リュウが病気になった!ホテルのドクターに部屋に来て診察してもらうも英語が通じず困ったことに
スノーケリングツアーが終わって部屋に戻ってみると、リュウはまだ体調が悪くてベッドで寝ていた。
どんな具合か聞くと、お腹がいたくて吐き気もするらしい。熱もまだある。
わたしの経験から察すると、典型的な食あたりか、あるいは軽い食中毒の症状に似ている。
食中毒か!
わたしはフィリピンとインドネシア、タイでひどい食中毒にかかったことがある。それはちょっと食あたりなんてなまやさしいものではなく、とにかく40度をこえる高熱が出て、体じゅうの関節がバキバキと痛み、強烈な吐き気に襲われ、生きた心地がしない状態だ。それからみると、今のリュウは熱があると行っても38度前後。ひどい食中毒ではないだろう。食中毒の場合、今日食べたものでではなく昨日口にしたものが時間をおいて発症するケースが多いらしい。
「え、昨日何かへんなもの食べたっけ?」
ママと顔を見合わす。
昨日はあれでしょ、バコナロッジ、どれもこれも食事は美味しかったよね。
あそこの食事に食中毒の原因があるとはとても思えない。それに基本的にはみな同じものを食べているから、リュウだけ発症するというのもヘンだ。それとも時間をおいて、これから他のみんなも発症するのかな?
通訳と通して診察をするドクター / いつもの元気がなく寝込むリュウ
原因は?
「リュウは昨日プールで泳いでいる時、水をがばがば飲んでいたよ」
ふいにカイが発言する。
「げっ、お前それ本当?」
「うん」
だめじゃないか、日本のプールとはわけが違うんだから(だからって日本のプールの水も飲めません)。絶対飲んじゃダメだよ。歯磨きさえミネラルウォーターを使う気配りなのに、そんなことやってちゃあぜんぜん意味ないじゃん。
「だいたいなんでお前がいっしょにいて注意しないんだよ」
ママの怒りの矛先がカイにむかう。
「いや、だって昨日、パパもプールにいたよ」
だ~、なんでそこでオレにふるんだよ!
英語が通じない!
ま、今さらそんなこと言い合っててもしょうがない。そういえばレセプションの隣に診療所というか保健室みたいなのがあったから、お医者さんがこのホテルにいるんじゃない。さっそくママがレセプションへ赴く。すると思惑通りお医者さんがいると言う。が、その人英語が話せないらしい。ええ~~、ダメじゃん。でもスタッフにフランス語も英語も流暢に話せるのがいるので、その人に通訳させます、とのこと。
お医者さんのほうは今暇で、いつでもリュウの診察ができるのだが、スタッフのほうがディナーの準備だか、厨房の掃除だかで忙しくてどこにいるのかわからないらし。お医者さんより通訳ね、大事なのは。
部屋で待ってると、やっとそのスタッフを捕まえたということでさっきのドクターがやって来た。
ドクターがリュウのお腹を押しながら、「ここはどんな感じ?痛い?」と聞く。それを通訳がフランス語から英語に訳してママに伝える。それをさらにママが日本語にしてリュウに尋ねる。「そこは痛くない」とリュウ。それを英語にしてスタッフ、それをさらにフランス語にしてドクターに返す。これはまるで伝言ゲームみたいで、ひとつの質問から答えが返ってくるまでえらく過程がめんどくさい。それにどかかで微妙に間違って伝えられてるんじゃないかと疑ったりもしたくなる。
そんな質問~答えのキャッチボールを何回か繰り返し、結局「おそらく食あたりでしょう」とのこと。薬にアレルギーはないかと聞かれ、整腸剤のようなものを処方してもらった。料金はその場ではとくにいくらという話しはなく、気にはなったが、どうせクレッジとカード付帯の保険で請求できるからいいかなと思った。
次の日も、朝からドクターがわれわれの部屋にやって来て診察してくれた。そのかいあって、その日の午後には、なんとか完全に復活したリュウだった。よかったね。