マレーシア・ボルネオ島子連れ(長男小5、次男小2)旅行記〜さよならボルネオ編
ラハダトゥの町。ホテルのまわりでも夜はこんなに暗い
ラハダトゥ・エグゼクティブホテルに泊まる
今夜わたしたちが泊まるのはラハダトゥ・エグゼクティグホテル。ラハダトゥの町のほぼ中心にある中国系老舗ホテルだ。ダナンバレーへ行く途中ここでランチをしたが、食事がものすごく美味しかった。
到着して時計を見ると午後6時半をすこし過ぎたところ。ゾウ騒ぎで足止めをくったわりには、ほぼスケジュール通りだ。ドライバーさん、ずいぶん飛ばしてくれたんだね。それともやっぱりただのスピード狂?!
しかしドライバーさんにとっても、1日でゾウとあんなに出会ったのは初めての体験のようで、すごく興奮していた。本当にありがとう!おかげで一生忘れられない貴重な体験ができました。
「帰りも気を付けて運転してねー」
ツインルームの様子
ラハダトゥで今年最初の夕食をいただく
ドライバーさんを見送った後フロントでチェックインしてすぐ部屋へ向かう。4人で泊まれる部屋も、コネクティングルームもなかったので、ツインを2部屋手配してある。ところが、せめて隣同士の部屋ならありがたかったのだが、3部屋分離れている。なんとかならないか交渉したが、お正月でどの部屋も満室とのこと。同じフロアにするのが精一杯だったと言う。まあ、今夜はもう食事して寝るだけだし明日の朝の出発も早いし、これでいいか。では、さっそく夕食をいただきに行こう。
「どこで食べようか?」
ラハダトゥなんて多分もう来る事ないだろうし、せっかくだから町に出て美味しそうなレストランを探してみようということになった。しかし一歩ホテルから出ると、昼間と違ってちょっと怪しい雰囲気だ。街灯が少なく通りがやたら暗い。こんな中、こどもを連れてあてもなくぶらぶら歩くのは危ないかもしれない。やっぱりやめておこうか。それにわざわざ出歩かなくても、ここのホテルのレストランが美味しかったじゃないか!
ということでホテルのドアを出て数秒もしないうちに戻ってきた。そして1階のレストランへ直行。
魚介がたっぷり入ったシーフードラーメンや、マレーシア風やきそば、チャーハン、それにフィッシュ&チップスをオーダーした。
夕べの大晦日は、きっと遅くまで盛り上がっていたんだろう。今日は従業員も少ないし、みんななんだか疲れた顔をしている。
それでも、運ばれてきた料理はどれもこれもうなるほどの美味しさ。あわやゾウに踏み殺されかけた話しで盛り上がりながら2009年最初の夕食を美味しくいただくのであった。そうそう、デザートにアイスを追加!
*ホテルのすぐ隣に大きなショッピングモールを建設していました。中にはレストランやフードコートもできると思います。
子連れ旅行は「体験」に価値がある
文部科学省の調査によると、自然体験が豊富な小学生ほど学習意欲が高い傾向にあることがわかりました。これは2009度に文部科学省が行った農山漁村での宿泊体験事業に参加した小学校306校の教員らにアンケートを送付し全校から回答を得た調査結果です。
それによると、山登りや星空観察、磯遊びなどの自然体験活動は、5時間以上行った学校の71.4%が児童が学校での授業に「より積極的に取り組むようになった」と回答しています。これは5時間未満の56.3%を大きく上回るものです。また「自然や環境保全への意識が高まった」のも、5時間を境に大きな差がみられたとのことです。
一方、野菜の収穫や地引き網など農林漁業の作業体験では4時間以上と2時間以上4時間未満の学校はいずれも70%台が「学習意欲が向上した」と答えたのに対し、2時間未満は58.5%。マナー面でも「児童がきちんとあいさつをするようになった」のは4時間以上で84.7%、2時間未満で64.7%でした。全体的には4時間以上の作業体験をすると高い効果がみられました。
このことは子連れ旅行を計画する時に大きなヒントになると思います。
個人差や男の子と女の子で違いがありますが、一般的にこどもは高学年になるまで観光や買い物にはあまり興味がありません。有名観光地を訪れたり、ガイドブックに載っているお店やレストランに行っても、感動しないばかりか、ここで言う「学習意欲」が高まったり、自然や環境問題、社会問題などに関心を抱くきっかけにはなりにくいのです。
最近は子連れ海外旅行に出かける家族が増えてきて、子連れ海外旅行も特別なものではなくなっています。その一方で、子連れならではの特色を生かした旅行を実践している方は非常に少なく残念に思います。
大人だけならじゅうぶん楽しかったガイドブックをなぞるような旅行も、子育ての観点からはこどもにプラスにならないうえ、子供にとって楽しくないことを理解しましょう。
子連れ旅行は「体験」にこそ価値があります。せっかく高いお金を払って、大変な思いをして子連れで海外へ行くなら、調査でも効果を認められている「自然体験」を重視した旅行を計画して下さい。
日頃の生活や日本ではできないような「体験」を通じて、旅行そのものを子供も大人も楽しめて、尚かつ、子育ての面でも十分な成果を期待出来る旅育にも通じる、まさに一石二鳥と言えるでしょう。
あわせて読もう
ラハダトゥ空港
ラハダトゥでの一夜が明けて、いよいよ日本へ帰る日がやってきた。アフリカや南米と比べたらアジアからの帰国は楽々ちん。時差もほとんどないし、飛行時間も短いからね。今日はラハダトゥ空港から国内線でコタキナバルへ飛び、そこから国際線に乗り換えて成田へ直行する。
コタキナバルから週2便、成田へ直行便があり、それに乗り継ぐことで、ラハダトゥのようなボルネオの田舎の町からでも、その日のうちに日本に帰れる。考えてみれば本当にすごいことだね。便利な世の中になったもんだ。世界はますますひとつになっているということを実感します。
朝食の様子 / 中華粥と味付け蒸しビーフン
ホテルのレストランで朝食をいただいて、それから送迎車で空港へ向かう。ホテルから空港へは2分足らずで到着。渋滞もないし拍子抜けするくらい快適だ。おかげで早く到着し過ぎちゃった。おまけに人が少ないので搭乗手続きもすぐ終わる。
さあ、余った時間何しよう?食事はホテルで食べて来ているし、おみやげを買うといってもパンと雑誌を売っているような売店しかない。出発まで、本を読んだりこどもたちは勉強してすごしました。
わずか2分で空港に到着 / ラハダトゥ空港の外観 / 気を付けてお帰り下さい
そしてとうとう出発時間になった。待合室のドアが開き、滑走路を歩いて飛行機に乗る。小さな飛行機はプロペラ機で、タラップを登るとキーンというエンジン音が耳に響いて来る。朝日のまぶしさに眉を細めながら、もう一度振りかえってダナンバレーの方角を眺めた。
ありがとう、ボルネオ!ありがとう、ダナンバレー!いつかまた会える日まで、その素晴らしい緑の森とそこに住む生き物たちが、平和に暮らしていけますように。
飛行機のドアをくぐるとき、一瞬エンジンとプロペラの音が止み、せせらぎの響きとかすかな川の匂いが風に乗ってわたしたちのわまりを舞ったような気がした。
カウンターもガラガラ
*ラハダトゥ~コタキナバルの飛行時間はおよそ1時間弱
*シート配列は2-2。この日の搭乗率は約3割、ガラガラ状態。
*右側の窓からキナバル山の頂が眺められる
*荷物はラハダトゥで預けて成田までスルー
セキュリティーチェック / 滑走路を歩いて飛行機に向かう
エピローグ
窓の外にキナバル山が見えてきた / コタキナバル空港に到着 / ロイヤルブルネイ航空だ。珍しいね!
キナバル山
ラハダトゥを発って40分くらいのところで、左側の窓の下に、頂きに雪をかぶった大きな山が見えてきた。キナバル山だ。キナバル山は東アジアの最高峰。標高4095メートルで世界遺産にも登録されている。1泊2日で登頂するキナバル山登山は、観光客にも人気のアクティビティだ。それから機体はじょじょに高度を下げ、離陸してからおよそ1時間弱でコタキナバル国際空港に着陸した。
トランジットとトランスファー、どっちに進むんだ? / ショップ街の様子
コタキナバル空港で乗り換え
飛行機が停止しドアが開いたら、タラップを使って滑走路に降りる。こんなに立派な空港なのに、ブリッジを使わないのは意外だね。まあラハダトゥからの飛行機が小さいうえ乗客もあまり乗っていなかったからかもしれない。滑走路を歩いて空港ビルに入ると進路が「トランスファー」と「トランジット」に別れている。どちらも同じ形状のカウンターなので、案内のサインを良く確かめないとわかりづらい。
もし他の空港からコタキナバルで乗り継いで日本へ帰る場合、日本までの搭乗券を出発地で発券してもらっていれば、ここでは「トランジット」へ進めば良い。われわれがやって来たラハダトゥ空港では、コタキナバルまでの搭乗券しか発券してもらえなかった。従ってまず「トランスファー」のカウンターに並び、コタキナバル~成田の搭乗券を発券してもらう。この時あまり人が並んでいないにもかかわらず30分近くかかった。
搭乗券を発券してもらったら、次に「トランジット」のカウンターに進み、出国手続きをする。これには5分もかからなかった。出国手続きが終われば、あとは搭乗ゲートA-5へ進み、出発の案内を待つだけ。成田行きの出発時刻は午後12時50分。コタキナバルに到着してから思ったより時間がかかったとはいえ、まだ出発まで3時間近くある。コタキナバル空港は近年増加する利用客に対応するためターミナルビルを含む空港施設の増設をおこなっている。
わたしたちが訪れた時はまだ工事中の部分も多かったが、1~2階吹き抜けの出発エリアには、カフェや土産物ショップがずらっと並んでいた。
スタバで勉強するこどもたち
マンユニでおじさんと盛り上がる
「どちからですか?」
スタバでアイスカプチーノをすすりながら本を読んでいたら、となりの初老の男性が話しかけて来た。ママはショップ街の散策に出かけ、こどもたちは向いのテーブルで勉強をしている。
「ああ、日本です」
「おおーそれは近くていいですね、ボルネオは楽しかったですか?」
「楽しかったですよ、ゾウやオラウータンをいっぱい見れて、こどもたちも興奮しました」
それから、昨日、ダナンバレーからラハダトゥに向かう途中、ゾウの大群に襲われそうになった話しをすると、目を輝かせて聞いてくれた。
「それはすごい!そんな大きな群れと遭遇して、しかも無事だったなんてついてる」
ところであなたはどちらからですか?と尋ねるとマンチェスターだという。
「ん?マンチェスター」
それを聞いてとなりでおとなしく勉強していたこどもたちが食いついてきた。
「おじさんマンユニ(マンチェクターユナイテッド)の試合見るの?」
こんな東洋人の子供の口から「マンユニ」なんて言葉が出たもんだからおじさんは喉にスコーンがつまったみたいに目を白黒させてびっくり。マンユニは日本でも有名なのか、と1人で納得し満足そうに笑っている。この子たちはサッカーをやっているのでたまたま知ってるだけですよ、とは言えなかった。おじさんの話しによると、おじさんははなんとマンユニのスタジアムからほんの5分くらいのところに住んでいて、こどもの頃から大ファンだと言う。我が家のこどもたちも衛生放送などでプレミアムリーグの試合をチェックしているから、あの時のルーニー(マンユニの代表選手)のスルーパスが絶妙だったとか、あのドリブルは神業だとか話すとおじさんも事細かく応戦してきてえらい盛り上がりになった。
「あの試合のそのプレー」で会ったばかりのイギリスのおじさんと日本のこどもがこんなに熱く語れるなんて、不思議というかこれもサッカーの魅力なんでしょうね。ま、わたしは広島東洋カープじゃけん。
「ところで君たち、マンユニのショップにはいったかい?」
プレーの話しが一段落したところで、おじさんが話題を変えてきた。なんでもコタキナバル空港の出発フロアのこのビルの中にマンチェスターユナイテッドの公式ショップがあるらしい。ってなぜーー?ともだちへのお土産が買えなかったリュウはそれを聞いて俄然興奮。すぐ行こう!と席を立つ。まあまあ、まずママが帰ってきてからな。それにおみやげなんか誰に買うんだ?ちゃんとママの許可をとってからにしなさい。
ほどなくママが戻ってきて、おじさんと軽くあいさつ。それから「1階にマンチェスターなんとかのショップがあったよ」と言う。
「いや、今それを話していたんだよ」
それからおじさんに別れを告げて、マンユニショップでおみやげ探し。こうしてリュウはなぜかボルネオのおみやげがマンユニグッズとなったのでした。
このあと、出発の案内があり飛行機へ向かう。帰りのフライト時間は成田まで4時間50分。
シート配列は2-5-2。食事は栗とチキンの甘辛煮+ライス、か、魚のトマトソテー+平打パスタ。とっても美味しくいただきました。
空港内にあるマンユニショップ
さよならボルネオ
プーケット旅行と組み合わせた今回の旅行。後半のボルネオの印象が強かったので、プーケットへ行ったのは遠い昔のように思えるけど、どちらもとっても楽しかったね。
「なにより全員無事で良かった」
「ゾウに会った時は本当に死ぬかと思ったよ、今までの旅行で一番のピンチだったんじゃない?」
「ん~~あれはすごかったね、ちらっと姿を見るだけでも奇跡と言われる野生のボルネオゾウに、4回も遭遇するなんて。そのうえ、突進されて死ぬかと思ったけど、何故か無事だった」
はっはっは~。
どんなに先が見えない絶望的な境遇にあっても、その状況を嘆いたり、どうやってそこから抜け出そうか心を傷める必要はない。わたしたちはただ、映画を観るようにそのピンチや悲劇をワクワクしながら楽しめばいい。
人生の時間を感謝し楽しむ者に「キセキ」は訪れる。
そしてどんな悩みも問題も、「キセキ的なこと」がおこったら一瞬で解決されるのだから。
よろしくお願いしま~す☆ / 栗とチキンの甘辛煮+ライス / 魚のトマトソテー+平打パスタ
肩に重さを感じたと思ったら、隣で本を読んでいたリュウが、わたしの方へよりかかって眠りこけている。その寝顔の裏で、どんな夢を見ているのかな?
楽しかったボルネオ旅行。たくさん自然に触れ、虫や動物をたくさん見て、たくさん笑ってたくさん食べてたくさん歩いたね。
そうだ、忘れていた!
こどもたちのこんなにも純粋でかわいい寝顔を見れること。
これこそ何よりの「キセキ」だということを。
窓の外で、緑の森のプリンセスがそっと微笑んだ。
こどもたちがボルネオで楽しかったことランキング
- ボルネオゾウと遭遇したこと
- キャノピーウォークを歩いたこと
- カブトムシをいっぱい触れたこと
- ナイトサファリ
- スカウのスコールの中のリバークルーズ
恋する森のプリンセス~ボルネオ子連れ旅行記~君に降るキセキ おわり