クリオン古代遺跡にある2000年前の絶景露天風呂エウストリオスの家

2019年2月24日

イスラエルを夜出発したブルーモナーク号は、翌朝にはキプロス島の沖合まで航行していた。

「あれがキプロス?」

朝食をいただきに屋上デッキにあがると、朝の海の先に、ピンク色に染まる海岸線や山々が見える。キプロスにはやわらなか色合いのライムストーンが多いため、朝日の色と融合し、それを海上から眺めると、ピンク色の大地が海に浮んでいるように見えるのだ。

 

クリオンの古代遺跡

     クリオン遺跡は海を見下ろす高台に造られた古代の公衆浴場

 

キプロスに到着

食事を食べている間にも島はどんどん近づき、やがて、船はリマソールの港に入港した。

リマソールは、キプロス島南海岸のほぼ中央に位置する、近代的な港湾都市だ。キプロス経済の中心地であり、海の玄関口にもなっている。リマソール港にはたくさんのクルーズ船が立ち寄るほか、ギリシャやエジプトへの国際航路も運航されている。

そして、美しいビーチに面して発展した市街地の西側には、ビーチ沿いに大型リゾートホテルやレストランが並んでいる。

 

     海のむこうにキプロスの大地が見えてきた / 船をおりたらすぐ観光バスに乗る / バスの車内の様子

 

キプロスバスツアーに出発

食事が終わったら、キプロスツアーに出発しよう!

キプロスでは、1)パフォス観光、2)リマソール半日観光、3)ニコシア半日観光、の3つの上陸エクスカーションが用意されている。それとは別に港からリマソール中心街への無料シャトルバスも運行されているので、エクスカーションに参加しなくても、リマソールだけなら、自分たちで行動することも可能だ。キプロスは英語が通じるし治安の心配もない。

そんな中で、わたしたちが選んだのは、1)の「パフォス観光」。

実はこのツアーには「キプロス イースト&ウェスト」という副題が付けられていたので、キプロス島の東と西に行ってくれるものとばかり思っていた。ところがてんで違いました

このイーストとかウェストとかいうのは東洋、西洋の意味で、キプロスは古くから東洋文明と西洋文明が交差する要所だった、という意味で使われたみたいです。

まぎらわしぃ~ぞ!!

 

               遺跡は大屋根に覆われ日差しから守られている

 

クリオンの古代遺跡

船を下りたら大型の観光バスが止まっていて、いそいそと乗り込む。

今日1日、わたしたちのツアーのガイドをしてくれるのはキプロス人女性のアシュードラ。ヨロシクオネガイシマ~ス。

バスはまず港からまっすぐ北上し、南海岸を東西に貫く幹線とぶつかると、左へ曲がって、一路キプロス島の西を目指して快走した。キプロスは1年のうち300日以上が晴天にめぐまれるとう太陽の島。特に夏は天気予報も傘もいらないくらい毎日、毎日快晴が続く。そのまぶしい光の中、乾燥した山肌を縫うように、ハイウェイが続いている。左手には目の醒めるような、真っ青な海。乾燥した大地と、青く澄み切った水のコントラストが、この世のものとは思えないほど感動象的な景観を提供してくれる。

絶景を眺めながらバスに揺られていると、ひときわ高い山の頂にある駐車場でバスが止まった。

今日最初の観光ポイント、クリオンの古代遺跡に到着したようだ。

 

クリオンの古代遺跡のモザイク画

               クリオンの古代遺跡 / 床のモザイク画が素晴らしい

 

クリオンの古代遺跡は、紀元前14世紀頃、ペロポネソス半島からやって来たアカイヤ人の植民地として発展した場所。

海に突き出た岬の高台に遺跡があり、眼下に広がる景色が、こりゃまた素晴らしい。

 

         すごい場所にお風呂を造りましたね

 

エウストリオスの家

バスを下りたらアシュードラの後をついて、駐車場のすぐ前にある「エウストリオスの家」と呼ばれる遺跡へ向かう。家というから、誰か偉い人の館の跡かと思っていたら、そうじゃなくて、どうやら古代の公衆浴場の跡のようだ。いくつもの浴槽やサウナ、立派な休憩室まである。高台にあるたから眺めも素晴らしい。さしずめ古代の絶景露天風呂だ公衆浴場というより、温泉センターみたいなところだったのだろう。

遺跡全体がすっぽり大きな屋根で覆われ、床に描かれた繊細なモザイク画を、強い日差しから守っているのだが、日陰になるので見学するのにもとても楽だ。海から吹き上がってくる風が、気持ちいい。キプロスも今までクルーズでまわった国と同様に、日差しが強く気温も高いのだが、湿度が低いため、日陰や風が吹くと、快適そのもの。

遺跡の入り口には小さなカフェと、遺跡に関する資料や写真集が陳列された、これまた小さな図書館がある。トイレもきれいです。

 

ローマ野外劇場

 

ローマ野外劇場

さてエウストリオスの家を見学し終わったら、今度は、もっともっと海にせり出したほうへ続く小道をすすむ。

海の景色でも見に行くのかなと思いきや、海に面して岬が落ち込む壁面を利用して、野外劇場が造られていた。

 

             隠れるとこがいっぱいあって楽しいね / 上からステージを見下ろす

 

おお~~

これは紀元前2世紀に造られたローマ式野外劇場。ほぼ当時の姿のまま残っており、その大きさといい、ロケーションといい、圧巻だ。3500人の観客を収容できる階段状の半円形の観客席からは、ステージとその背後に紺碧の海原を見下ろすことができる。

音楽会や演劇の他に、動物闘技が行われていたという。

 

野外劇場の階段を縦横無尽に走り回るこどもたち

                    階段を縦横無尽に走り回るこどもたち

 

観客席最上部の背後は、大きいなライムストーンが組み上げられ、ちょっとした迷路のようになっている。こどもたちはそこでかくれんぼをしたり、階段を駆け下りたり、駆け上ったり、楽しそうに走り回っていた。ずっと遺跡の見学だったので、身体を動かしたくてむずむずしてたから、こりゃまたちょうどよかったね。

ライムストーンの石組みの間からかいま見る、コバルトブルーの海の色が印象的な、クリオン古代遺跡だった。

 

遺跡を見学する子ども達