夜明けのパレルモ港に到着しマリッティマ駅で手荷物を預ける
夜明けの海に浮かぶシチリア島
夜明けのパレルモ港
ぐっすり眠って目覚めたらあっという間に朝になっていた。フェリーは揺れや振動をまったく感じない。これだけ大きいと船酔いの心配もいらないようだ。気になって窓の外を見てみる。空は薄紅色に染まり、そのむこうにくっきりと島影が浮かんでいる。
「おお、シチリア島だ!」
その声にこどもたちも飛び起きてきた。ママはそれでもぐっすり寝てましたが。
急いでデッキに出ると、朝焼けの空の下にシチリアの山や海岸線が、もうはっきり見えてる。朝日を浴びてきらきら光っているのはパレルモの街だ。
ああ、ついに来たんだ、ずっとあこがれてたシチリアに。わたしが感慨にふけっている間にも、パレルモの街と港はどんどん近づいてきて、やがて車や歩いている人の姿もわかるくらいになっていた。
シチリアを見つめる乗客たち
フェリーのチェックアウト〜下船
これだけたくさんの客室があるんだから、船を降りる時はそうとう混雑するだろうと覚悟していた。しかし実際はそうでもなかった。車に乗って下船する人がかなりいるのだろう。きのうわたしたちが飛びついた、あの自動車用の出入り口から。
レセプションでチェックアウトの手続き、と言ってもキーを返すだけだが、をすませ荷物を持ってエレベーターに向かう。
海から眺める早朝のパレルモの町
何もない!
降りる前に階段の上からフェリーが到着した埠頭を見渡したが、カフェはおろか、待合室も手荷物預かり所のような所もない。どうやらここはコンテナ埠頭のようだ。時計を見るとまだ7時前。レンタカーのオフィスが開くのは午前10時だから、それまでどこかで荷物を預ける場所を探さなきゃ。
その時、フェリーの横、階段の降り口の少し先に1台のタクシーが止まっているのが見えた。
ラッキー!あれに乗ってとりあえず荷物を預けれる所まで連れていってもらおう。
フェリーのスタッフにお別れのあいさつ/殺風景な埠頭に降り立つ/タクシーでマリッティマ駅へ移動
パレルモ・マリッティマ駅
「チャオー!」
「グラッチェ!」
フェリーのスタッフに別れを告げて階段を降りる。ほんの一晩だったけどとても印象に残る船旅だった。ナポリからパレルモまでティレニア海を船で移動するなんて、料金のわりにはリッチなクルーズ気分にひたれるお得な交通手段だ。埠頭に降りて、さっき見たタクシーの運転手さんに聞いたら、手荷物を預けれる場所は駅にあるという。じゃあそこまでお願いします、ということでみんなで乗り込んだ。
わたしたちを乗せたタクシーは、埠頭の付け根まで走り、そのまま港を出て市街地にむかうのかと思いきや、隣の埠頭のほうへ向って走る。あれれ、どこ行くのー?駅というのでわたしはてっきりパレルモ中央駅かと思っていたのだが、連れてこられたのは、パレルモ港にあるマリッティマ駅だった。
まあ、たしかにここも駅には違いありませんが。それに運転手さんは知るよしもないだろけど、レンタカーのオフィスは港の近くにあるので、中央駅に行くよりはこっちのほうが便利だ。
マリッティマ駅の売店 / 手荷物預かり所 / マリッティマ駅とティレニア社のフェリー
パレルモ港の手荷物一時預かり所
パレルモ港の一番南の埠頭にあるマリッティマ駅は、建物自体は立派な駅だ。駅ビルの中にはカフェやキオスクみたいな売店もあって、もうこの時間でも営業している。手荷物預かり所は駅からいったん外に出た、建物の南の側面にある。英語の看板もかかっているのでわかりやすい。
埠頭にに大きな船が停泊しているので何だろうと思って見上げると、Tirrenia社のフェリーだった。ああ、こっちのフェリーに乗ってれば、タクシーで移動しなくても、フェリーを降りたらすぐ目の前がマリッティマ駅なんだ。
荷物を預ける料金は1個につき2ユーロ。おじさんがしきりに何か聞いてる。しかしイタリア語なのでちんぷんかんぷん。
「何時に荷物を取りに戻ってくるか聞いてるんじゃない?」
「そうかー、でもイタリア語で時間をどうやって説明するんだよ」
とっさにママが紙に時計の絵を書き始めた。ああ、そりゃーナイスプレー!ママ。時計の針を書きこんだらおじさんにもわかったようだ。
こうして荷物を預けて身軽になったわたしたちは、駅を背に意気揚々とパレルモの街を目指して歩き始めた。