イタリア最高所の県庁所在地エンナ
アウトストラーダの分岐点
パレルモからシチリア島内陸部を南下してきたA19号は、島のほぼ中央で、アグリジェント方面へむかう西行きと、カターニア方面へ向かう東行きに分岐する。わたしたちの今夜の宿泊地はアグリジェント。本来ならここから西行きに乗らなければいけないのだが、ちょっと寄り道してエンナに行くことにした。それ~!
ロンバルディア城/エマヌエーレ広場からの眺め/山の頂上にあるエンナの町
エンナ
アウトストラーダの分岐点を東に折れて、さらに車を走らせる。車の外は乾燥した岩山がどこまでも続く荒涼とした世界。高速道路は、焼けつくようなシチリアの真夏の太陽の下、光と影のコントラストをあざやかに浮かびあがらせながら、まっすぐに伸びていた。
しばらく走ったところで、前方のひときは高い岩山の上に町が見えてきた。エンナだ。町の建物や城壁も、このあたりで産出される石や土でつくらてているため、まるで岩山と町が一体となって、巨大な遺跡のように見える。
「あんな高いところまで登って行くの?」
岩山の壁にへばりつくように、九十九折りの道が山の頂上まで続いている。
「ひゃ~すごい!でも、あそかからの眺めは、きっと絶景だろうな」
エマヌエーレ広場/サッカーゲームで遊ぶカイ
イタリア最高所の県庁所在地
エンナは標高948メートルの山の頂きにある、城壁に囲まれた古い街。海に面していないエンナ県の県庁所在都市だ。シチリアと言えば一にも二にもコバルトブルーの海を連想するが、海に面していない県があるなんてちょっと以外。エンナはまたイタリアの県庁所在都市として最高所にある町として知られている。
町の中心、エマヌエーレ広場や、ロンバルディア城のピサの塔から眺める景色は圧巻だ。シチリア内陸部の砂漠のような大地が、地平線の彼方まで広がっている。エンナの人々は、もう何百年も前からこの雄大な景色を眺めてきたのだろう。
シチリア島のまんなか、天空にそびえるエンナ。時が止まった孤高の町で、色鮮やかなブーゲンビリアの花が、風に揺れていた。
隣の山にあるカラシベッタの町/ドゥオーモ