ヴィーナスの生まれた海を眺めるレストランで一休み

2019年2月25日

クリオンの古代遺跡見学が終わったら、バスに戻り、再びパフォスを目指して走り出す。

コバルトブルーに輝く海を左手に見ながら、道は登ったり、下ったり、カーブしたりしながら、西へ西へと続いている。

やがて、高台にあるドライブインの前でバスは止まった。ここでちょっと休憩するらしい。

 

ヴィーナスの生まれた海

   レストラン、ペトラ・トゥ・ロミウからヴィーナスが生まれた海を眺める

 

ヴィーナスの生まれた海

 

う~~ん、確かに紺碧の海を見下ろす素晴らしいロケーションのドライブインだけど、別にまだお腹も減ってないし、早くパフォスへ行ったほうがいいんじゃない。しかも、このドライブインのレストランはツアー料金に含まれていないから、各自で支払ってくれとのこと。

えー、聞いてねーよ、そんな痛い話し。じゃーますますここで休憩する意味ないじゃん。ユーロ高のおり(この時のレートは1ユーロ190円!!)、日本人にとって家族でちょとお茶するだけで、4000円近い涙ちょちょギレの出費になってしまうのだ。

ひとこと言おうと思った時、ガイドのアシュードラが付け足して言った。

「ここから見える海は、ギリシャ神話に登場する愛と美の女神アフロディテ(ヴィーナス)が誕生した場所です」

なにぃ~~!聞いてねーよ、そんなすごい話!って言うか、先に言ってよ、それ。あぶね~、あやうく文句言うところだったじゃないかーー。

ちなみに、アフロディテが生まれたビーチは、ペトラ・トゥ・ロミウ海岸と言う。海に突き出た大きな岩の先の水の色が、ちょっと変化しているが、あのあたりでアフロディテは生まれたらしい。

へ~~。

じゃまあ、そういうことならちょっとぐらい中に入ろうか。

 

ヴィーナス誕生の像

     子ども向けプレイグランドで遊ぶカイとリュウ / プレイグランドの入り口 / ヴィーナス誕生の像

 

駐車場には小さいながら遊具が置かれ、こどもたちも少しの時間ならいい子で遊んでくれる。

「先に中に入ってるよー」

レストランの名前もビーチと同じで「ペトラ・トゥ・ロミウ」。なるほど、建物が海側にせり出しているため、アフロディテが生まれた場所が、も~~恥ずかしいくらいよく見える。

 

キプロスのビーチで遊ぶ子ども達

 

お店に入ると、前の観光バスで来た客でどのテーブルも埋まっていたが、まるで申し合わせたように、わたしたちと入れ替わりで全員がいっせいに席を発った。おかげで、一番窓側の眺めがいい特等席に座ることができた。

おお、ありがたいですね。

ちょうどそのタイミングで、外で遊んでいたカイとリュウが、アタマから水をかぶったみたいに汗まみれで、レストランに入ってきた。

「もー暑くてノドがからから!」

「それじゃあ、ビキビキに冷たいアイスクリームでも食べちゃおうか」

「やった~~!!」

アフロディテが誕生した神秘のビーチを見下ろしながら、冷たくて美味しいアイスクリームをほおばる。開け放たれた窓から流れ込む風が気持ちいい。

 

ヴィーナスが生まれた海

                     ヴィーナスが生まれた海

 

レストランで休憩したあと、今度はそのアフロディテが生まれた、ペトラ・トゥ・ロミウ・ビーチに下りてゆく。こどもたちと、ビーチを散歩したり、岩に登って遊んだり、膝まで海に浸かったりてし、のんびり時間をすごしたのだった。日本からはるか遠く離れたキプロスの海。

ヴィーナスが誕生したビーチの、きらきら水面にきらめく光。

海を渡る朝風に髪をなびかせ、振り向くこどもたちの笑顔がまぶしくて、わたしは目を細めた。

 

    大きな岩の先の海でアフロディテが生まれたと伝えられている