真夜中のターミナル難民〜チャンギ空港のアンバサダートランジットラウンジ

2019年2月10日

「申し訳ございません、満室です」

その返事を聞いて、

わっかちゃーいたが、ほ~らやっぱりやっぱりやっぱりね、

とボクサーがダウンするようにがっくりするわたし。

 

     アンバサダートランジットホテルのロビー / ホテルの受付

 

真夜中のターミナル難民

 

チャンギ空港内のトランジットホテル(アンバサダーホテル)で、

宿泊を断られた瞬間だ。

時刻は真夜中午前1時41分36秒(日本時間午前2時41分36秒)そりゃ~眠い!

 

日本から事前に予約しても満室との回答だったので、

じゃあ当日直接ホテルに行って交渉すれば

何とかなるだろう、

と根拠もなく楽観していた。

 

ところがカウンターで交渉しても、

いっぱいなものはいっぱい。

 

いや、子供が眠いんです

 

と食い下がっても、

薄ら笑いを浮かべるだけで、

取りつくシマもない。

 

シンガポールは島国なのに、

イヤ、その島関係ないから。

 

「しょうがない、他を探そう」

「他って何かあてがあるの?」

 

スターアライアンスゴールドメンバーラウンジなら、

大きなソファーで横になれる。

ベッドで寝るほど快適じゃないかもしれないけど、

それはそれで悪くないアイディアだと思う。

何と言ってもタダだし。

 

そうと決まれば急ごう!

わたしたちはトランジットホテルの受付がある中2階の廊下を急ぎ足で歩く。

 

ゴールドラウンジは

トランジットホテルとは反対側の一番奥にあった。

 

自動ドアをくぐり中に入ると、

またもやわたしたちを打のめすKOパンが飛んだきた。

 

「今日はこれでもうクローズです」

「え、ラウンジって24時間営業じゃないの?」

「ソーリー、違います。明日のオープンは朝7時です」

 

オウノォ~~!

そんな~、私の切り札はあっけなく潰えてしまった。

これから一体どうすればいいんだ。

 

アンバサダートランジットラウンジの受付

         アンバサダートランジットラウンジの受付 / ラウンジの様子 / 軽食コーナー

 

ターミナル

 

考えようによっては、なんでも揃っていて

便利で安全な巨大空港のターミナル。

 

そこで泊まるあてもなく

難民のようにさまようのか、わたしたち。

 

飛行中に祖国のクーデターでパスポートが無効になり、

到着した空港ターミナルから出ることができなくなった男の、

数奇な人生を描いた映画を思い出した。

 

スティーブン・スピルバーグ監督、

トム・ハンクス主演の「ターミナル」だ。

 

主人公、ビクター・ナボルスキーは、

祖国を失い空港ターミナルに閉じ込められた状態でも、

決してくさったり、キレて暴れまくったりはしなかった。

 

その状態を受け入れ、出来ることをたんたんとこなしていく。

たからこそ、空港で働く人たちとの間で友情が芽生えたり、

お金もうけができたり、

あげくのはては国際線のキャビンアテンダントと

恋に落ちることができたのだ。

 

それはもしかしたら、

んなりターミナルを出れた場合より、

幸せだったかもしれない。

 

そう、ヒトが幸せになるのはとても簡単。

 

今ある状態を幸せだと思えばいいのだ

 

どんなのぞましくな状況に直面しても、

それもまた幸せと感じればいい。

 

幸せを探し求めたり、

誰かと比較している限り、

幸せにはなれません。

 

アンバサダートランジットラウンジ

 

「そう言えばさっきトランジットラウンジという看板を見たよ」

 

なんとかこの状況をラッキーと思おうとした矢先、ママが発言する。

それはトランジットホテルの見間違いじゃないの?

 

ウ~~、でも確かにトランジットラウンジって書いてあったと思う。

そんなに遠くないという、ママのその言葉を信じて、

藁をもすがる気持ちでそっちのほうへ歩きはじめる。

 

「あ、あった、あった、あそこ」

しばらく人気のない廊下を歩くと、

前方に確かに「トランジットラウンジ」

と書かれたサインが見えるではないか。

おお~~。

 

「あのー、今から家族4人で寝れる部屋はありますか?」

どうせダメだろうと思いながらも、

素早くカウンターで聞いてみる。

 

「ええ、ありますよ」

「ほ~ら、やっぱりダメじゃない、ってエ?今何て言いました?」

「4人分のベッドはありますよ。でもここはホテルではないので部屋ではありません」

 

どういうことか聞き返してみる。

そすると口で説明するより実際見たほうが早いでしょう、

ということで、その4人分のベッドを案内してもらう。

 

フィットネスマシンベッドルーム

 

設備と料金

 

アンバサダートランジットラウンジは、

同じチャンギ国際空港内にある

「アンバサダートランジットホテル」と同系列。

 

だたしこちらはあくまでもラウンジなので、

基本的にはソファーやテーブルでくつろぎながら、

軽食や飲み物をつまんだりする過ごし方がメインとなる。

 

案内されたのは、ソファー等が置かれたラウンジロビーの裏側。

まるでホテルのような廊下の片側に、

ドアがいくつか並んでいる。

 

そのうちひとつのドアを開けて中に入ると、

そこは細長い部屋だった。

その部屋の中に、壁とカーテンで仕切られた4つの小部屋があり、

それぞれにベッドとちょっとした家具が置かれている。

 

広さはタタミ四畳くらいだろうか。

入り口のドアには鍵はかからない。

でも4人で利用すればここのスペースは全部あなたちのものです、と言う。

 

料金はベッドがある小部屋の使用料が35シンガポールドル。

使用は3時間単位。

午前2時から明日の朝8時まで使用すると

2単位の利用なので1小部屋70SGDということになる。

 

子供も大人と同額なので、

かける4人で280SGDかーー。

う~~ん、けっこう高い。

 

トランジットホテルより割り高だから、

あっちは満室なのに、こっちは空きがあるんだね。

 

でもまぁ、なにしても寝れるところがあってよかった。

部屋はとっても清潔で新しいし、ベッドのリネンが気持ちいい。

冷房が効いているのも快適です。

 

ドリンクは本来別料金らしいが、

わたしたちにはサービスしてくれた。

 

それにまだ午前2時には少し早いけど、

もう使ってもいいとのこと。ラッキーだったね。

 

今夜は野宿かというピンチからなんとか開放された安心感と

思いのほか快適なベッドで寝れるので、

4人分ならちょっと割高になることを引いても、大満足。

 

明日はいよいよメナドだね。

きれいな海でいっぱい泳ぐぞ!

 

ようやく幸せな眠りにつける頃、

明日はさらなる試練

わたしたちの行く手を阻むことになるなんて、

この時は知るよしもなく、

すやすやと深い眠りにつくのだった。

 

おやすみなさ~~い☆

 

*トイレは室内にはなく、ラウンジ側に行かなければならない。

トイレの使用は無料だが、シャワールームは別料金で8SGD。

トレーニングジムも完備されていてる。