スタック脱大作線
サバンナにできた沼のようなぬかるみにタイヤが埋まってしまったサファリカー。こうなってしまうと4WDでも抜け出すのは大変だ
ジャンボ〜!6歳(年長)から12歳(小6)の6人の子どもを連れて、猛獣が闊歩するアフリカのサバンナでキャンプ旅行。
旅行8日目。元日からサファリカーに乗り込み、ハッピーニューイヤーサファリに繰り出しました。途中まででたくさん野生動物が見れて順調だったのですが、サファリカーが沼のようなぬかるみでスタックしてしまい大ピンチ!果たしてこのスタックから脱出できるのでしょうか。
サバンナのぬかるみでスタック
フンコロガシの場所から少し走ったところで、
ぬかるみにタイヤをとられてしまった。
前にも後ろにもぜんぜん動かない。
スタックしたようだ。
4WDのランドクルーザーでもスタックしちゃうんだ。
このまま車が脱出できなかったら、
どうなっちゃうんだろう?
歩いてキャンプサイトまで帰るのかな?
ライオンとかチーターとかいる中を。
うわぁ~~、動かなくなっちゃった
そんな心配が頭の中をよぎった時、先を走っていたエドゥが引き返して来た。
ンゴロンゴロでタイヤが燃えた時と同じ展開だ。わたしたちにはアヒルファミリーの車が、も~ピンチを救ってくれる正義のヒーローのように見える。
エドゥとモーゼスが手際よく2台の車をワイヤーでつなげて、どうやら、エドゥの車でぬかるみから引っぱり出すみたい。
2台の車をワイヤーでつなげて思いっきり引っぱりマス/ガンバレ!ガンバレ!
うまくいくか?かたずを飲んで見守るなか、
タイヤが泥の中で
猛烈に空回りし始めた。
その回転で泥がパァっと青い空にむけて飛び散る。
2台の車のエンジン音だけが、
この広い草原に響きわたる。
ガンバレ、ガンバレ
もうちょっとだ、行けぇ~、
あ~出るぞ、
もうひとふんばり。
イケルイケル、
やったぁ~!!出たー!
ぬかるみから脱出した瞬間、急にエンジンの音がスムーズになり、後はカーリングのようになめらかにすーっと草の上をすすむ。
そして2台の車は静かに停車し、中からモーゼスとエドゥが興奮しながら飛び出して来た。
もう嬉しさのあまり、こどもたちもまるでW杯で優勝したかのように
サファリカーの屋根の上に立ちあがって、歓声をあげている。
しまいには、モーゼスとエドゥの中にアヒルパパが割り込み、3人でマサイの村に古くから伝わる
「脱出のダンス」
を狂ったように踊ったのだった(そんなものはありません)
踊る3人組/てんやわんやのお祭りさわぎ/やった~、でた~
スタック脱出大作戦
さて、落ち着いたところでサファリの続きを楽しもう。
われわれがスタックしたところから、ほんの数百メートル走ったところで、
別の車がぬかるみにはまっていた。
前輪も後輪もまるで地面にめり込んだみたいに深々とはまってる。
ありゃー、これはタイヘンだ。
われわれより先に通りかかったサファリカーのドライバーが、救出を手伝っている。
モーゼスもエドゥも車を止めて、手伝いにむかう。
ありゃ~、あんなに埋まってる車がいるよ/これは手強そうだぞ/みんなで救出をここみる
寂しい年越し
聞くとこの車は、
昨日の午後3時くらいから
ここでぬかるみにはまって立ち往生しているらしい。
ってええぇ~!
それじゃあ、アンタ、
年末年始をここで1人で過ごしたってこと?
そりゃー悲しすぎる。
はなしを聞いたアヒルパパが、なんとか助け出してやろーじゃないか、とスコップを手にタイヤのまわりの泥をザックザックとすくい出した。
それから2台の車をワイヤーで連結。さっきと同じように引っ張るが、途中でワイヤーがはずれてうまくいかない。こりゃ~さっきよりぜんぜん手強いぞ。
アフリカの大地を掘るアヒルパパ/ワイヤーはすぐはずれてしまう
息抜きに
車の横で輪になってボールを蹴ってるグループがいる。救出活動をしているガイドの乗客で、ニュージーランドやイギリスから来たツアーグループだ。
うちのこどもたちも輪に入れてもらい、いっしょにそのけまりみたいな遊びをはじめた。ボールを地面に落とさないで、パスをまわしながらなるべく多くつなげるという単純なルールのようだ。
でもみんな真剣。
じゃあこどもたち、日頃のサッカーの練習の成果を見せてやれ!
ニッポンのすごいところ脳裏に焼きつけてやれ!
っていや、
そんなすさまじい試合とかじゃないから。
ここは国立公園の中なので、本来なら車から降りては行けない場所。
事が事だけにみんな降りちゃってますけど、
その上アハアハ笑いながら、
こんなボール蹴り遊びを楽しんでるけど、注意だけはおこたっちゃいけませんよ。
ここは肉食無法地帯のセレンゲティ。草むらのどこで、ライオンやチータがわれわれを襲おうと身を潜めているかわからないのだから。
一方、スタック救出作戦のほうは、あの手この手で策を尽くしてみたが、どうしてもうまくいかない。
さすが、だてにあしかけ2年もスタックしてませんね。
そうこうしているうちに、
ニュージーランド人/イギリス人の運転手はギブアップ。
これ以上やってもらちがあかないからと、
サファリに行ってしまった。
セレンゲティの大草原で蹴まりを楽しむ乗客とこどもたち
アフリカで学んだこと
でもモーゼスとエドゥはまだあきらめない。タイヤのまわりをさらに深く掘って再トライだ。しかしそのあとさらに1時間以上何度も何度もトライしたものの、結局車はぴくりともしなかった。
とうとうモーゼスたちもあきらめて車に乗り込む。
「いや~時間かかって申し訳ない、サファリの時間が少なくなっちゃったね」
とモーゼス。
しょうがないよ、われわれだって、いつ助けてもらうほうの立場になるかわからないんだから。
われわれがこのサバンナで学んだものはたくさんある。野生動物の生き様とか、大自然のすばらしさとか、環境保護の大切さとか。
そのなかで、この国に暮らす人々の
「助け合う気持ち」
はとりわけインパクが大きかった。
それは日本人が都市に移り住み、物質的に豊かになっていく過程で、失ってしまったもののひとつのような気がする。
旅先で学ぶ=旅を通じて子供を育てる、という考え方が旅育です。
旅育についてはこの記事を参考にして下さい
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