トラベルドクターを呼んで!往診治療と診察費、ペルーの感染症
どんどん悪化する病状
わたしはなぜアスピリンを飲み続けてるのにまた痛みを感じるようになったのか?
そもそも私の症状は腎臓結石ではないのか?高熱と嘔吐がおさまらないリュウの病気の正体は何なのか?気を失う程の痛みにもがき苦しみながらほとんど眠ることも出来ない、暗くて長い不安な一夜が過ぎていきました。いつしか夜は白み出し大きな窓を覆うカーテンの隙間から、今日も最高の天気であると推測できる眩しい光が差し込んで来ます。
耳をすませば部屋の外を流れる川の水のせせらぎや河辺に集う鳥たちのさえずりまで聞こえてきそうです。いつもなら旅行先のホテルで向かえるこんな朝は
「さあ、今日はどんな楽しみが待っているだろう!」
とわくわくしながら始まるのですが、今回ばかりは鉛のような重い空気に沈んでいます。
「リュウの嘔吐は止まったけど熱が下がらない」
一晩中リュウ添い寝していたママが眠そうに目をこすりがながら言います。嘔吐が止まったんじゃなく、昨日から何も食べてないから吐くものがなくなっただけじゃないか。私は体にまだ残っている最後の力を振り絞って言葉を発しました。
「とにかくお医者さんを呼んで来て」
トラベルドクターとは
ママがホテルのフロントで相談するとマチュピチュには「トラベルドクター」というお医者さんがいるそうです。スペイン語が公用語のペルーにあって英語で会話ができ、ホテルの客室まで往診してくれる、外国人の事情に精通したドクターです。
トラベルドクターが私たちの部屋のドアをノックしたのは午前9時半を少しまわったところでした。赤銅色に焼けた顔、大きな鼻、がっしりした体格、昔の西部劇に登場するインディアンの酋長のような雰囲気ですが、やさしくて信頼できそうな人柄が全身から伝わるドクターです。
ドクターの診察と治療費
ママからリュウの容態を聞いたあと聴診器と触診でリュウの身体を調べます。ひととおり診察が終ってドクターが所見を話しはじめました。それによるとリュウの病気はペルー独特の細菌に感染した可能性が高いということ。ペルーの子供たちは免疫ができているけど、外国人旅行者、とくに年配の人や子供は感染しやすい、という話しをしてくれました。
その感染症に効く薬を処方するので、定期的に服用すれば2日間くらいで容態は回復し歩けるようにもなります、と言われ、心に刺さったトゲがほろっと抜けるような安堵感が私とママを包みました。
ああ、よかった!
ついでに私のことも見てもらいましたが、私の推測通り腎臓結石が疑われるとのことです。アスピリンを飲み続けているのにまた痛みを感じ出したのは体内で石が動いたからだそうです。ここマチュピチュ村では結石を砕くような治療設備はないので、もっと強い痛み止めを処方してもらいましたが、これはあくまで応急処置なので帰国したらすぐ病院へ行って下さい、とアドバイスしてもらいました。
2人の診察と処方してもらった薬代で合計140ドルでした。
この支払いは帰国後、クレジットカード付帯の旅行保険で全額カバーできました。
参考記事:子連れ海外旅行の心配事第一位・赤ちゃん・子どもの病気対策と予防法
子連れ旅行と病気
リュウの病気の原因もわかったし治る目処もついて安心しました。2日間くらいで回復するということは、今回の旅行のスケジュールの中でもとってもラッキーなタイミングです。今日は午後の列車でクスコへ帰るだけですし、明日はクスコからチチカカ湖まで、ほぼ1日中バスに乗ってすごします。列車やバスの中で寝ていればいいので、旅行の予定を変更したり中断する必要はなくなりました。
さらに私の謎の痛みの正体も対処法もわかったので、ママとカイにマチュピチュ遺跡へ行って来たら?とすすめました。私たちは2日間マチュピチュ遺跡を観光する予定だっやので、今日のバスのチケットと遺跡入場券が4人分残っています。
「でも、2人が心配だからここに残る」
昨日、遺跡はほぼ全部見学できたしその上ワイナピチュにまで登れたので、やり残した感がありません。バスチケットと入場券を使わないのはもったいない気がしましたが、それもいい思い出になるねと笑うだけの余裕が出てきました。
ペルーの感染症
トラベルドクターというありがたい制度のおかげで、病気の治療と先行きへの心配を取り除くことができました。スペイン語が公用語のペルーで英語が話せるお医者さんがホテルの客室に往診してくれるのは、さすが世界遺産マチュピチュならではだと思います。
私の腎臓結石は例外として、リュウが罹ったペルー独自の感染症は、子供や年配者、それに過酷なスケジュールで体力が弱っている外国人旅行者が感染しやすい病気です。
症状は高熱と下痢、嘔吐。
食中毒に似た症状ですね。
それから帰国後にわかったことですが、私の会社の後輩も、マチュピチュで同じような症状になったそうです。高熱と嘔吐、腹痛、下痢。彼はマチュピチュ村で発症し、同行者たちがマチュピチュ観光をしている間、ずっとホテルで寝込んでいたそうです。
マチュピチュ村まで行ったのに遺跡に行けなかったので本当に残念で悔しかったと言っていました。それにくらべるとわたしたちは病気でつらい思いはしましたが、マチュピチュ遺跡を観れて、ワイナピチュにも登れて、サンクチュアリーロッジで食べ放題まで堪能したんですから、文句なんて言えません。
トラベルドクターの呼び方
トラベルドクターはホテルのフロントで相談できます。
ツアーで訪れている人は現地ツアーガイドに相談して下さい。
この項で紹介した私達の病気体験が、これからマチュピチュ旅行をされる方の参考になれば幸いです。