聖誕教会~イエス・キリストが生まれた場所

2019年2月24日

聖誕教会

「毎年12月になるとクリスマスツリーを飾るよね?」

ベツレヘムのお土産ショップから出て、バスに乗りながらこどもたちに質問する。

「うん」「飾る~」

「じゃあ、ツリーのてっぺんに飾るものは何~だ?」

「え~何だっけ」

「あ、わかった、くつした!

「はっはっは、それは、プレゼント欲しいだけだろう」

「わかった、わかった、星だ」

「そーー、正解!答えは、星。じゃあ、その星を何と呼ぶか知ってる?」

「う~ん、わかんない」

「あの星はベツレヘムスターって言うんだよ」

 

聖誕教会前のメンジャー広場

      聖誕教会前のメンジャー広場 / 「謙虚の扉」から内部へ入る。アタマぶつけないよーに

 

全員が戻ったことを確認して、バスはエンジンを唸らせながら動き始める。

窓の外には、時間が止まっているような強い日差しが照りつけ、建物の影が濃く浮かび上がる。

 

生誕教会の内部

            内部はこんなに広い!

 

イエスが生まれた時、星に導かれて東方から3人の博士が、ベツレヘムにやって来た。

当時、ベツレヘムの上空に一定期間、星が輝いていたと言い伝えられている。その星にちなんで、クリスマスツリーに星を飾るようになったのだと言う。

それでベツレヘムスターというわけだ。

「おもしろ~い!」

 

ローマ時代のモザイク

               聖堂の床にはローマ時代のモザイクが見られる

 

ちなみに、その3人の博士はイエスを「新しいユダヤの王」になると予言した。

それを聞いた当時の王、ヘロデは自分の身を恐れて、ベツレヘムに住む2歳までの幼児を皆殺しにしたと言われている。その追跡から逃れるため、イエスの家族は一時期エジプトに避難していた。

その避難先のエジプで、現在も信仰されているのが、コプト教だ。

 

神聖な場所

                     とても神聖な信仰の場所

 

ところで

「クリスマスっていつ?」

「12月25日」

「ピンポ~~ン!じゃあその日はなんで、おめでたいの?なんでサンタクロースがこどもたちにプレゼントを配るの?」

「う~~ん、プレゼントが欲しい子供がいるから」

「はっはっは、そりゃーそうかも。これから行く場所は聖誕教会と言う所なんだけど、イエス・キリストが生まれた場所なんだよ」

「へ~~」

「じゃあ、キリストの誕生日っていつ?」

「12月25日?」

そう、クリスマスだよね。

イエス・キリストはこの町で、今から2008年前の12月25日に生まれたとされているんだ。あんまり昔のことだから正確にはわからなし、そうじゃないという意見の人もいる。(紀元前4~6年頃ではないかという説が有力)

 

生誕教会のランプ

            いろんな型のランプがある / 正面がギリシャ正教会の祭壇だよ

 

でも、とにかく、そういうことにしようということで、0年の12月25日に、このベツレヘムで生まれたことになっている(イエスの誕生日に関して聖書には記述はありません)。

そしてキリスト教では、イエスが生まれた年を紀元として、そこから1年、2年、と時間が経っていると考えてる。だからちょっとおおげさに言うと、これから行く「聖誕教会=イエスが生まれた場所」は、まさにそこから「紀元」が始まった場所なんだ。

 

ギリシャ正教会の祭壇

                 ギリシャ正教会の祭壇。キャンドルがきれいだね

 

そこまで話した時、バスは坂道の入り口で停車した。ここから徒歩で聖誕教会へ向かうらしい。バスを降りて緑の木陰が続く石畳の坂道を登ると、大きな広場に出た。聖誕教会前のメンジャー広場だ。クリスマスには大勢の人で埋め尽くされる「有名」な広場。

ヨセフとマリアがベツレヘムにたどり着いた時、彼らは宿を見つけることが出来きなかった。それでイエスは馬小屋として使われていた洞窟で生まれた。

その洞窟の上に建てられた教会が、今、目の前に見える聖誕教会だ。

では、教会の中へ入ってみよう。

 

アルメニア教会の祭壇

             アルメニア教会の祭壇。イエスが生まれた場所の先にある

 

入り口は、大きな教会から見ると恥ずかしいくらい不釣り合いに「狭い」

この入り口は「謙虚の扉」と呼ばれている。

頭をぶつけないよう、中腰になってゆっくり入ると、大理石の太い柱が並ぶ聖堂に出た。謙虚の扉と比較すると傲慢なくらい広い。

床の下にはローマ時代に作られたモザイク画の床が見えている。

 

イエスが生まれた場所

  いよいよイエスが生まれた洞窟へ下りて行く / うわぁ~~!!すごい人 / この祭壇の下がイエスが生まれた場所だよ

 

正面の祭壇はギリシャ正教会が管理しており、その横の階段を降りると、イエスが生まれた洞窟/Grotto of the Nativity がある。

今は教会の内部にあるので、洞窟といよりは地下室と言った感じだ。そこにビロードで覆われた小さな祭壇があり、大勢の人が順番にその下の潜り込んでいる。また、あれかな?聖墳墓教会で見た十字架が立ってた跡の穴みたいなやつ。わたしたちも並んで、順番になったので、祭壇の下にひざまづいて、潜り込んでみる。

おお~~!星だ!

祭壇の下の白い大理石の床には、14の銀の星が印されている。そして「ここで聖母マリアがイエスを生んだ」という碑文がある。

東方の3博士が、星に導かれてベツレヘムにやって来た、その星をかたどったものとされる。

まさにベツレヘムスター!

 

   もうすぐボクたちの番、ドキドキするよ~ / ここがイエスが生まれた場所だ☆ / 祭壇の下に潜るこどもたち

 

その、紀元が始まった場所に、手をかざしてみる。

いったいこの2000年の間に、どれだけの人の営みがあったのだろうか?

どれだけの、涙が流され、失意のどん底に叩き込まれ、夢や希望が語られ、笑顔が輝き、大いなる愛につつまれたのだろうか?

わたしたちは、なぜ、この星に生まれ、この時間を生きているのだろうか?

すべてがただの偶然だとしたら、この時この瞬間、キミにふれ、キミと話せることは、いったいどれくらいのキセキなんだろう。

キャンドルの炎すらかすかに揺らす、ささやかな風に振り向くと、わたしたちのこどもが、新緑の若葉のような輝く笑顔で立っていた。