ハワイの秘境トレイル・アラカイスワンプ子連れトレッキング

2019年5月4日

アラカイスワンプトレイル

アロハ〜☆マリンスポーツ歴40年、カウアイ島にタイムシェアーのリゾートコンドを購入し毎年子連れハワイ旅行を楽しんでいます。日本人にはまだまだ馴染みの薄いカウアイ島の情報を発信しています。

ハワイ旅行9日目。プウオキラ展望台からピヘアトレイルを歩き始めてピヘア展望台との分岐点まで来ました。この項では、この分岐点からキロハナ展望台までの往復トレッキングの様子を紹介します。*車を止めたプウオキラ展望台からキロハナ展望台までのトレッキング所要時間(片道)はおよそ2時間です。

アラカイ十字路を目指す

ピヘア展望台との分岐点を右折して次にアラカイ十字路を目指します。ピヘア展望台はプウオキラ展望台とは渓谷をはさんで対岸の峰にあります。しかし眺めはそれほど良くありません。前回(2005年)は初めてだったので、ここまで来て行かないのも心残りなので立ち寄りましたが、今回はスルーします。

分岐点からピヘア展望台まで片道7~8分ですから、初めての方は記念に行かれてもいいでしょう。

分岐点を右折するとアラカイ十字路方面です。分岐点から少し進むと下り坂が始まります。晴れていればこれから目指すアラカイ大湿原まで視界が広がるパノラマの景色が眺められます。休憩するなら分岐点より、視界が開ける少し進んだこのあたりがいいでしょう。

アラカイスワンプの湿原と森

分岐点から先のコースは、特にアラカイ十字路までの前半は尾根の稜線を下るコースです。木々に覆われている部分が多いですが視界が開ける場所では、ハワイの原生林が広がる素晴らしい眺めを堪能できます。

トレッカーもめったにいません。聞こえてくるのは鳥のさえずりと風が木々を揺らす音だけ。時が止まったようなまさにこの世の楽園を体感できます。

分岐点から少し歩いた先から尾根の稜線を下っていきます。急激な角度の斜面がありますので気を付けながら進んで下さい。

ウルヘの群生

ウルヘの群生。ハワイの原風景が見られる手つかずの自然が残された貴重なエリアです。

ハワイミツスイたちの声が聞こえる

ところどころ視界が開け素晴らしい景色を眺められます。アパパネ、イイヴィ、アニアニアウ、アマキヒなどのハワイミツスイたちの声が空や森に響き渡ります。

森の中に伸びるボードウォーク

分岐点からだいぶ下って来ましたがまださらに下るようです。このあたりからボードウォークがあります。

ボードウォークをどんどん下っていきます。帰りはここを登るんだ~と思うとちょっと気が重いですが今は先のことは考えないようにしましょう。アラカイ十字路まだまだ先です。

色鮮やかな実がなっています。

ジンジャーの花

ジンジャーの花。

ボードウォークを進むリュウ

ボードウォークに沿ってゆるやかな下りが続きます。

ピヘアトレイルとの分岐点をすぎ、尾根の稜線をどんどん下って行くとやがて平坦になります。

ここから先は深い森のトンネルの中を進むコースになります。視界が広がるパノラマ景色は見れませんが、緑の雫がしたたり落ちるような森の中のトレイルは気分がリフレッシュします。

路面にはボードォークが設置してあります。しかしかなり古くなっており、板から大きなくぎがむき出しになっていたりするので十分注意しながら歩いて下さい。

また板の片方に体重をかけると、もう片方がシーソーのように跳ね上がったりします。複数の人数でトレッキングするさいはこの点にも十分気を付けて下さい。もしけがや骨折をしても、ここから車を止めたプウオキラ駐車場まで厳しい坂道を登ったり降りたりして帰らなければならないことを自覚して下さい。

そのことに気を付けさえすればほぼフラットなコースなので危険なことはありません。

シャワーのように降り注ぐ鳥たちの鳴き声を楽しみながら森の中を歩いて行きましょう。鳥の中にはカウアイ島の固有種もいますよ。

シダの仲間

シダの仲間。植物も多くはカウアイ島の固有種です。

空中に生えるウルヘの仲間

空中に生えるウルヘの仲間。誰かが演出したガーデニングのオブジェようですね。

森のトンネル。このあたりで人と出会うことはまずありません。この素晴らしい自然を独占している贅沢な気分です。

倒木の根

直径3m近い倒木の根。いたるところにあります。

自然を楽しみながら自分たちのペースで進みましょう♪

カヒリジンジャーの群生

カヒリジンジャーの群生。この時期はいっせいに黄色い花が咲いていました。

巨大な木のようなウルヘ

ウルヘにも木のように巨大なものがあります。

ボードウォークを進むリュウ

苔むした森の中に続くボードォークを進みます。

トカゲ

足もとを良くみるとこんトカゲがけっこういます。

アラカイ十字路

アラカイ十字路に到着

アラカイ十字路に到着しました。

けっこう早いペースできたのでプウオキラ展望台からここまで1時間ちょっとで着きました。休憩を入れながらゆっくりくると通常は2時間程度かかります。

アラカイ十字路の標識

アラカイ十字路を左折してアラカイスワンプを目指します。標識があるので間違えることはないと思いますがしっかり確認してから進んで下さい。ちなみにプウオキラ展望台からここまで歩いてきたトレイルはピヘアトレイルです。そしてこの十字路をまっすぐ進みカワイコイキャンプまで伸びています。

一方、ここでピヘアトレイルと交差しているのはアラカイスワンプトレイルで、左折したあとキロハナ展望台まで続いています。

カヒリジンジャーの花

カワイコイ川まで降る

アラカイ十字路から先に2~3分進むと急坂が現れます。まるで地の底まで降りて行くのかと疑いたくなるほど坂道を下っていきます。帰りにはここを登るのか、と思うとちょっとやるせない気持になります。コースの大半にボードウォークが設置してあります。

ずーっと下った先にカワイコイ川があります。下って行くと鳥の鳴き声に混じって水のせせらぎが聞こえてきますのでわかります。川には橋はありません。水量が少なければ岩の上を飛び越えながら反対岸へ渡ることができます。でも水量が多いときは靴を脱いで裸足で渡らなければなりません。

わたしたちは今回は2人ともクロックスを履いて行ったのでじゃぶじゃぶ水に足を浸けながら渡りました。長い時間歩いてほてった足に冷たい水がとっても気持よかったです。

そして川を渡った反対側の岸の木陰で休憩をかねて持って来たランチをいただきました。質素なおにぎりのランチでしたが、川のせせらぎや鳥のさえずり、風が木々の葉をゆらす音に囲まれていただく最高に贅沢で美味しいランチでした♪

下り坂が続く

頭上では鳥たちが飛び交っています。このあたりにいるミツスイの多くはやはりカウアイ島の固有種らしいのですがやはりどれがどれかよくわかりません。

カヒリジャーの群生の中を下って行きます。

カヒリジンジャーの黄色い花がそこらじゅうで咲き乱れていました。

珍しい植物

コースの脇にはカヒリジンジャーの他にも珍しい植物がたくさん生えています。カウアイ島の固有種もあるはずですがどれがどれかよくわかりません。

カワイコイ川までほとんどずっとボードオォークがあります。階段を下るような感じで進みます。

カヒリジンジャーの花

そこらじゅうでカヒリジンジャーの花が咲いています。まるで植物園のようです。

オヒアの木を見上げるリュウ

右手の少し上に見えている赤い花はオヒアの木です。この花の蜜を吸いにハワイミツスイたちが集まってきます。このときは数羽が飛んでいたのですが動きが早くてなかなか写真におさめることは難しかったです。

とにかくカヒリジンジャーの花がすごいです。

鳥の鳴き声に混じって水の流れる音が聞こえてきたらカワイコイ川はもう近いですよ。

やがてボードウォークがなくなり、露出した地面の坂を下って行くと、下のほうにカワイコイ川が見えてきました。ここまでくると水の流れる音がはっきり聞こえます。りゅうはカウアイハワイミツスイを探してきょろきょろしてますが、土の斜面は滑りやすいので、ほどほどにしないといけません。

カワイコイ川に到着

ついにカワイコイ川に到着。川を越えるといよいよ文明社会から遠く離れた秘境感が強くなります。

アラカイスワンプトレッキングの服装と持ち物

地の底まで降りるかのかと思う程長い下り坂を下って来たカワイコイ川。ピヘア展望台への分岐点を過ぎてからは誰とも出会っていません。このあたりまでくるとずいぶん文明社会から離れて遠くまでまで来たな~~という感じが強くします。

カワイコイ川は岩の上をぴょんぴょん飛び跳ねて渡れますが、水量が多いときは靴を脱いで裸足にならなければ無理です。前回来たときは今回と比べてかなり水量が多かったです。

今回わたしたちはクロックスを履いてきたので水の中でもばしゃばしゃ歩けました。それに水が冷たくてとっても気持が良かったです。

川を渡るリュウ

アラカイスワンプのトレッキングではだいたい標高1000m~1200mの高地を歩きます。日がかげってくるとすこし肌寒く感じるのでさっとはおれるウィンドブレーカーなどをバッグに入れておくといいでしょう。ふだんの服装は半袖のシャツで十分です。下は半ズボンです。茂みの中を歩くこともありません。蚊などの虫もいません。

バッグにはランチ用の食料と水を入れて持って行きました。荷物は全部リュウが背負って歩きました。前回は長男のカイが小学3年生のときに来ましたが、今回はリュウは小学5年生です。前回のカイと比べてずいぶん早く歩けます。休憩したのも結局、このカワイコイ川でランチを食べたときと目的地のキロハナ展望台の2回でした。

ハワイのトンボ

川の水辺にいたイトトンボ。赤い色が鮮やかです。

カワイコイ河畔でピクニックランチ

さてカワイコイ川を越えると今度は一転して急な上り坂になります。ここからアラカイスワンプまでおよそ250mくらい登るので覚悟しましょう。ではここでいったん休憩。カワイコイ川の河原は森が開けていて日当りもいいのでランチを食べることにしました。

ランチのおにぎりを食べるリュウ

川を渡った反対岸の木陰に座ってお昼にしました。ママが作ってくれたおむすびと卵焼きとスパムです。川のせせらぎと鳥の鳴き声、それに木々の葉ずれの音をBGMに自然の中でいただくごはんは美味しいですね。

トレッキング再開

休憩が終わり再び歩き始める

お昼が終わったらまた立ち上がって先へ進みます。ここから先はアラカイスワンプまでずーっと上りです。

手つかずの自然が本当に素晴らしいです。

ハワイミツスイを見つけたリュウ

リュウが枝の上にハワイミツスイを見つけました。わたしもそーっと近づきます。

ハワイミツスイ

やった~~!。ついにカメラでその姿を捉えることができました。ハワイミツスイです。でもこれがカウアイ島の固有種かどうかはわかりません(><)

道端にはいろいろなベリーがなっています。

上り坂の終点

上のほうの視界が開けてきました。この坂を登りきるといよいよアラカイスワンプです。

奇跡の大湿原アラカイスワンプ

世界には数多くの湿原があります。通常、湿原にはそこに水を供給する河川や山が存在します。水は高いところから低いところへ流れるので低地の湿原に水が溜まるわけです。

たとえば尾瀬湿原は周囲の山の雪解け水が年間を通じて流れ込むため高地にもかかわらず湿原が存続できています。ところがカウアイ島のこのアラカイスワンプには水を供給する山も河川もありません。ここがカウアイ島の最高地だからです。ここより高い場所はない、つまりここに流れ込む河川も、たたえた水を供給する山もないのに、なぜこのような高い場所に湿原が存在しているのか?

答えはごく単純です。それはここが世界で一番多量の雨が降る場所だからです。常に雨が降っているため湿原が存在できているのです。よく考えればこれは、水の供給システムを「雨」という天気のみに頼っている非常にはかない湿原なのです。

それにもかかわらずカウアイ島の天空にこれだけ巨大な湿原帯が存在していることはまさに地球の奇跡といえるでしょう。ほんのちょっとした気候変動でこの場所に降る雨が一瞬でも上がったら、この奇跡の湿原は消滅してしまいます。

湿原はまた貴重な生き物の宝庫でもあります。小さな植物から虫に至るまでカウアイ島固有の貴重な生物が暮らしています。くれぐれもコースからはずれて歩かないようにして下さい。

カワイコイ川からおよそ250m登った場所からアラカイスワンプの大湿原帯が始まります。トレイルにはボードウォークが敷かれているので楽にトレッキングを楽しめます。終点のキロハナ展望台までは片道およそ40分です。ただし雨と霧でほとんど何も見えません(笑)。

低木のオヒア

オヒアの木がこんなに低木になっています。花もこんなに低いところに咲いています。

ボードウォークと同じ高さに咲いているオヒアの花。

アラカイスワンプ

目印はひたすらボードウォークです。周囲に高い山も峰もありません。カウアイ島の最高地はこのように平な地形です。

湿原の中のコロニー

所々湿原の中に「コロニー」と呼ばれる林があります。比較的水が少ない場所に植物が群生しているのです。

コロニーの内部

コロニーの内部には驚くほど多様な植物が自生しています。アラカイスワンプではいくつかのコロニーの内部を通り抜けながらトレイルを進みます。

アラカイスワンプのボードウォークを進むリュウ

歩いても歩いても果てしなく続く大湿原。標高1200mの上空にこんな広い湿原があるとはとても信じられません。

振りかえって何かを見るリュウ。

霧が濃くなってきた

進むに連れだんだん霧が濃くなってきました。

幻想的な景色の中を進みキロハナ展望台を目指します。

歩いても歩いても同じような景色。

湿原の水はいつもより少なめです。

最後のコロニーとオヒアの木

ボードウォークのすぐ脇に咲く低木のオヒア。アラカイスワンプトレイルのゴール、キロハナ展望台はこの最後のコロニーのすぐ先にあります。

最後のコロニーを進む。ここを抜けると突然、断崖絶壁のエッジに出ます。

キロハナ展望台に到着

キロハナ展望台

カウアイ島最高地に広がるテーブル状の高原にアラカイスワンプがあります。カイワコイ川から崖の坂道を登り、この天空の大湿原帯アラカイスワンに出て、さらに湿原を40分ほどトレッキングすると終点のキロハナ展望台に到着します。テーブル状の高原地帯の北東のエッジにある展望台です。

展望台といっても畳3畳ほどの板が敷いてあるだけの質素な場所です。その床板もところどころ朽ち果て最果ての地の郷愁が漂っています。もちろん売店もトイレもありません。

アラカイスワンプではボードウォークの上をずっと歩いてきますが、その終点にキロハナ展望台があるというかたちです。展望台から先はボードウォークはありませんし急な崖になっているのでそれなりの装備を持っていないと進むのは難しいでしょう。

本来はここからハナレイ湾とナパリコーストの絶景が堪能できるはずなのですが、わたしたちが行ったときはガスがかかっていてほんの3~4メートル先も見えない状態でした。まあ雨が降っていないだけましといえますが。

アラカイスワンプに登ったあたりからガスが出てきて時折小雨もぱらつきます。そして進むほどガスが濃くなり視界がきかなくなります。

実は、わたしたちがキロハナ展望台に到着したとき一瞬だけガスが晴れて眼下にすばらし景色が見れたのですが、本当に一瞬だったのでカメラにおさめることはできませんでした。そのあと30分くらいねばったのですがますますガスが濃くなり雨も降り始めたので写真はあきらめて退散しました。

前回着たときもまったく何も見えませんでした。考えてみれば世界で一番雨の降る場所がこのアラカイスワンプです。そしてその雨がこの湿原の存続を可能にしているわけですから、そのうえ景色まで見たいというのは欲張りな願いなのかもしれません。

キロハナ展望台は標高1100メートルの崖のエッジにありその真下にナパリーコーストとハナレイ湾が広がっています。ガスが晴れて一瞬だけ見えた、太陽の光をうけエメラルドグリーンに輝く珊瑚礁の海はまるで巨大な宝石のようでした。

次回は絶対、この景色を写真におさめたいです。

私たちより先に着ていたカップル。わたしたちが到着するまでずーっとガスってて何も見えなかったそうです。私たちが到着したとき一瞬だけ見れたハナレイ湾の景色に満足して立ち去りました。

ヒメネズミ

展望台の住人ヒメネズミ。とても臆病な生き物なのでめったに姿を見るチャンスはありません。

キロハナ展望台

一瞬だけガスが晴れて視界が広がったので急いでカメラを構えましたが、あっという間にこんな状態になりました。

待てども待てどもガスは晴れません。この下1100メートルにハナレイ湾があるのですが、、、

雨も強くなってきたのであきらめて帰ることにしました。さよなら、キロハナ展望台。今度来るときはしっかり絶景をおがませてくれよ。

キロハナ展望台からの帰り道

おっとっと、ボードウォークから足をすべらせて落っこちないように。

帰りのアラカイスワンプトレイル

ママがコケエロッジで待っているから少し急いで戻ろう。

アラカイスワンプ

帰路はプウオキラ展望台まで約2時間10分でした。アラカイスワンプを出るとガスこそなくなりましたが天候はずっと曇りがちで時折小雨がぱらついていました。

駐車場に戻って車に乗る前にもう一度アラカイスワンプの方を振り向きましたが、天空の湿原は雲に覆われてその姿を見せることはありませんでした。

プウオキラ展望台ーキロハナ展望台ルートマップ

*プウオキラ展望台の駐車場は無料です。プウオキラ展望台から先は車は侵入出来ません。カララウ展望台までしか車が入れないこともあります。