ピレウス港で乗船手続をきしていよいよブルーモナーク号の出港です

2019年2月21日

「あそこに人が並んでるよ」

タクシーを先に降りたカイが、建物の横にできた人の列を見つける。

どうやらスーツケースなどの大きな荷物を預けているようだ。

こどもたちに続いてタクシーを降りると、虫めがねで増幅したような真夏のギリシャの日差しが、

容赦なく頭上から降り注ぐ。

うう、めまいがしそう~~。

ピレウス港からクルーズ船に乗船

ピレウス港から出港!

ママがタクシーの支払いをしている間に、トランクからスーツケースを取り出し列に並ぶ。バウチャーを見せてスーツケースを預ければ、クルーが客室へ運んでくれるみたいだ。おお~~これは楽でいいぞ。

「それにしても地下鉄で来なくてよかったね~~」

クルーズ船のターミナル

                     乗船手続きをするターミナルビル

アテネプラザホテル前のシンタグマ広場から、地下鉄に乗ってこのピレウス港まで来ることができる。しかしピレウス港はヨーロッパ有数の巨大港。重い荷物を引きながら自分たちの船を探すのは至難のワザだ。それにわたちたちが乗船するブルーモナーク号が停泊している埠頭は、ピレウスの地下鉄の駅からこりゃまたとんでもなく離れた場所にあった。

最初、地下鉄ならお金も安いし渋滞がないので時間も読みやすい、早めに行ってむこうでゆっくり乗船場所を探せばいいか、なんて思っていたのだが、これは恥ずかしいくらい無謀な考えだということが、階段でつまずいてスネを思いっきり打ったくらい痛くわかった。というか、タクシー代ケチらなくてよかった~~!

エーゲ海をクルーズする船は、日数の長短にかかわらずほぼすべてこのピレウス港から出港する。ピレウス港はとても広いので、みなさんがもしピレウス港から船に乗る時は、事前に埠頭がある場所と行き方(地下鉄駅からの距離)を確認することをおすすめします。

さて荷物物を預け終わったら、クルーズターミナルの正面玄関にまわり建物の中へ入ろう。この建物は今の時間、ブルーモナーク号の乗船手続き専用に使用されているようだ。

ブルーモナークの外観

 パスポートを預けてかわりにクルーズIDをもらう / 手荷物検査が終わったらいよいよ乗船だよ / ブルーモナーク号だ!!

クルーズ船の乗船手続き

「ようこそブルーモナークへ!」

ターミナルビルに入ると冷房がキンと効いて気持ちいい。建物の内部は天上の高い空間で、まるで映画のロケに使われそうないい雰囲気だ。

きょろきょろしていると「冷たいお飲物はいかがですか?」と笑顔のスタッフが近づいてきた。

これはありがたい!オレンジジュースをもらい一気にのどに流し込む。

ふ~~生き返るぜ。

なんと言っても1ユーロ190円近いユーロ高のおり、うかつに水なんか買おうもんなら目ん玉が飛び出すほど高い金額になってしまうので、水分補給もままならずにいた。それがこのターミナルに入った瞬間、も~ヤメて下さいっちゅ~ほど水でもジュースでも飲めちゃうのは本当に助かる。

もうこのことだけでブルーモナーク、合格です!

どうやら今は乗船手続きのピークらしく、かなりの人が並んでいたが、その間何杯でも水やジュースが飲めるので、ぜんぜんオッケー!並んでいる間に、陽気なクルーたちが気軽に話しかけてくるけど「韓国人?」「中国人?」という質問が多かった。このクルーズは料金が安いのと、日本ではあまり知られていないため日本人の乗客はめったにいないらしい。

さて自分たちの順番になって、カウンターでバウチャーを渡す。それから次のカウンターに進みクルーズIDの写真撮影、さらに次のカウンターでパスポートを渡し、代わりにできたての写真付きクルーズIDをもらう。そして最後に手荷物検査をしてターミナルの玄関とは反対、海側のドアを出ると、正面にどか~~んとクルーズ船が停泊していた。

クルーズIDの写真撮影

「おお~~、いよいよ乗船だねーー」

「オレが先!」「いや、おれだよ、おれが一番」

「どっちもストップ!、写真撮るからちょっとじっとしてなさい!

とママが吠えた。

ブルーモナーク号の入り口の階段

ブルーモナークに乗船

乗船すると入り口で今作ったばかりのクルーズIDをさっそく見せるように言われる。

クルーズIDを機械に通してチェックすれば、何時何分に乗船(あるいは下船)したか履歴がわかるシステムになっているのだ。

「イルカさんですね、ようこそブルーモナーク号へ、ボクたちもこんにちは!」

IDを機械に通したら、わたしたちの名前や部屋番号もわかるらしい。

「イルカさんご家族のお部屋はPの1です。今スタッフがご案内します」

わたしたちの部屋はPの1号室。PはポセドンのP。ブルーモナークはデッキごとに、ポセイドン、ディオニソス、ヴィーナス、アポロ、ヘラ、ジュピターとギリシャ神話の神々たちの名前が付けられている。ポセイドンという名前はいいが、階層からいうと下から2番目。う~ん、もうちょっと上の階がよかったかな、でも申し込みがぎりぎりだったからしょうがない、部屋があっただけよかったとしよう。

レセプションがあるフロアーから1階下に降りた階がポセイドンフロアー。レセプションやメインダイニングが近いのは便利かもしれない。

レセプション

        レセプションで質問をするママ / クルーズIDでチェックイン / スタッフのお出迎え

避難訓練とオリエンテーション

案内されて部屋に着くと、わたしたちの荷物はすでに部屋の中に入れてあった。部屋は思った以上に狭いが、料金のことを考えるとありがたいくらいだ。それにクローゼットが大きいのも子連れには重宝する。さっそく荷解きをしてスーツとかジャケットとかをクローゼットのハンガーに掛ける。

「そういえば避難訓練って何時からだっけ?」

「確か、、4時20分からじゃなかったっけ?」

「あんまり時間がないね。じゃあとりあえず荷解きしたら避難訓練の場所へ行ってみようか」

クルーズ船ではかならず避難訓練に参加しなければならない。たいていは乗船当日におこなわれる。そしてその時クルーズに関してのオリエンテーションもおこなわれる。初めてのクルーズ旅行で、右も左もわからず緊張していたわたしたちだが、避難訓練に続いておこなわれたオリエンテーションでだいたいの勝手がわかった。

まず大切なことは毎日配られる船内新聞をよく読む事。ここにその日のスケジュールや注意事項、レストランの時間やドレスコード、さらにはクルーズを楽しむこつなどが記載されている。船内新聞をしっかり読めば、クルーズ初心者でも、余裕を持って旅行を満喫できるだろう。

それからどこにどんな設備があるのか、行き方や位置関係を把握しておくのも初日の重要な行事だ。ブルーモナーク号は1万トンちょっとの小型クルーズ船。それでも全体の構造を把握するのは大変だ。これが10万トンとか20万トンの大型船だったらどんな感じなんだろう?クルーズが終了する頃になって「ああ、こんな楽しそうなところもあったんだ」と後悔しないように、なるべく早い段階でまず全体像をつかんでおこう。

ディナーの予約

オリエンテーションでは、今日の出港時間は予定通り午後5時だと報告された。それからディナーの時間を確認することと、エクスカーションの説明会が5時半からこのラウンジであると言う。

まずディナーだが、ブルーモナークのディナーは午後7時からと午後9時からの2回制になっている。そしてそれは毎晩変わるのではなく、例えば後半のグループになったらクルーズ中はずっと9時からのディナーになるということ。9時から夕食だとこどどもたちが眠くなってしまうし、そんな遅くまでお腹がもたない。

もし9時からのグループだと言われたら交渉して変更してもらおう。そう考えながら、避難訓練が終わるとメインダイニングへ向かった。受付で確認すると、わたしたちは午後7時からの前半グループだった。あとでわかったのだが、どうやら小学生以下のこどもがいる家族は、みな前半グループになっているようだ。ま、何にしてもよかった~~。

船が動き出した

出港~行ってきまーーす

船の出港時間は午後5時。エクスカーションの説明は5時半からなので、それまでデッキに出て船が港から離れていくところを見ていよう。

デッキに出ると、冷たいシャンパンやジュースが無料でふるまわれている。グラスを受け取り海のほうを眺めると、ブルーモナークはゆっくり岸壁を離れ、港の景色がじょじょに遠ざかってゆく。

ああ、ついにクルーズ旅行が始まるんだ。

楽しい事がいっぱいありますように!

みんな無事に帰って来れますように!

感激と興奮の色を瞳に浮かべながら、ニコッと笑ってママとグラスを軽く鳴らし合った。

夕焼けの出航

               さよなら、陸地