美しきユンガブラ村〜野生のカモノハシ探し
ユンガブラ・ステイトフォレストパークのボードウォーク
美しきユンガブラ村
ケアンズの南西方面、内陸の山中に広がる高原地帯はアサートンテーブルランドと呼ばれている。どこまでも続くなだらかな草原の中に、美しい湖や森が点在する印象派絵画の世界だ。
カモノハシが住むというピーターソンクリークは、そんな森の中、おとぎ話に出て来るような古い民家がポツンポツンと点在する、ユンガブラ村のはずれを静かに流れている。
川のほとりで
川のほとりに腰掛けて、カモノハシが水面に姿を現すのを待つ事にした。
何分くらい待てば、カモノハシに会えるのだろうか?
そもそも本当に今日出て来てくれるのだろうか?
そんな期待と不安が入り混ざった気持ちで、今か今かと息をころして待っている。時々水面がざわめくと「あ~ついに!」と声にならない歓声を挙げて立ち上がるのだが、それが枝の流れだと気付くと一気に落胆とため息に変わる。
そうして時間が立つうちだんだん期待より不安の方が大きくなり、やがて不安や落胆がピークを超えると、今度は不思議な事にそういうい感情さえ消えてなくなる。
そして気が付くと、もう何時間も何もしないで、ただ家族4人ポカーンと並んで座って夕暮れ近い川の水面を見つめていた。
カモノハシ観察所。木組みの壁のすぐ向こうは川。こちらの姿を隠してカモノハシを観察出来る
カモノハシの贈り物
はたして今までの人生でただ川の流れをこれほど長い時間眺めていた事があっただろうか?聞こえてくるのは虫の音と家路を急ぐ鳥の泣き声だけ。
そのぜいたくな時間こそカモノハシからの贈り物だったのかもしれない。。。
川の流れと同じように、ゆっくり夕闇が降りて来てあたりがすっかり暗くなる。
もうこれ以上粘っても暗くて何も見えないから帰ろう、と言うとめったに泣かない長男のカイが涙ぐんだ。カモノハシに会えないのが残念でしょうがないらしい。
「しかたない、自然に生きる動物だから、ペットや動物園とは違うんだ。」
満天の星空
帰り道はユンガブラ村を出発して、約60Km先のゴードンヴェールまで、家が一軒もない暗い山道のドライブだ。
途中、見上げるとすぐ手が届きそうな頭上いっぱいに、満天の星空が瞬いている。
「こんなすごい星空、東京じゃ見れないぞー」
と子供達に話かけたが返事がない。振り返って見ると、後部座席で2人並んですやすや眠ってしまっていた。
ママと目が合いにっこり笑う。
起こさないでおこう。
カノモハシと遊んでる楽しい夢を、きっと見てるに違いない。