子ども6人連れアフリカ・キャンプ旅行記〜アンボセリ国立公園サファリ編・消えゆくキリマンジャロの雪とアフリカゾウの群れ
ジャンボ〜!6歳(年長)から12歳(小6)の6人の子どもを連れて、猛獣が闊歩するアフリカのサバンナでキャンプ旅行。
旅行10日目。国境の町ナマンガでモーゼスたちと別れて、キリマンジャロの雪で有名なケニアの国立公園アンボセリを目指します。
子連れアフリカ旅行のスケジュール
- 1日目:羽田→
- 2日目:ドバイ→ナイロビ→ナクル湖
- 3日目:ナクル湖→ナイバシャ湖→ナイロビ
- 4日目:ナイロビ→ナマンガ→アルーシャ→ンゴロンゴロ
- 5日目:ンゴロンゴロ
- 6日目:ンゴロンゴロ→マサイ族の村→オルドバイ渓谷→セレンゲティ(キャンプ)
- 7日目:セレンゲティ(キャンプ)
- 8日目:セレンゲティ(キャンプ)
- 9日目:セレンゲティ→キブズファーム→マニヤラ湖
- 10日目:マニヤラ湖→ナマンガ→アンボセリ
- 11日目:アンボセリ→ナイロビ→ドバイ
- 12日目:ドバイ→羽田
ドライーバー交代
ナマンガで交代してきたケニアのガイドは、モーゼスより年配のエリオット。
細身ですらっと背の高いケニア人だ。彼は、われわれが泣きじゃくりながら、モーゼスたちとお別れする場面を目の前で見ていた。こんな時ガイドをバトンタッチされるのはやりにくいだろうーな。
事前にわれわれのスケジュールを見ていれば、こういう事態は十分予想できたはず。だからケニアのテッコツアーはエリオットのようなベテランを送りこんできたのだろう。
タンザニアでたっぷりサファリを楽しんだ観光客が、帰国の前日アンボセリにおまけで1日だけ立ちよるという状況は、わりと頻繁にあるのではないか。
アンボセリはケニアの国立公園だがタンザニアとの国境近くにあるため、マサイマラやナクル湖と組み合わせるより、タンザニアと組み合わせたほうが効率がよかったりする。
アンボセリのキリン達 / ボックスカータイプのサファリカーは屋根が全部跳ね上がり開放的
だから、こんな状況を幾度となく経験しているエリオットは心得ているのだろう。
なるべく目だたないようにして、
アフリカ旅行の楽しい思い出はタンザニアにあった、
という記憶をゲストの頭の中に残すことが最善の方法だということを。
でもアンボセリはおまけじゃない!
しかし、わたしがアンボセリに立ち寄ることを選んだのはおまけでもついででもない。
アーネスト・ヘミングウェイがその魅力にとりつかれ
「キリマンジャロの雪」を執筆したアンボセリは、
わたしがアフリカで最も行きたかった国立公園なのだ。
サバンナを悠然と闊歩するゾウの群れ。
背後には山頂に雪をいだく雄大なキリマンジャロ。
野生動物と赤道直下の雪という不思議なコントラスト、
まさにその景色が見たくて、
どうしても見たくて、
今回の旅行が始まったと言っても過言ではない。
道路を盛り上げて水没を防ぐ/サバンナが湿原にかわる/キリマンジャロにかかる雲
消え行く氷河
アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ(5896m)が最も美しく見れる場所としても有名なアンボセリ。しかしそれも「雪」があってこその話。近年、地球温暖化の影響によりキリマンジャロ山頂の氷河は急速に姿を消しつつある。
そしてその雪解け水による湧水量の増加は、国立公園中央の湿地帯を湖に、周辺にあるロッジを水没の危機にさらしている。
さらにこのような自然環境の激変は生態系の維持を困難にし、ライオンやチーターなどの大型肉食獣も、雪とともにアンボセリから消えつつある。
戦争の時代を生き「キリマンジャロの雪」を書いたさすらいの小説家ヘミングウェイ。
その稀代の文豪もまさかほんの80年やそこらで
キリマンジャロの雪が完全に消えてしまうなんて、
想像もつかなかっただろう。
今わたしたちには2つの選択肢が残されている。
雪が消えてなくなる前に急いでキリマンジャロを見ておくか
雪をとかす地球温暖化をくい止めて、余裕のある時にゆっくり見に行くか。
アンボセリへのアクセス
ナイロビから南へ約240km。車で約4時間。
またナイロビ/ウィルソン空港からエアーケニアのフライトがありアンボセリ国立公園空港まで約30分。
国立公園制定は1974年。面積は約390平方キロメートル。
アンボセリのサファリロッジ
- アンボセリロッジ
- アンボセリセレナロッジ
- アンボセリソパロッジ
- オルトカイロッジ
- トーテリスキャンプ
アンボセリで子連れサファリ
キリマンジャロのすそ野とサバンナをゆくゾウ
ナマンガからアンボセリ国立公園までは小さな丘のような山をいくつも越えて進む。距離は約80km。道路が舗装されてないのにはちょっとびっくりだ。やがて前方に湖とその背後に巨大な山のすそ野が視界に入ってきた。
アンボセリ湖とキリマンジャロ山だ。
われわれの頭上は晴れているのに、キリマンジャロは厚い雲に覆われていて残念ながら山頂の雪は見えない。
周辺の疎林からは、時々キリンやシマウマの群れが、サファリカー2台連ねて走るわれわれ東洋人の子連れ旅行者を物珍しそうに眺めていた。
「まだ国立公園に入ってないのに、こんなにたくさん動物がいるんだ」
ナマンガゲート
雨期にだけ現れるアンボセリ湖のほとりに沿ってしばらく走ると、国立公園のナマンガゲートが見えて来た。エリオットたちが入園手続きをしている間、車から降りてちょっとトイレ休憩。
アンボセリ国立公園入り口のゲート
タンザニアでは国立公園のゲートにはトイレの他、売店や資料館、公園などが整備されていたのだが、アンボセリではトイレだけ。しかもゲートのまわりでたむろしていたマイサ族の物売りたちがたかってくる。
手続きが終わりエリオットが戻ってきて、これから公園内でサファリを楽しみながらロッジへ向うと言う。
物売りたちが、何も買ってくれないの~、とすがるような目で見送る中、サファリカーはエンジン音をあげて国立公園の中へ走っていった。
雲がかかってキリマンジャロ山頂は見えない
水没の危機
もともと公園の中央部には乾期でも枯れない湿地があったのだが、
近年は水量が益して道路や湿地周辺のロッジは
水没の危機にさらされているとのこと。
われわれが走っている道も、
土手のように盛り上げて水をせき止める役目を果たしている。
地球の温暖化により
キリマンジャロ山頂の万年雪が溶け出し、
平和な動物の楽園に甚大な影響を及ぼしているのだ。
雪のないキリマンジャロ
国際的に有名な環境保護団体は、キリマンジャロの雪は近い将来、完全に消えてなくなると警鐘を鳴らしている。それが事実なら、こどもたちが高校生になった頃の地理の教科書には、雪のないキリマンジャロをバックにしたゾウの写真が載っているのだろうか。
ゾウの群れが草むらからどんどん出て来るぞ~
アンボセリのゾウ
アンボセリの湿原ではたくさんの野鳥を見ることができる。
バッファローやヌーもときおり見かける。
この公園の特徴はゾウの個体数が多い事だ。
公園周辺の開発がすすむにつれすみかを追われたゾウが続々とアンボセリに流れて来る。
ゾウの食事量はすさまじく、
公園内の草原は砂漠化し、
森は食べ尽くされ、
ゾウ以外の草食動物は住めなくなりつつある。
するとその草食動物を餌にする肉食動物も姿を消し、
今やアンボセリは美しい景観と生態系を維持するのが
困難な状況に直面しているのだ。
この日もたくさんのゾウの群れを見た。
大きな群れだと30頭近いゾウがいる。
それが車のすぐ横を通り過ぎる様はかなりの迫力だ。
夕焼け空と雨あがりの虹。
キリマンジャロの雪は一瞬しか見えなかったけど、
まあ明日もまだチャンスはあるし、
ゾウをいっぱい見たので今日はよしとしよう。
われわれはアフリカで最後の宿となるオルトカイロッジへ向った。
参考記事:子連れ海外野生動物観察
参考記事:ボルネオの生き物・動物・昆虫図鑑〜写真に収めた絶滅危惧種たち