日本人で初めてグランピングを体験した家族が宿泊したキャンプ場〜アフリカ・セレゲンゲティ

2019年1月27日

アフリカで泊まったグランピングリゾート。

ジャンボ〜!下は6歳(年長)から、上は昨日から12歳(小6)になった6人の子どもを連れて、猛獣が闊歩するアフリカのサバンナでキャンプ旅行。

旅行6日目、ンゴロンゴロからサファリカーの長距離ドライブでつにセレンゲティのキャンプリゾートに到着しました。当時はまだよくわからなかったのですが、我が家とアヒルファミリーはこのキャンプ施設に宿泊したことで、大変名誉ある記録保持者になったのです。ふっふっふ。

世界初のグランピングリゾート

私たちがアフリカ・セレンゲティで宿泊した「エクシクルーシブモバイルキャンプ」は、2020年3月現在「Kenzan Mara Tented Camp」に名前が変わっています。*グーグルマップの表示は「Kenzan Luxury Mobile Camp – Ndutu」。

このキャンプ施設は今でいう「グランピング」の思想で運営されている自然体験リゾートです。

グランピングとは、グラマラス(魅惑的な)とキャンピングを掛け合わせた造語で、テント設営・撤収や食事の準備、資材運搬などの煩わしさから旅行者を解放した「良い所取り自然体験」ができるリゾート施設、あるいは旅行体験です。最近はさらに言葉の意味が変化して「ラグジュアリーなキャンプ」を指す傾向にあります。

私たちがアフリカ旅行をした2006年12月ー2007年1月には、まだグランピングという言葉はありませんでしたから、このセレンゲティのキャンプリゾートは、世界のツーリズムトレンドの最先端にあったリゾートだったと思います。そしてホテルのスタッフから(現地でも予約手配するときも)「私たちが最初に訪れた日本人」と言われましたから、まさに私たちは

 

グランピングを初めて体験した日本人

 

である可能性が極めて高いと思います。

あの時期にそのような体験が、しかもアフリカの大自然の中で子供たちと出来たことに心から感謝します。

*現在このグランピングキャンプリゾートを運営しているのは「Kenzanワイルドライフサファリ」という会社で、セレンゲティで3箇所のラグジュアリーキャンプ施設を運営しています。

以下、この項では旧名の「エクシクルーシブモバイルキャンプ」を使用します。当時は「グランピング」という言葉がなかったため、私たちが宿泊したキャンプ施設の説明をするのにとても苦労しました。うまく説明できても内容を理解、あるいはイメージしてもらえないことがほとんど。

海外旅行も時代とともに進化して、本当に便利な世の中になったと思います。

アフリカで子連れキャンプ滞在

以前、何かの本だったか雑誌だったかで、アフリカでキャンプをした人の体験談を読んだことがある。夜テントで寝ていると、すぐ近くをゾウの群れが行進して、地面がどっしどっし揺れて眠れなかったとか、何かケモノの雄叫びが真っ暗なジャングルに響いていたとか、日本の日常生活ではあり得ないような強烈な体験だったらしい。

それ以来、もしアフリカへ行く機会があったらわたしもキャンプをしたい、

となんとなく思っていた。(なんとなくかい!)

アフリカで子連れキャンプ体験

キャンプ体験タイプ1

で、積年の夢がかないアフリカへ行くことになった今回、いろいろ調べた結果、

ケニア、タンザニアで「キャンプ」体験ができる宿泊方法は

どうやら3つあるようだ。

ひとつは、文字通り本当のキャンプ。

国立公園や自然保護区内にはキャンプサイトがあるので、そこでテントを張ってキャンプ生活をする。

タンザニアなら、アルーシャ発着で、ンゴロンゴロ、セレゲンティなどをキャンプをしながらまわるツアーがある(ケニアにもナイロビ発着で、マサイマラやナクル湖などをまわる同様のツアーがある)。

移動はサファリカー。

それに参加すれば、日本からテントだの寝袋だのかさばるキャンプ用具を

持って行く必要はない

この手のキャンプツアーはさらに2タイプに分けられ、

ひとつはテント張りや撤収作業などは参加者が自らおこなうもの。

日本の旅行会社が企画するキャンプツアーでは、このタイプがなぜか主流だ。

日本人には自分でテントを張らないと気がすまない人が多いのだろうか?

もうひとつは、テント張りや撤収など、すべての作業を同行するスタッフがやってくれるもの。

コックさんも同行するので食事の心配もいらない。

不思議なことに、料金はこちらの殿様キャンプのほうが格段に安いこれなら子連れでも参加できそうだと、何社か現地のツアー会社にメールで問い合わせしてみた。

結果はいずれも子供の参加OK!

しかもわれわれは人数が多いので、完全オーダーメイドで、好きなようにアレンジできるとのこと。それでさっそくモデルプランを練ってみる。アルーシャを出発して、ンゴロンゴロで2泊、セレンゲティで3泊、マニヤラ湖で1泊、最後にマニヤラ湖付近の村で、マサイマーケットや地元の農家、小学校を訪れるカルチャー体験までつけて、料金も驚異的な安さ!

しかも、年末年始で希望のロッジが取れるかわからない状態なのに、キャンプならその心配も無用。わたしが最終的にしぼりこんだ旅行会社は本社がロンドンで、アルーシャから同行するスタッフにもイギリス人が入る。これは何かと心強い。

さっそくママたちに提案してみた。

が、女性陣の反応はこりゃまいまひとつ

どのキャンプ場にもトイレはあるのだが、

旅程の真ん中、セレンゲティの3泊はシャワーがない

3日間もシャワーを浴びれないのは耐えられないと言う。

それに、もしこどもが発熱とか食あたりになった時

1週間もテント生活だときついのでは?

とくにリュウはまだ幼稚園児だし。

セレンゲティのキャンプサイトでくつろぐ子供達

サバンナを眺める特等席

キャンプ体験タイプ2

というわけで、せっかくまとまりかけていたのだが、このプランは却下。

で、キャンプ体験2つめは「テントロッジ」

レストランやラウンジ、バー、プールなどの施設があり、客室だけテントになっているタイプだ。

客室がテントと言っても、通常、壁と天井だけがテントで、床や土台はしっかりしたコンクリートでできており、室内には絨毯がひかれている。部屋も広く、ベッドにドレッサー、トイレ、シャワー、パウダールームが備わっていて、通常のロッジの部屋とかわならい。

つまり大自然の中でなるべくワイルドな体験がしたい、

だけどベッドじゃなきゃ眠れない、

トイレ、シャワーもきれいじゃなきゃーいや、

というワガママな文明人のために作られた宿泊施設で、

東アフリカではこういうテントロッジは、

一般的に通常のロッジより格上

その分お値段のほうもそれなりの覚悟をしなければならない。

セレンゲティにもこのような豪華テントロッジがあり、いくつかあたってみた。

まずセレンゲティ最高級の「キラウィラキャンプ」は子供の宿泊が不可。

「ミグレーションキャンプ」は公園内の北の端、マサイマラとの境界付近にあり、12月だと動物が少ないかもしれないとのこと。(小雨季の12月は、ヌーの大移動に伴って多くの肉食獣たちも、セレンゲティの南部やさらに南のンゴロンゴロに集まっている)

セレンゲティはとても広いので(四国と同じくらいの面積)、この時期に動物が集結している南端から、ミグレーションキャンプまで車で5時間近くかかるのだ。

そんなこんなでテントロッジももうひとついいものがない(ケニア・マサイマラでは「イルモランキャンプ」「オロナナ」「キチュワテンボバテルゥキャンプ」「ガバナーズ」などの豪華テントロッジがある。宿泊施設のチョイスはケニアのほうが豊富)

テントの中からの眺め。ベッドに横になってもサバンナが見渡せる。

ベッドに寝転がってみる景色。ンドゥトゥ湖もちょっと見える

キャンプ体験タイプ3

仕方ない、アフリカで子連れキャンプの夢はあきらめよう、

と思っていたある日、

マックスサファリの森田さんから連絡があった。

子供でも泊まれるキャンプロッジを見つけたと言う。

しかも豪華なキャンプなので、

奥様方にも受け入れていただけるのではないでしょうか、とのこと。

早速、送られてきたファイルを見ると、これはナイス!いけそうデス。すごいの見つけてくれました。それが「エクスクルーシブモバイルキャンプ」。キャンプ体験3つめのカテゴリーに分類される新タイプのキャンプロッジだ。(のちに世の中に広まるグランピングリゾート)

ちなみにこのエクスクルーシブモバイルキャンプは、現在のところセレンゲティでは最も「高級」な宿泊施設とのこと。

テント内のベッドやソファーの写真

エクスクルーシブモバイルキャンプのテント内

エクスクルーシブモバイルキャンプ

「エクスクルーシブモバイルキャンプ」はその名のとおり「移動する」キャンプだ。

前述したキャンプ体験タイプ2の「テントロッジ」は、豪華さとワイルドさの両方をいっぺんに体験できる理想の宿泊施設なのだけど、ひとつだけ難点があるとすれば、場所を移動できないこと。

広大なセレンゲティでは季節によって動物たちの居場所が異なるので、いいロッジに泊まっても動物が少ないなんてことになりかねない。たくさん動物が集まってる場所まで移動するのに数時間かかる場合もある。その難点を克服する目的で誕生したのが、この「モバイル」形式のキャンプだ。

われわれが宿泊したエクスクルーシブモバイルキャンプ(EMC)は野生動物の大移動にあわせて、

およそ年に4回

その設置場所をかえる。

いずれもセレンゲティの国立公園内で、われわれが訪れた年末年始の時期は、公園の南端、つまりこの時期最も多くの野生動物が集まる、あるいは移動する、ンドゥトゥ湖畔に居をかまえている。

残念なことにこの年はエルニーニョの影響で、例年に比べるとものすごく動物が少ないとのこと。いつもならキャンプの敷地内でもヌーやらシマウマやらキリンやらが、

うようよしているらしい。

ちなにに新しいこのモバイルキャンプに対して、

従来からある固定式のテントロッジを「パーマネントキャンプ」と呼ぶ。

グランピングサイトの周囲でサッカーをして遊ぶ子供たち

こどもは毎日走ってます/ロッジから見えるンドゥトゥ湖

テントロッジの概要

EMCでは、ひとつのテントにクィーンサイズのベッドが3台まで入る。マットもリネンもいい素材のものを使用しておりとても気持ちがいい。水洗トイレ、シャワー、小さな洗面所もテント内にあるので、通常のロッジとかわらない。ただし壁や天井は布のテント。ジャングルのBGMがもろに降り注いでくる。夜なんてライオンが吼える声がすぐ近くで聞こえたり、サルがテントの上を走り回っていたり。

ワイルドさを体験出来る点では、普通のテントキャンプに近い。シャワーのお湯は、毎回たき火をして沸かすので、使えるまで時間がかかるのと、1回に使用できるお湯の量が限られている。まあこのあたり、お金を払ってあえて不便さを体験する、という主旨で考えるなら、こどもたちにとっても「旅育」という観点から貴重な経験といえるだろう。

食事は専用のテントでいただく。朝はビュッフェで、昼と夜はコース。飲み物はミネラルウォーターでも、オレンジジュースでも、ビールでもワインでもシャンパンでもすべて飲み放題。あらかじめ料金に含まれている。室内では電気はつくが、キャンプの敷地内は暗くなるとランタンで灯りをともす。暗くなったら勝手にテントの外へ出られない。かならずスタッフを呼んでいっしょに行動する。

まあ、昼間でも自分のテントから離れてぶらぶら歩き回るのはかなり危険。1度、テントのすぐそばでチーターの親子がくつろいでいるのを見た。その夜ゲストの1人がいなくなっていた!(ウソ)。

スマホやデジカメやビデオの充電はスタッフに頼んでおくとやってくれる。このあたりの標高は1600メートル。朝夕はかなり冷えるので、蚊はまったくいませんでした。

キャンプサイトの夕食の様子キャンプ場のレストランでの夕食の様子

キャンドルの灯りで夕食をいただく。各国から集まったゲストとの会話がはずむ。BGMはライオンの遠ぼえ

それではまた世界のどこかでお会いしましょう、笑顔あふれる良いご旅行を!

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