【現役PTA会長が語る】PTA組織運営のポイント

2020年4月13日

🐬こんにちは、イルカパパです。

東京の公立中学校でPTA会長を4年、学校運営協議会会長を8年しています。

今回は中学校のPTA組織運営のポイントをお話しします。と言っても私なんかがお話しするよりずっと上手に組織を運営されている方はたくさんいらっしゃいますよね。なのでお恥ずかしい限りですが、それでも新米会長さんや悩んんでおられる方のお力になれればと思います。

PTA組織をうまく運営するには?

近年、PTA活動に参加するお父さんの数は減少傾向にあります。

PTA会長をはじめ、本部役員全員が女性という学校も珍しくありません。まあ、全員が女性ならここで男性のわたしが口をはさむ余地はありませんね。

この項では男性がPTA会長でその他の役員の方はほとんど女性、というケースで、PTA組織の運営のポイントをお話したいと思います。 

かく言うわたしの学校でも、男性は会長のわたしだけ、他の本部役員、各委員会のメンバーは全員が女性です。 

PTA運営委員会の様子

PTAは営利組織ではない 

PTAは会社組織でも収益を追求するビジネスユニットでもありません。ただのボランティア団体です。 

普段、会社でばりばりを仕事をしているお父さんは、このことをはき違えると エラい目に遭いますよ(。、)/ 

具体的には、「あれやって」「それコピーして」「確認して」「報告して」 と何でも命令調に指示してしまうことです。 まあ今時、会社内でも、えらそうにふんぞり返っているだけでは、誰も本当にあなたをサポートしてくれませんが(´Д`;) 

一度女性陣から総スカンをくらうと、もう、健全なPTAの組織運営は無理です。

 わたしの次男が通っている小学校も、PTA会長だけ男性で、他の役員は全員女性ですが、かわいそうなことに男性PTA会長は 完全に孤立しています(涙)

 女性は怖いですよ~~(女性の方ごめんなさい)m(_ _)m 

まずPTAは営利を追求する会社組織ではないということを肝に命じましょう。 会長、副会長、書記、会計、など役割がありますが、それは会社で言う部長、副部長、課長、などの肩書きとはまったく意味合いが違います。

会長のほうが副会長より上、などという 肩書きによる序列、上下関係はありません。 

みな対等な役職である

ということをぜひ理解して下さい。

感謝の気持を伝えましょう

気持を伝える

 男性同士なら言わなくても分かり合える みたいな感覚がありますが、女性に対しては感謝の気持を 言葉や態度 できちんと表現しなくては伝わらないケースが少なくありません、

 一般的に 「男性は結果を褒めると喜び、女性は過程を評価すると喜ぶ傾向があります」 と言われます。

 ですからどんなささいなことでも、役員の方が何かをしてくれたときは、その行動をねぎらい きちんと感謝の気持を伝えましょう。

 男性がPTA会長でその他のメンバーが女性の場合、とにかく 「ありがとう」「お疲れさま」「いつもご苦労様」「大変助かります」 の言葉を忘れないで下さい。

 こまめに連絡する

感謝の気持ちを伝えるときはすぐにLINEかメールで簡潔に することが肝心です。

 あとでまとめて大量にお礼を伝えるのではだめです。(*´Д`) 

それにPTAの仕事も、時には次から次に細かい雑用がわいてくることがあります。そうなると、あとでお礼を伝えようとしても忘れてしまうかもしれません。 

そのようなことを避ける為にも日頃からこまめに感謝を気持を伝えるようにして下さい。

太っ腹でまかせましょう

PTAの運営は、すべてまかせる、太っ腹の気持が大切です。 

こまかいことに口を出さない、うるさく言わない 、すべてを包み込み暖かく見守る態度 が求められます。

一言でいうと「包容力」ですね。

 小学生女子でも20代、30代の女性でも理想の男性に求めるナンバーワンの要素が包容力です。

 会長さんに包容力がないと組織運営はうまくいきません。

かといってへんに媚びへつらってもだめですが、、、 さじ加減が難しいですね。

 でも、とにかくこまかいことまで何でも自分で決めてやろううとする態度は良くありません。 女性ばかりの組織で男性がこまかいことまでごちゃごちゃ言うと、ゼッタイにうまくいきません。

PTA会長が総すかんを食らうか、女性の間で派閥ができたりして大変なことになりますよ。 

一方、任せると言っても 「これやって」「あれお願い」と仕事を一方的にふるのもダメです。 

すすんで持てば鉄でも軽いいやいや持てば紙でも重い

という人の心理を察しましょう。 

「これどうしましょうか?」「あれはどうするのがいいでしょか?」 と相談するように話し合いをすすめると、自発的な意見がでてきます。その流れで、太っ腹でまかせるのです。

ひいきしない

男性がPTA会長で他の役員がみな女性の場合、ゼッタイ特定の人を

ひいきしないで下さい。

本人にはその自覚がなくても、ちょっとした表情や声のトーンで

「わたしとは扱いが違う」

と受け取られてしまいます。

どんな時もどの人に対しても同じように接して下さい。

完全犯罪を犯す

ような完璧な演技力が求められます。

いや、わたしは犯したことはありませんが( ̄ー ̄;

特に中学校のPTAだと、いくつかの小学校が集まっているのでこの問題はやっかいです。

へたをすると

「やっぱりあの小学校の人だから」

「これはその小学校のやり方」

というように出身小学校間でへんな

派閥意識

みたいなものが出てしまいます。

こうなってしまうと、健全なPTA組織運営は難しくなります。

若い頃雑誌で読んだ「ナンパテクニック」の解説に(いや、何の話をするんだ!)

「2人組の女性をナンパするときはブスのほうに重点的に話しかける」

というものがありました。

そうすることできれいな女性はプライドを刺激され積極的に会話に加わるのだそうです。

PTAの役員も数が集まれば当然、きれいな人もいればそうでない方もいらっしゃいますよね。

そんなとききれいな人ばかり重点的に褒めたり、会話をしていたら

「どうぞお2人で好きなようにやってください」

とチームの志気が下がってしまいます。

あまり上品な例えではありませんが、ひいきをしないという点においてこのナンパテクニックを活用できるのではないかと思います。

楽しいPTAを目指しましょう

差し入れしましょう

役員会や、配布する手紙の印刷作業などでみんなが集まるとき ちょっとした差し入れ を持っていきましょう。

 朝の会議ならコーヒーをポットに入れて持って行くのもいいでしょう。クッキーやシフォンケーキ、チョコレート、ドーナッツ、おかき、せんべいなどでもいいです。

夏ならアイスやフルーツ系のゼリーもいいですね。高価なものでなくてもかまいません。それより、気のきいたもの、ちょっと話題になっているようなものがいいと思います。

 楽しいPTA 

PTA活動に参加するメリットとして「友達や仲間ができる」ということが挙げられます。

特に女性は、このポイントを高く評価する傾向があるようです。ですから、PTA会長は組織運営でぜひ楽しいPTA ということを心がけて下さい。「あの集まりは楽しい」「あの活動は大変だけどやりがいがある」と感じてもらえればみなさん、より明るく積極的にPTA活動と組織運営に関わってくれます。

繰り返しになりますが、PTAは 営利目的の会社組織 ではありません。 企業の中で訓練されたような同じ価値観の人材がごろごろいるわけでもありません。 

そういう方たちに楽しさややりがいを感じてもらいながら組織を運営していく手腕が求められるのです。 そのことが結果的にチームのパフォーマンスを向上させることにつながるでしょう。

批判はすべて受け入れましょう

残念なことに、どんなに良かれと思って活動しても、中にはへんな親がいて

いいがかりみたいな苦情

を言ってくることがあります。

そんなとき

「あれは●●さんに任せた案件だから」

と逃げ腰の態度を見せてしまうと、いっぺんにわまりの信用を失いますので慎重に対処して下さい。

組織の運営は太っ腹でまかせますが、何か問題があったときは

一切の責任、批判を会長1人で受ける覚悟が必要です。

会長が最後の砦になってくれる

という信頼感、安心感がその組織を活性化します。

PTAの組織が活性化すると、素晴らし活動が生まれます。

そのことが結果的にこどもたちの笑顔を増やすのにつながるならお安い御用ですよね(^^)/

PTA会長は人間修行の場と思って喜んで批判の矢面に立ちましょう。

まあ、会社の組織ではあませんから、ミスや批判を受け入れても、降格人事になることも窓際に飛ばされることも、まして、減俸になることもありませんから、そのへんはバランス感覚というか気楽にやっていきましょう。

PTA会長Q&A

Q.どんな人がふさわしいですか?

 A.引き受けていただける方ならどなたでも喜ばれます。(反対は誰もしません) 

 Q.子供に負担をかけることはないでしょうか?

 A.真剣に取り組めば子供と家族に多少負担を掛けると思います。また学校行事で親があいさつすることをこどもがいやがります。

Q.ボランティアですよね?

A.単Pによっては年間いくらかで手当を出すところもあると思いますし、他所での会議の場合は交通費を支給することもあると思います。又、自治体等の会議へ出席した場合は、自治体から会議費が支給されることもあります。自治体による)。わたしの学校では交通費や特別な飲み会以外は完全なボランティアです。 

Q.仕事や家庭に負担にはならないでしょうか?

A.真剣に取り組めばそれなりに負担になると思います。ただ選択と集中でうまくやりくり可能だと思います。

  Q.PTA会長をやるメリットは何ですか?

A.こどもといっしょに学校に通っているような一体感が嬉しいです。また教員のことや学校行事などこどもと共通の話題が増えます。それから地域の人や他の生徒の親たちとの親睦が深まります。それからこどもの内申点があがるとのうわさがあります(笑)

恐怖の委員、役員決め

毎年、学校の新年度になると、胃がきりきり傷んでよく眠れなくなるお母さんが続出します。

それは新年度PTAの役員、委員決めがあるからです。

通常、本部役員は年度が変わる頃までに決まっていますが、委員のメンバーや委員長などの役職は、新年度最初の保護者会で決めることが一般的です。委員や役職の決め方は、各学校や地域によってさまざまですが、最近の傾向としては「立候補」する人が少なくなったため、なかなか決まらないというのが現状です。

特にリーマンショック以降の不況でお父さんの収入が減り、夫婦共働きの家庭が増えているため、PTAの担い手の中心だったお母さん方がますます参加しずらくなっています。

PTAの委員や役員になるとそれなりの時間を拘束されます。打ち合わせが平日の夜におこなわれることもあり、仕事をしているお母さんは夕食の支度や部屋の片付けなどができなくなります。こどもと過ごす時間が減ってしまうのも事実です。

ですから誰もなりたがらない。そうすると決まるまで重たい雰囲気のまま会が終らないということもあります。

また決まったあとの不平不満が炸裂したりときには会長であるわたしのところにも、いいがかりのような文句の電話がきたりします。

これに関しては100%誰もが満足する解決策はないように思いますが、子供や学校のために協力しようという気持をみんなが持ってくれることを祈るだけです。

もうひとつの大きな問題は、地域や他人とかかわりを持ちたくない、と考える親が増えていることです。

子供の教育は全部学校まかせにして、自分は何も協力しない。それでいて自分の思うようにならなかったときだけ強烈にクレームを言う、というような、言葉は悪いですが自己中心的で自分勝手な親が増えてきたことも、PTAの活動や委員決めを難しくしている要因のひとつではないでしょうか。

親が自分中心の考えを捨て、自分の子供がお世話になっている地域や学校、あるいは学校に通う他人の子供のために自分の時間を使うという、PTAは本来みんなが「善者」であるという前提で成り立っている組織です。

それがうまくいかなくなっているということは、問題の根がそれだけ深刻なものであるということだと思います。

親の背を見て子供は育つこの大事な事実をもう一度わたしたちは再認識する必要がありそうです。

 委員決めのルールは学校によって様々:立候補・保護者会で決まるまで話し合う・くじ引き・じゃんけん・ポイント制・水面下の裏工作で決める

わたしたちの学校では立候補者がいな場合、「クジ引き」と「ポイント制」を併用しています。保護者会でくじ引きをおこない、当たった人はその役を引き受けなくてなならない、というルールです。

保護者会を欠席してもくじ引きで当たったら断ることはできません。ただし過去に役員や委員を経験した人は免除されます。誰もが満足できる方法ではありませんが、不公平感は少ないと思います。

PTAの現状と問題点

めまぐるしくかわる世の中で、人々の価値観や労働環境、あるいは教育に対する考え方も多様に変化しています。

組成から70年あまり経った日本のPTAという組織にも、現状にそぐわない問題が山積みしています。

例えば、活動の中心となる役員や委員を引き受ける人材が不足しているという大きな問題があります。これは前項でも説明しましたが、長い不況の中で家計をやりくりするためにお母さんが働きに出るケースが増えていることと関係しています。

もともとPTA活動の担い手の中心だっお母さんたちが仕事で活動に参加できなくなっているのです。この流れは女性の社会進出の中でかりに今後不況から好景気に変わっても続くでしょう。

もうひとつは自分や子供が住む地域、通う学校に対する感謝の気持というか関心そのものが薄れているということです。隣近所や学校、地域に全く無関心で問題があるときだけクレームをつける自己中心的で自分勝手な親が増えています。

これによって、委員や役員のなり手がいない、従って委員決め、役員決めが泥沼化するとうい事態につながっています。

わたしたちの学校では、保護者の負担を減らす為に委員会の見直しを実施してきました。かってはベルマーク委員会や全体活動委員会、文化祭委員会など、10近い委員があったのですが、委員のなり手がいないのと保護者の負担を減らすという観点から見直しをすすめ、すべて取りやめました。

現在残っている委員は、PTA広報誌を作る「広報委員」、各学級の連絡係である「学級委員」、地区組織と連携して活動する「地区委員」、そして次年度の役員候補を決める「推薦委員」だけです。

このうちさらに、広報委員はやめれると思います。そのかわり広報誌がなくなりますが、負担を考えたらそのほうがいいということであればやめるのも仕方ないことだと思います。

地区委員もやめて地区の活動はすべてボランティアでおこなうという方法があります。そのかわりそうすると地区組織との連絡など本部の仕事が増えるという問題があります。

また推薦委員もやめて、次年度の役員は現在の本部役員が決めるという方法があります。これも本部役員の負担が増える話しですが、やめることは可能だということです。

したがって各クラスごとにある学級委員以外は、なくしてしまうことが可能ということです。ただし、その場合はなくなった仕事を本部役員が引き受けなければならないので役員の負担は増えます。そうすると本部役員になる人が益々いなくなるのではないかという懸念があります。

保護者のPTAへの加入を自由にするという意見もありますが、それは委員や役員の負担を減らすことにはなりません。負担を減らすにはPTAの組織そのものをなくさなければなりません。そしてそこまで踏み込めるかどうかということです。

もうひとつの解決策は役員や委員の仕事を有償にすることです。

そうすれば引き受け手がいないという問題は解決されると思います。逆に有償にするならなくしてしまおう、とか、それならボランティアをもっとまじめに募ってやろう、という機運が盛り上がるかもしれません。

いずれにしても、役員や委員でなければ仮にPTAがあったとしても活動に参加するのは年に1回程度です。

役員や委員の負担が大きく、なり手がいないというのが、現在のPTAが抱えている問題の本質なのです。

また仮に広報誌が必要ないと言っても広報委員は単に広報誌を作るだけでなく、その制作活動を通じて他の親と情報交換をしたりお友達になっている人もいるわけです。考えようによってはそういう親同士の交流を深めるという役割も担っているわけですから、広報誌がいるいならいだけの問題ではないということです。

こんな学校があります

PTAの組織と活動が現状にそぐわないと指摘される中、全国に先駆けてPTAへの加入を任意にした学校があります。

札幌市立札苗小学校と岡山市立西小学校です。

まあ、PTAへ加入はもともと強制ではなく任意なんですが、現状では保護者がPTAに加入することを前提として学校や組織は動いてますから、子供のことを考えると自分だけ入らないと言うのは難しいかもしれません。

それを規約ではっきり入退会自由と宣言したわけですから、その意義は大きと思います。

入退会自由というのは途中で退会することもできますし、入会することもできるということです。

これらの学校ではもちろんPTA活動は続けていて、すべてその都度保護者のボランティアを募っておこなっています。そのかわり委員はすべて廃止し、役員が活動をささえる中心になっています、

PTA活動は、そもそも委員や役員でなければ1年に1回参加するかどうかの話しですから、そこを自由入退会にしても、現状は大きな変化はないでしょう。

それよりPTA会費という出費があるので、活動に参加しないかわりに寄付をするというような感覚により近づいて行くのかもしれません。また両校とも自由参加に切り替えても現状では9割以上の保護者が加入していますが、年数が経って自由参加に切り替えたという意義と熱気が風化していったら、どれくらいの加盟率があるのかわかりません。

さらに、委員を廃止したことによって、役員の仕事が減る部分もありますが、トータルでは相当負担が増えるので、役員をやりたいという人が益々減っていくことが危惧されます。

抜本的な解決策としては、PTAを完全になくし、ボランティアによる別組織を作る、か、役員や委員の仕事を有償にするか、だと思います。

それか問題があっても今のまま続けていくかですか、ですね。

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