ポートサイドからツアーバスでカイロへ〜そこまでやるかVIP待遇
手荷物検査場から一歩外に出ると、大型のバスがずら~~と何台も並んでいる。
むこうの端は見えない。すごい光景だ。
ブルーモナークのゲストのほとんどが、今日のピラミッド観光に参加するだろうから、そりゃバスもすごい台数になるわけだ。
それにもまして驚いたのは、エジプトのバスと言うからもっとぼろっちいやつを覚悟していたのだが、とてもきれいじゃないか!ということ。
そこらの都バスよりきれいかもしれない。(どこのだ~~!)
何時に家出たのー?
この数のバスでカイロを目指して移動するというのも、こりゃまたすごい光景だろう。さながら現代のキャラバン隊といったところか。
英語ツアーのバスは3番と4番の2台。人数が少ないわりには、バス2台に別れるので、1台1台はけっこうゆったりしている。バスに乗り込むと中にはきれいなトイレまであった。これは子連れ旅行者にはありがたい。
英語ガイドのアッシュゲンさん / ポートサイドにはモスクがたくさんある
さあ、いよいよ出発だ。
バスはエンジンを振るわせながら、1台1台港を離れてゆく。なんか修学旅行みたいでウキウキ気分です。海のほうから差し込む朝日がまぶしい。
バスが動き始めると、ガイドさんがマイクを持ってあいさつをはじめた。われわれの3号車のガイドは、カイロに住む2児の母で、アッシュゲンさん。カイロから今朝ここまで来たと言うけど、いったい何時に家を出たのー?
交差点を封鎖する警官 / すべての交通を遮断する
驚きのVIP待遇
港を出発したバスは、ポートサイドの市街地を走っていく。
あれ?
窓の外を見ていてその異変に気づいた。ポートサイドは人口50万人を越える大都市。いくら早朝とはいえ交通量もかなりものだろうに、道ががらがらにすいているのだ。
しかもよく見ると信号が全部青になっている。
交差点を通過するときに目撃してしまったのだが、交差点に立っている警察官が、車の進入を止めている。われわれの進路上にあるすべての交差点は封鎖され、バス編隊が通り過ぎるまで信号はすべて青のままなのだ。すげ~~、そこまでやるか。おかげでバスは渋滞も信号待ちなしでスイスイ走る。
きっと大型バス13台でやってくる外国人観光客は美味しいお客様に違いない。もし不満があってこれだけの数の観光客が来なくなったら、エジプト政府にとってもポートサイドにとっても、大きな痛手だろう。だからこうしてVIP待遇で迎えてくれるのだ。
VIP待遇といえば、東京/丸の内のオフィスの窓から、似たような光景をたまに見かける。皇居から馬車の軍団が出て来て、東京駅まで客人を送りに行くか、迎えに行くというもの。その間、皇居正面から東京駅に伸びる大通りは完全に封鎖され、交差するすべての通りも通行をストップされる。
今われわれが享受しているのもあれと同じようなVIP待遇。悪い気はしません、というかとってもイイ~気分。
でも、もっと驚くことを発見。
さらによ~く見ると、バス編隊の前後を機関銃を持った6~7人の兵士を乗せた軍の車両が走っているではないか!
エジプト人から見れば、きっとお金持ちの外国人がバス13台分もやって来て、2時間以上も砂漠を走る。クルーズ船の寄港日を調べればそれがいつかなんて簡単にわかるから、ゲリラやテロ組織でなくても、おいしい誘拐計画が脳裏をかすめるに違いない。それらから守るため、護衛が着いてくれるのだ。
おお、ありがたいですね、でも怖ぇ~~よ!
高速の料金所 / スエズ運河をゆく貨物船
ものすごいコストパフォーマンス
ポートサイドからカイロへ向かう道路は、途中スエズ運河と平行して走る。運河には巨大な橋がかかっていて、運河の向こう側とこちら側が自由に行き来できるようになったとガイドが説明する。そしてこの橋は日本の援助によって架けられたとも言う。スエズ運河沿いの砂漠の道を2時間以上走る間、目につくものと言えばこの橋くらい。ガイドも話すことがないから、やっとわたしの出番登場とばかり、はりきって橋の説明をしちゃうのだ。
エジプトへクルーズで訪れる観光客に、毎回「あの橋は日本の援助で作られたんですよ」なんて説明してくれるのだが、考えてみればすごい宣伝効果だね。コストパフォーマンスにすぐれたODAと言えるでしょう。
さて、窓の外を流れる景色をぼんやり見ていたら、砂漠の中に少しずつ建物が見えてきた。
時計を見ると8時45分。どうやらもうすぐカイロに到着するようだ。
日本の援助で建設されたスエズ運河に架かる橋