげさなものではありませんが)

そんなこんなで出発の時間になり、わたしたちを遥かアンタナナリブまで運んでくれるマダガスカル航空011便が待つ、ゲートF-2へ向かったのだった。

搭乗ゲートへ向かう