ナポリからシチリアへ夜行フェリーで行くメリット、料金、予約方法、路線、客室など
シチリア島へ行く夜行フェリーが見えたきた
空港からのバスがナポリの海岸通りにさしかかると、いよいよ左手にビルのように巨大な客船が見えてきた。
「あっ、あれかなー」
「あれだあれだ、SNAVって書いてある」
ヌオーヴォ城正面のムニチーピオ広場でバスを降りて、港のほう引き返す。焼け付くような南イタリアの日差しも、午後の遅いこの時間にはずいぶんやわらいでいて、それにナポリ湾から流れてくる心地よい海風が、わたしたちの足取りをいっそう軽やかにしていた。
ここでナポリとシチリア島を結ぶフェリーについてお話しておこう。
ナポリ~シチリアフェリー
ナポリとシチリア島間には「Tirrenia」と「SNAV」の2社が毎日夜行フェリーを運行している。2社の違いはナポリ港を出航する時間で、SANVが夜8時、Tirreniaが8時45分。
もうひとつの違いは、翌朝パレルモ港に到着する場所。Tirrenia社のフェリーはパレルモ・マリッティマ駅のすぐ横に接岸する。駅ビルの中にはカフェやちょっとしたショップ、トイレ、荷物一時預かり所などがあって早朝の到着でも大変便利。一方SNAV社のフェリーは、そのとなりの殺風景な埠頭に接岸する。ここから駅まで歩いて行けないこともないが、スーツケースを引きずりながらこどもを連れて行くには至難のワザ。
わたしたちは、フェリーを降りたところにたった1台だけ待機していたタクシーで駅まで移動したが、なんと10ユーロもとられてしまった。フェリーを降りてすぐホテルに直行する人なら、どこの埠頭に接岸しようがたいした問題ではないが、わたしたちのように、レンタカーオフィスが開くまで荷物を預ける必要がある場合など、この差はとても大きいと思う。
料金的には両社はほとんど差がないが、HPの写真を見る限りではTirreniaのほうが客室が少し広い。
本当にこんなとこにオフィスがあるの~/あった、あった、ここだ/なんだか刑務所の面会室みたい
フェリーの路線とエオリア諸島行き計画
ナポリとシチリアを結ぶフェリーの路線は、パレルモ行きとエオリア諸島行きの2路線。もともとわたしが立てた計画は次のようなものだった。
夜ナポリを出航するフェリーで、イタリア唯一の世界自然遺に登録されている、エオリア諸島のストロンボリ島に行く。その日ストロンボリで1泊しエオリア諸島観光。その翌日高速艇でシチリアのミラッツォに渡り(所要時間約1時間)そこからレンタカーを借りて移動する、というもの。
ところがいざ予約しようとしてわかったのだが、夏の間はエオリア諸島のホテルは、どこも最低1週間からというきびしい条件が付いていた。う~ん、さすがにこれは無理。ということでエオリア行きをあきらめ、パレルモに予定変更したという経緯だ。
この階段でフェリーの入り口まで登るんだよ
子連れ夜行フェリー乗船のメリット、デメリット
わたしたちがスイスから飛行機でナポリに到着したのは午後5時。約1時間の待ち合わせで、そのままパレルモ行きの飛行機に乗り継ぐことも可能だった。そうするとその日のうちにパレルモに到着できて体も楽だ。
ただその方法では、
ナポリーパレルモ間4人分の飛行機代+パレルモのホテル代が1泊分必要になる。
寝ながら移動する夜行フェリーでは、交通費と宿泊費をいっぺんに払っているかたちなので、トータルの料金が格段に安くなるというメリットがある。わたしたちのケースでは飛行機+ホテルプランに比べて3分の1以下だった。
そしてフェリーがシチリア島のパレルモ港に到着する時刻は朝の6時半。ホテルに泊まってしまうと、こんな朝早くからは始動できないので、フェリーのほうが時間も有効に使える。
フェリーの入り口でチケットを見せる
予約の仕方
通常の時期なら、当日ナポリで予約してもまず問題ないだろう。ナポリ港に面した海岸通りには、フェリーのチケットを発券する旅行代理店が並んでおり、直接出向いてチケットを購入することができる。しかしわたしたちが乗船した日は、日本でいうお盆の帰省ラッシュのピークみたいな日だったので、当日チケットが買える可能性はほとんどない。そこで日本からチケット購入しようとこころみた。
まず日本国内の「イタリアならなんでもおまかせ系」の旅行代理店をあたってみる。しかし、どこもフェリーの発券は出来ないとの回答。1社だけ「出来る」とのことだったが、チケットを日本へ送る費用+発券手数料が、3万円もかかるという。
ひぇ~~。それなら自分で直接予約しようとTirrenia社のホームページをチェック。ところがオンラインでは予約出来そうにない。で、コールセンターの番号が載っていたので、イタリアへ直接電話してみる。が、英語を話せる人がいないんじゃん!!なんだよ~チクショー電話代返してプリーズ!
SNAV社のホームページもチェック。こちらはオンラインで予約できるようだ。これで何とかなるかな、と思いながら画面上で手続きをすすめて行く。ページごとに日時や人数を、そりゃー丁寧に入力していく。そしていよいよ料金が提示されて、OK!ところが最後の確認ページが全部イタリア語。
が~ん!読めません。
どないなっとるねん、これ。もうにっちもさっちもいかなくて、フェリーで移動大作戦をあきらめようかと思った矢先、偶然「A Ferry to Booking」というサイトを見つけた。
どうらやヨーロッパのほとんどのフェリーを、オンラインで予約できるサイトのようだ。しかも英語。すごい!助かった!これでサクサク予約できるぞ。ただひとつだけ困ったのは、わたしたちのように車なしでフェリーに乗船する人を何と言うのか?ということ。答えは「Foot Passengers」。いや、普通こんなの知らんでしょう。
でもこの言葉を入力しないと、車付きで乗船するとみなされて、高い料金が提示されるのでとても重要だ。オンラインで予約する人は是非覚えておこう。
さて予約手続きはこれで終りだが、ここでまたひとつ問題が発生した。正式なバウチャーがもらえないのだ。かわりに、予約が終了した画面をプリントアウトして、当日フェリー会社の事務所を持っていけ、とある。
ええ~、ほんとにこんな紙っぴれで大丈夫なの?しかもイタリアで。とてつもなく不安になる。
*現在は日本語サイトもあります。
公式サイト(日本語):https://www.aferry.jp
フェリーのレセプション。まるでホテルみたい!/船内にはこんなキッズルームもある
乗船チケットに交換
スタッフに尋ねたら、港のターミナルビルの中にSNAV社のオフィスがあるので、そこでその紙っぴれを正式なチケットと交換するんだって。あれーやっぱり紙っぴれなのねーこれ。
ひとけのない、廃屋のようなビルの南側の奥まったところにオフィスがあった。なんだかものすごく怪しげな雰囲気。ホントにここがSNAV社のオフィスなのー?中は照明も暗く、刑務所の面会室のような感じ。数人の女性スタッフが不機嫌な顔で座っている。イタリア人が大好きな夏のバカンスの最盛期に仕事なんかしてる、それも他人のバカンスの手伝いなんか!もうばからしくてやってられないという顔だ。
ちょっとハラハラしましたが、不機嫌顔の女性スタッフ、というかおばさんは紙っぴれを正式なチケットに換えてくれて、おお!ついに、これで本当にあのフェリーに乗れるんだ、あれに乗ってシチリアへ行けるんだ!としみじみ感慨にふけるわたしだった。
フェリーの船内、室内の様子
フェリーの船内、室内の様子
フェリーといってもこれだけ大きいとビルのようだ。客室への入り口は5階部分にあり、そこへは岸壁に設置されている非難ばしごのような階段で登って行く。階段を登ると待機していた別のスタッフが、船の中をエレベーター乗場まで案内してくれた。というか、ええ~、船の中にエレベーター!?エレベーターで6階に上ってまたびっくり。まるで豪華ホテルのようなレセプションがあるじゃあありませんか!!
「なんかすごくない?」
ママもこどもたちも興奮モードに入ってきた。レセプションで部屋のキーを渡され、わたしたちの部屋は7階だったので、またエレベーターで上る。そしてはい、ここがわたしたちの部屋です。722号室、さあ開けるよ~、どんな部屋だろう、ドキドキ。じゃ~ん!おお~、これはいい!部屋には2段ベッドが2台、洗面所やシャワー、トイレもあり、窓の外には夕暮れのナポリ湾の絶景!
「やったー!」
「すげー!」
カイもリュウも大はしゃぎだ。室内は決して広くないけど、この、まるでキャンピングカーみたいな雰囲気がいい。しかも海の上。
この部屋で家族で寝て、明日の朝目覚めたらシチリア島だなんて、も~これだけでこの旅行十分です!っちゅーくらい感激したわたしたちだった。
さあ、ちょっと休憩したら船内の探検に出掛けようか!
屋外デッキからの眺め / アッパーデッキへ行ってみよう / ここはレストランかな?
仕様と設備、料金
キッズルーム、シアター(映画無料、ただしイタリア語なので意味不明)、レストラン、ラウンジ、バーカウンター、トランプルーム、ゲームセンター、屋外デッキ。
客室は大部屋と個室があり、個室は2人部屋と4人部屋がある。個室にはベッド、トイレ、シャワー、洗面所、タオル、アメニティー完備。それから電源のコンセントもあったのでビデオ、デジカメの充電も大丈夫だった。
わたしたちは4人部屋海側キャビンで、料金は4人まとめて252.75ユーロ。
ゴージャスなラウンジ / トランプルーム
公式サイト
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