ヌーの群れの中にシマウマが紛れ込んでいる理由
森ですか?
新しいタイヤをつけてさらに坂道を下ってゆくと、ずっと先の草原に木がたくさん生えているのが見えた。
でも木にしてはちょっと様子がおかしい。
「って、えっ?もしかしてあれ木じゃないの?
木だよね?
あれヌーの群れってことはないよねあり得ないよね、
そんなこと、あんなにたくさんの黒い点々、木じゃないなんて」
でもヌーの群れでした。
それも大群。
シマウマがいる理由
「すげー!」「なんじゃこりゃぁ~~!!」
すごい数のヌーが、そこらじゅうで草を食べている。
よく見るとヌーの群れに混ざってシマウマがいるが、
これは次のような理由らしい。
丈の長い草はヌーが食べれないので、シマウマが食べてあげる。それで丈が短くなった草をヌーが食べる。そうすることで、シマウマはヌーの大群の中にいることを許されているのだ。シマウマにとってヌーの大群は、ライオンなど肉食獣に襲われた時の隠れ蓑になるから。
時折、シマウマが車の前や後ろを横切るので、子ども達も大喜びだ。
ヌーの大群
そこからさらに走ると、クレーターの底が徐々に近づいて来た。
その手前の丘が一面真っ黒だ。これはもう遠目からでもはっきりわかる。
さっきより何倍も多いヌーの群れだ。それもずっとむこうの丘まで繋がっている。すごい迫力。
「うわぁ~~信じられない!」
まっすぐ進もうとしたが、道を全部ヌーに占領されているので、あきらめて右のほうへ進む。
右の道はかろうじて走れるが。まわりはもうヌーだらけ。
時々道にはみ出してくるやつもいる。
しばらくヌーの大群の中を走って、ようやく丘を越えたら、
途端にヌーの姿がまばらになった。
その時モーゼスが運転席から振り返ってニヤリとする。
そしてぼそっと言った。
「ライオン見っけ」