カフラー王のピラミッド内部に潜入
パノラマポイントでラクダに乗ったり写真を撮ったりしたあと、再びバスに乗って今度はカフラー王のピラミッドへ向かう。
クフ王の息子であるカフラー王のピラミッドは、ギザ台地にある3つのピラミッドの真ん中に建っている。
見かけ上、3大ピラミッドの中で一番高いように見えるが、それはカフラー王のピラミッドが立っている岩盤が高くなっているため。
カフラー王のピラミッド / 上層部に化粧板が残っているクフ王のピラミッド
クフ王とカフラー王のピラミッドの違い
もともと全体が石灰岩の化粧板で覆われていた。現在も上層部には、はがされずに残った化粧板が一部とどまっている。ただしクフ王のピラミッドが全部石灰岩の化粧板で覆われていたのに対し、カフラー王のピラミッドは下から2段目までは、やや赤みをおびた花崗岩の化粧板で覆われていた。
バスはカフラー王のピラミッドの駐車場で停止。すぐとなりにクフ王のピラミッドと船の博物館が見える。船の博物館には1954年に発見された「クフ王の太陽の船(Khufu ship)」が展示されている。王は死後、太陽神となり、昼は天空を、夜は地下世界を船で旅すると考えられていた。
クフ王とカフラー王のピラミッドに共通しているのは、底辺の4辺が正確に東西南北を向いているということ。それから4つの辺の長さが均等であること。
底辺に関しては、クフ王のピラミッドでは、4辺の和に地球の外周が投影されていること、また4辺の和を、高さを2倍したもので割ると円周率になることがわかっている。
それぞれのピラミッドの土台は完璧に水平に保たれており、正確な角度で1個2トン以上ある石が230万個~260万個積み上げられている。積み上げる角度が1度でも違えば、高さは7メートル以上狂う。また正確な角度で積み上げなければ、頂点が底辺の四角形の中心にならない。
積み上げ作業は上へいくほど困難になり、特に最後の10段に関しては本当に当時の技術で可能だったのか議論が残るところだ。
さらに、クフ王のピラミッド内部にある王の玄室には花崗岩が使われているが、この石の重さは200トン以上もある。同じようにカフラー王のピラミッドの東側神殿や、スフィンクスがある河岸神殿にも200トン以上の花崗岩が使われている。これほどの重い石材を、当時の人がどうやって持ち上げたのか、まだ解明されていない。
クフ王とカフラー王のピラミッドの大きな違いは角度だ。それによって2つのピラミッドは体積が異なる。驚くべき事に、2つのピラミッドの体積比は、地球と金星の体積比に等しいのだ。このことはいったい何を意味するのだろうか?
カフラー王のピラミッド内部への入り口へ向かう
実体験を優先
さてカフラーの王の駐車場に停止して、みなぞろぞろとバスから降りる。ここで写真をとったり見学している間に、希望者だけ別途料金を払ってカフラー王のピラミッドの内部へ潜入する。
ピラミッド内部への潜入については、来る時のバスの車内で説明があった。アッシュゲンの説明のよると、ピラミッド内部は狭くて暗い上に、ものすごい熱さと湿気らしい。そんな中で天井の低い通路を登ったり降りたりするのはとても大変なので、すすめられませんというものだった。でもせっかく来たんだからここで入っておかなくちゃ後悔する。ピラミッドやスフィンクスはテレビで観ることはあるけど、ラクダに乗ったり、熱くて苦しい思いをしながらピラミッドに潜入するなんていう「実体験」は、現地に来ないとできないのだ。だからわたしはいちにもににもなく潜入することを決めた。
バスから降りると、わたしたち3番のバスからピラミッドへ潜入するのは、私たち家族と、もう1組だけだった。アッシュゲンの脅しがきいたんだね。
アッシュゲンのアシスタント、ヤッシュが3番の旗を手に持って、こっちに着いて来るように言う。団体旅行で、旗を持っている添乗員さんについて行くような感じだ。わたしたち以外のもう1組は、ロサンゼルスから参加しているロイとキャシーのカップル。男性も女性もハリウッドスターみたいにかっこいいゾ。
近づけばその大きさがわかる / うひゃぁ~~、下から見上げると首が折れそうになるよ / ここがピラミッド内部への入り口
入り口で足止めされる
ヤッシュのあとをついてカフラー王のピラミッドに近づく。内部への入り口付近には他のバスから参加する人もいて、けっこう混み合っている。少し並んでわたしたちの番になったので、ヤッシュがチケットを見せると、入り口のおじさんの顔がさっと曇った。
う~~ン?何やらあやしい風向き。どうもこのチケットでは入れないとおじさんが言っているようだ。おじさんの回答にヤッシュが熱くなる。何を言っているかはわからないが、猛烈に抗議していることだけは間違いない。顔を紅潮させ、大きな声を張り上げ、サッカーの試合で中東の選手が審判のジャッジに不服を示す、両手を腰の高さで広げるあのポーズをしきりにやっている。それを実際に見ることができて、こどもたちは大喜びなのだが。
結局ヤッシュはわたしたちに「ここで待ってて下さい、1分で戻ります」と言って駐車場のほうへ走り去った。いや1分はどう考えてもムリでしょ、ここから駐車場まで行くだけでも1分以上かかりますよ。そして予想通り、待てども待てどもヤッシュは帰って来ない。もしわたしだけだったらものすごく不安になるところだ。ロサンゼルスのカップルがいてくれてよかった。
「どうなってるんでしょうね?」
ロイが半分笑いながら聞いて来る。
「いや、さすがエジプトというか、、何のトラブルなんだかさっぱりわかりません」
「まあこういうのが楽しいんですけど」とロイもこの状況を楽しんでいるようだった。やるな。
なぜチケットが使えないのか、なぜ戻れるあてもないのに1分と言いきれるのか、なぜ腰の高さで両手を広げて抗議するのか、今、思いっきりエジプトらしさを体験できてる。もうそれだけでカフラー王のピラミッドに入る以上の価値があったと言えるだろう。しかし、待っている間も日差しは容赦なく照りつけて来る。足もとに大粒の汗がぽたりと落ちて砂に吸い込まれてゆく。まさに砂漠の砂が水を吸い込むように時間が過ぎてゆく。
そしてとうとう「待っててもしょうがないので、駐車場のほうへ帰ります」と言ってロイたちが歩き始めた。旅行にも株式投資にも見切りが必要だ。わたしたちもそろそろ決断しなくてはならない。
「仕方ない、もどろうか」
「え~~、そんなーー」こどもたちが泣きそうな顔になる。
ちょうどその時、砂が舞う向こうの駐車場のほうから「3番」の旗が近づいてくるのが見えた。
おお、ヤッシュだ、ぎりぎりのところでヤッシュが戻ってきたんだ。ヤッシュはまず駐車場へむかっているロイたちと合流し、みんなで笑顔でこちらに引き返して来た。
ピラミッドの石材1個1個はこんなに大きい
わたしたちはだめでした
よかった、これでピラミッドへ潜入できるぞ。でもまだまだ安心するのは早い。こんなに時間がかかったのに「1分で戻る」と自身満々で言い切ったヤッシュだ。それにそもそもどうしてさっきのチケットがだめなのかわからない。不安というのは的中するもので、入り口のおじさんにチケットを見せると、なるほど今度はロイたちはオッケーだった、だがわたしたちはダメでした。なぜだーー!
ヤッシュはさっきよりおおげさなジェスチャーで、おじさんにむかって猛抗議している。でもおじさんは静か首をよこに振るだけ。その繰り返しが延々と続いている間に、さっきピラミッドに入ったロイたちが出てきてしまった。そしてまだ入り口で足止めをくらっているわたしたちを見て「あれーまだ入れないの?」とあきれ顔で大笑い。
「そうなんだよー、で、中はどうでした?」
「ものすごく熱くて息苦しくて、入る価値なし」
いや、こんだけ待たされて、今、そんなこと言われても。。。。
そのうちヤッシュはおじさんに肩を抱かれて、2人並んでむこうの事務所のほうへ歩いていった。
お~~いずこへ!
それからしばらくして、事務所からにこにこ顔で出て来たヤッシュ。わたしたちの所まで戻ると「オーケー、入って」と言う。いったいあの事務所で何があったんですかーー!と言うか、そんなにぱっぱっと解決するなら、最初からそれをやろーよ!
まあ何はともあれやっとピラミッドに入れる。みんな準備はいいか?では行きますよ。
クフ王のピラミッドと馬車
ピラミッド内部はこうなっている
カフラー王のピラミッドの内部構造は、クフ王のピラミッドと比べると単純だ。ピラミッドのすぐ外側にある入り口から潜入すると、いきなり地下へ向かってどんどん下ってゆく。天井が低いので前かがみで進むしかないのだが、これがけっこうきつい。おまけに、覚悟してはいたが、中は猛烈な熱さ!湿度も高い。そしてカビ臭い!
どこまでも狭い階段を下ってゆくと水平な広い通路に出た。地下何階くらいまで下ったのだろうか?
その通路を進むと、今度は登りの階段が現れる。どこまで登っていくのか暗いのでよくわからないが、とにかく登るしかないだろう。みんなで汗を流しながら登り始める。天井が低いので大人は歩きづらいが、こどもはへっちゃら。どんどん先に登って行って後ろ姿が闇に消えて見えなくなる。
「お~~い、どうだーー?」
しばらく間をおいてずっと上のほうから
「着いたよ!早く来なよ」とカイの声が響いて来る。
やっとの思いで狭い階段を上りきったところには、また水平の広い通路があって、その先に王の玄室があった。玄室の広さは畳20枚分くらいだろうか。思っていたほどは広くない。それに壁に文字が書かれているわけでも、何かの装飾があるわけでもなく、石で囲まれたまるで独房のような殺風景な部屋だ。あまりにも寂しい。こんなところに偉大なファラオが眠っているなんて想像するのは難しい。
天井は高く山型をしていて声や音が反響する。その玄室のほぼ中央に花崗岩で出来た大きな石棺があった。クフ王のピラミッドの石棺よりも大きい。しかしやはり何の装飾もなく、外見はただの大きな石の箱だ。
石棺に近づいて、恐る恐る中をのぞいてみる。こどもたちもわたしの後を恐る恐るついて来る。
「うわぁーー!」
「だーー!」「ぎゃぁーー!」
何々?
「何にも入っていない。中はからっぽだよ、はっはっは」
「なーんだ、びっくりした。おどかさないでよ」
カフラー王の石棺にも、クフ王のピラミッド同様、発見当時から中には何も入っていなかった。
王家の谷の墳墓や神殿では、内部におびただし文字が書かれていたり、装飾品で飾られている。それがギザのピラミッドでは王の遺体はおろか財宝も、壁や柱を飾る文字さえ発見されていない。そのことが「ピラミッドは墓ではない説」の有力な根拠となっている。そもそも「王の玄室」とか「女王の間」と言っても、現代人が勝手につけた名前で、その根拠となるものは何もないのだ。
ちなみにカフラー王の玄室は地上と同じ高さにあり、ピラミッドのほぼ中央に位置している。
わたしたちは来た時と同じ道を引き返し、狭い階段を登って地上に戻った。外に出た時、あまりのさわやかさに全身の細胞が喜びに解放されるのがわかる。それほど内部は高温多湿だったのだ。
太陽と外気のありがたさを感じる。それこそがピラミッドに内部構造がある本当の理由なのではないかと思うのだった。
おじさんと何やら交渉するヤッシュ / そして2人で事務所のほうへ消えて行った
カフラー王のピラミッドの不思議
クフ王のピラミッドとの体積比が地球と金星の体積比をあらわしていると先に記述した。
カフラー王のピラミッドはさらに、花崗岩で飾られていた下2段を含む全体と、3段目から上の部分の体積比が、地球と金星の質量の比をあらわしている。
また、内部に入るための入り口は、外装の内側と外側の2カ所あり、ともに内部でつながっている。このことにも、例えば外装を含む全体と内装部分だけの体積比のような意味があるのではないだろうか?
カフラー王のピラミッドにはスフィクンスや河岸神殿が備わっており「ピラミッド複合体」と呼ばれている。長い間、スフィンクスはピラミッドと同じ時に建造されたと考えられていた。しかし最近の調査ではスフィンクスはピラミッドができるよりさらに4000年~7000年前に存在していた可能性が指摘されている。
スフィンクスがピラミッドより前にすでに存在していたのだとしたら、いったい誰が何の目的で作ったのだろうか?
*ピラミッド内部ではカメラ、ビデオ撮影が禁止されている
*ピラミッド潜入の料金は大人も子供も1人4ドルだった。
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