世界でここにしか生えていない三角ヤシが群生する峠を越えて
ベレンティーは近くて遠い
目指すベレンティー保護区はフォールドーファンから西へおよそ88kmのところにある。それなのに車で3時間以上かかるというのは、やはり、この先道路の状況が悪くなるということか。
案の定、市街地を抜けると、路面はそこらじゅに雷が落ちたみたいに穴ぼこだらけになった。モロンダバと同じように車は上に下に大きく揺れながら進む。橋なんていまにも落っこちそうなんですけど。まあ、ゆっくり、いや、慎重に行きましょうぜ。
世界でここでしか見られない三角ヤシの群生 / 葉が三方に広がっているのがわかりますか?
三角ヤシの群生
このルートの車での移動には楽しみがある。
フォールドーファンからベレンティーへは、たった88kmの距離だが、劇的な気候の変化を目にすることができるのだ。貿易風の影響で比較的高温多湿なフォールドーファンから、西へ進むにつれほとんど雨の降らない半砂漠地帯になる。気候に合わせて熱帯雨林が砂漠に変わっていく様を車の窓から眺めることができるのは、子供にとっても大人にとってもすごく興味深い体験だ。
湿気の多い地帯と乾燥地帯のちょうど境目の峠に、世界でここにしか生えていない三角ヤシの群生が山肌を覆っているのを見ることができる。1部は道路のすぐ脇にも生えており、至近距離で観察できる。よく見ると確かに葉がきちんと三方に広がっているぞ。おもしれぇ~~。このような特殊な環境で進化した貴重な植物をこんなまじかで見れるのも、このルートの楽しみのひとつだ。
しだいに乾燥地帯になってくる / トゲの木、アルオウディアプロケラ / こんな半砂漠で雨!道路は穴だらけ
サザンクロスジャパン協会
乾燥地帯を進むにつれ、だんだん緑は少なくなり枝や幹がトゲでいっぱいの植物が現れ始めた。荒涼とした大地にトゲの木が広がる様子は、この地球ではなくどこか別の惑星を走っているような錯覚を覚える。
さらに進むとバオバブの木の下に小さな集落が見えてきた。集落の入り口に売店がある。こんな場所でどうして?と思ったら、「ボランティアサザンクロスジャパン協会」とい日本の民間団体のものらしい。自然林の復元を目的としてこの地で活動をしているボランティア団体で、廃材から旅行者むけに民芸品を作って売るなど、地元住民の生活向上にも知恵を絞っているらしい。
激しいスコールの中
やがて道路の両側にサイザルのプランテーションが広がってきた。そのうち空が真っ暗になりこの世のものとは思えないほど大量の雨が降り始めた。こんな砂漠地帯でこんな大雨に見舞われるなんて!オイ、この中に誰か雨男いる?
どこまでも広がるサイザル畑を抜け、赤い大地が沼のように水びたしになるスコールの中、わたしたちは今日の目的地ベレンティー保護区に到着した。
ひゃぁ~~あの橋わたるんですかーー! 半分崩れてるじゃん / 大雨の中ベレンティーロッジに到着