さよならエジプト〜子ども達がエジプトで印象に残ったことランキング
おみやげショップを出てバスに乗り、ポートサイドへ向けて出発する。いよいよカイロとお別れだ。
車窓を流れる景色をぼんやり眺めながら、旅というのは時間の感覚を惑わすものかもしれないと考えていた。
わたしたちがクルーズ船を降りてカイロに向かって出発したのは、今日の朝のことだ。
でも、もう何日も前のことのように思える。
お世話になったアッシュゲンさんと
旅人の時間
その一方、前回エンジプトを訪れたのは20数年も前のこと。それがつい昨日のことのように思い出される。
今日のできごとを長く感じ、20数年前をつい昨日のように感じる。
旅人がまとう時間とは、砂漠にできるピラミッドの影のように、時刻や季節によって伸び縮みするのかもしれない。
ポートサイドの町が見えてきた
ただいまブルーモナーク
さて、カイロを出発してバスに揺られることおよそ2時間、おしゃべりしたり、うたた寝している間に、どうやらポートサイドの町に帰ってきたようだ。ナツメヤシの葉影のむこうに、巨大なロボットのような、港のクレーン群が霞んで見える。日中の殺人的な日差しはすっかりなりを潜め、町も港も海も、うす紫のやわらかな夕刻の光に包まれている。
アラブの音楽が流れる誇りっぽい路地を何回か曲がった時、突然目の前にブルーモナーク号の姿が飛び込んできた。
「あ、あったー!」
「おお、あった、あった、ただいま、という感じだね」
長い1日を終え、再び港に戻って船を見た時、緊張という重い鎧が、ばらばらと身体からはがれ落ち、すーっと全身の力抜けていくのがわかった。それはなつかしい我が家に帰ってきたような感覚。ブルーモナーク号に乗ったのは、つい一昨日のことなのに!
夕刻の港に浮ぶブルーモナーク号
さよならエジプト
バスは埠頭の入り口のゲートの前で止まる。バスから降りると、ドアのところにアッシュゲンとヤッシュが立っていた。今日、同じバスに乗ってピラミッドやカイロ市内をガイドしてくれた2人。考えてみればすごいことではないか。この地球上には何十億人も人間がいるのに、それに東京の同じ町内に住んでいたって話しもしない人はたくさんいるのに、日本からはるか遠いエジプトで、この2人とは密度の濃い1日を過ごした。
でも、別れをなごり惜しんでいる時間はない。船はすでに出港体勢に入っているので、乗り遅れちゃったら大変だ。それにお別れは感傷に浸っているヒマがないほどあわただしいほうがいい。
「ありがとう、とても楽しかったです!」
「またぜひご家族で入らして下さい」
この星で奇跡的に出会った2人と握手をかわし、それからゲートの中へ急ぎ足で入る。そしてセキュリティーチェックを受け、タラップを登りきったところでもう一度振り向いて、バスのほうへ向かって大きく手を振った。
今夜の夕食は、ビュッフェ。
時計を見ると時間は午後8時前。こどもたちもわたしもお腹ぺこぺこだし、時間も遅いので、こんな時すぐ食べれるビュッフェはありがたい。船に戻ると船室には行かず、そのままビュッフェ会場の屋上デッキへ直行。もうすっかり陽は海に沈み、町の灯りが水面にきらきら反射している。昼間猛威をふるった熱波さえ、ひんやりした心地いい風にかわっている。
夜になると同じ国とは思えなくくらい快適な気候になるんだね。
食事をいただきながら今日のできごとをこどもたちと話していたら、ボォ~~と大きな汽笛が鳴った。
よく見ると船はゆっくりと岸壁から離れてはじめているではないか!次の寄港地、イスラエルにむかって出港しているのだ。
こどもたちとデッキの端に駆け寄り、ゆっくり遠ざかるポートサイドの夜景を瞳にやきつける。短い間だったけど、ボクたちに素敵な思い出をいっぱいくれた大いなる国、エジプト。
「ありがとー!」
「さよ~なら~」
「また来るね~~!」
潮風に吹かれながら、夜の海原に響く汽笛に負けないくらい大きな声で、満天の星空に届くよう気持ちをこめて、遠ざかるエジプトの大地にお別れを告げた。
今夜の食事はビュッフェ / 夜の海風に吹かれながらいただく食事は最高♪ / 離れてゆくポートサイドの町
こどもたちがエジプトで印象に残ったこと
- ツタンカーメンの黄金のマスク
- ピラミッドに潜入したこと
- ラクダに乗ったこと
- ミイラを見たこと
- ヤッシュのポーズ
さあ、明日はイスラエルだ!!