野生のボルネオゾウの大群と遭遇し襲われそうになった体験

2019年4月25日

こちらを警戒して見るボルネオゾウ
我が家が遭遇したボルネオゾウの群れ

💕トゥリマカシッ、イルカパパです。

ボルネオ島へ、2人の子供を連れて(小2、小5)家族旅行に行ってきました。(プーケット旅行にボルネオ旅行を足し算)。今日のブログでは、生息数が激減し絶命危惧種に指定されている、野生のボルネオゾウと奇跡的に遭遇できた時の体験を紹介します。

あなたの子連れボルネオ旅行の参考になれば幸いです。

ボルネオゾウの大きさ

野生のボルネオピグミーエレファントの群
警戒しているボルネオゾウ

大人のボルネオゾウの大きさは5.5〜6.5mで「世界最小のゾウ」と言われています。

顔は小さく角張っていて、尾は地面に着きそうなほど長いのが特徴です。また牙はまっすぐに伸びています。

長い間、18世紀にボルネオへ導入されたゾウであるとの仮説が支持されてきましたが、2003年に行われたDNA検査によって、ボルネオゾウは少なくとも1万8千年という時間をかけてボルネオで独自に進化してきたゾウであることが判明しました。

現在の推定生息数はボルネオ島のインドネシア側(北カリマンタン)で30〜80頭、マレーシア側で1,000〜2,000頭です。

ボルネオゾウが生息する熱帯雨林の森は、伐採やプランテーションへの転換などのために年々急速に減少しいます。またゾウの殺戮や捕獲といった脅威にもさらされており、絶滅危惧種に指定されている希少な生き物です。

あわただしい旅立ち

ダナンバレーのしだ

いよいよダナンバレーとお別れの時がきた。

部屋まで荷物を取りに来てもらって、それからゆっくりゆっくりロビーへ向かう。これでこの素晴らしいロッジともお別れかと思うと、少しでもなごりを惜しんでいたかった。ところが車寄せに着くとスタッフが血相を変えてあせっていた。

「ゾウが出てます!すぐ出発すればまだゾウの群れと遭遇できるかもしれません。急いで下さい」

ええーーなんだってー!わたしたちより一足先にラハダトゥへ向かった送迎車から、途中でボルネオゾウの大群と遭遇したという連絡があったらしい。レインフォレストロッジからラハダトゥの町まで、ほとんどダナンバレーの保護区内を走るので、帰りの道中でも野生動物を見れる可能性は高いのだ。

「えらいっこちゃ、みんなダッシュで車に飛び乗れ!」

最後になごりを惜しんで写真を撮ったり、スタッフたちにお礼を言って、感動的にこのステキなホテルとお別れしたかった。でも何よりも見たかったボルネオゾウの大群がそこにいるとあっちゃ、そんなわがまま言ってられません。

スタッフの話しでは、ホテルから30分くらい行った橋のあたりにゾウの大群がいるらしい。連絡があった送迎車も、ちょうど30分くらい前に出発したと言う。

「じゃあさよなら」「グッドラック!」

あわただしく発進する送迎車。快適だったレインフォレストロッジが後ろに遠ざかってゆく。わたしたちの感傷を振り切るように車はゾウがいるであろう場所を目指して一気にスピードをあげた。

「ゾウに逢えるかな?」

「どっかに移動しちゃうんじゃないかなー?」

「早く!早く!」

大事なものを忘れていた

もーハラハラドキドキが止まらない。「すぐそこ」にあるものが行ってみたらなもうなかった、なんてこと今までの人生で山ほど体験しているから。でもさっきから何かがひっかかる。だまし絵を見るようなこの違和感は、あせる気持ちとは別のものだ。次の瞬間、カメラのピントがあうように、ぼやけていたものの正体が突然ハッキリして、わたしは思わず大声をあげた!

「しまった!忘れ物をした」

それを聞いてママとこどもたちがいっせいにわたしを見る。

「こんな一刻を争う大事な時に何を忘れたって言うの?くだらないものならあきらめて先を急ごうよ」「そうだよそうだよ」「それが、、セフティーボックスの中の物全部置きっぱなし!」

それはだめじゃん。全員のパスポート、日本までの帰りの航空券、今夜のホテルのバウチャー、それにクレッジトカードに財布、お金、全部です。

「あんた、何そんな大事なもん全部セフテティーボックスに預けてんのよーー!?」とママが激怒。

「いや、大事なもんだから預けるんでしょ、それにホテルでは支払いはぜんぶサインだったから、現金もクレジットカードも必要なかったし、、」

さすがに航空券やパスポートを見捨ててまでゾウを見に行くことはできない。ミッションインポッシブルの脱出劇みたいに、この山道のラフロードをわたしたちのために猛烈に突っ走ってくれているドライバーさんに、「忘れ物しちゃったからホテルに引き返して下さい」と告げるのは、熊に首をしめつけられるくらい心苦しい。でも「こんなに急いで来たのに引き返すの~」なんて渋い表情はこれっぽちも見せずに、「では引き返しましょう」と言うドライバーさん。おおー神じゃ!あなたこそボルネオの神様じゃ!

血相を変えて飛び出して行ったのに、血相を変えてホテルに引き返して来たわたしたちを見てスタッフたちも笑っている。わたしが車からおりて事情を話そうとすると、女性スタッフの1人が「こちらです」と案内する。わたしたちが出て行ってすぐ、セフティーボックスの中身を取り忘れていることに気付いたらしい。おかげであーだこーだ説明する手間がはぶけた。このへんにもこのホテルのホスピタリティーの高さがさりげなく感じられ心の奥底までじーんと感動した。

カギを渡して中身を受け取る。忘れ物をしたおかげで、はからずもホテルとの別れを二度も名残り惜しむことができた。手を振って見送るスタッフたちに今度こそとさよならを言いながら、再び送迎車は森を目指して速度をあげた。

「これでゾウがみれなかったらどうするんだよ」

みんな文句ぶーぶー。やっとさっき引き返したポイントに到達。かれこれ20分ロスした計算になる。でも、みんなこうは考えられないだろうか?20分遅くなったことでもっとたくさんのゾウが出て来てるとは・・・

ホテルに引き返す

そんなにうまい話はない

ドライバーさんは遅れを取り戻そうと、ものすごいスピードで走っている。道路は未舗装で、そんなとこをすさまじいスピードで飛ばすもんんだから、恐いったらありゃしない。でもゾウのためだ、がまんしよう。猛スピードで荒れた山道を走ること40分。最初の話しではホテルから30分くらい走ったあたりにある橋のところにゾウの群れがいるということだった。だとするとすでに10分くらい余分に走っているのに、ゾウの姿も形もないぞ。ということは、もうゾウの群れは姿を消してしまったのか!あ~~そんなー、やっぱり今回もだめだったかー。

でもドライバーさん見るとまだあきらめていないようだ。相変わらずものすごいスピードで車を飛ばしている。そんなに飛ばすんだからまだゾウの場所に到着してないってことだよね?それともただのスピード狂?!

それからさらに走って、何個目かの橋(いくつもあります)を過ぎるうちにだんだんドライバーさんの表情にもあきらめムードが漂ってきた。車のスピードも落ちてきちゃった。なんてわかりやすい人だ!やっぱりだめだったのか。ママもこどもたちも完全にあきらめ顔になって、そんなもんだと思ったけどね、と悟りの顔で外を眺めている。まあ、ほら、あれだな、今回はギボンもばっちり見れたし、オラウータンだってすごい至近距離で見れたじゃないか。おまけにヒヨケザルだって見れたし、子供たちはでっかいカブトムシをいやっちゅーほどさわれただろう?それだけでもよかったと感謝しなくっちゃ。

「そうだね、またここに戻って来いということだよ」。ママのいつもの台詞が出てこどもたちもニヤニヤ笑い顔になる。「BBCの取材班が専門家とジャングルに入ったって、野生のボルネオピグミーエレファントの姿をカメラに納めることは難しいって聞いたよ。足跡を見つけただけで、『われわれはここまでボルネオゾウに迫った』とその成果を強調するって」。

大きな群れを発見

ダナンバレーで遭遇した野生のボルネオゾウの群れ

その時、ドライバーさんが急に速度を落として、フロントガラス前方の小高い丘の中腹を指差した。

えっ?どうしたの?その指差す方を見て息を飲む。うわっ!出た!すごい!!そこには10頭近いゾウが木々の隙間から顔をのぞかせているではないか!ひゃぁーー。

道が大きくカーブしている内側の広い場所に車を止める。外に出ても大丈夫か?と身振りで聞くと「オッケー」だという返事。そーっと車から降りてゾウのいる場所を見上げる。手前の草がじゃましてよくわからなかったが、どうやら10頭よりもっとたくさんのゾウがいる様子だ。興奮で足ががたがた震えるのを感じながら、大スクープをゲットした新聞記者のように、カメラのシャッターを夢中で切りる。

ふと周囲を見回すと、上に登っていく道のようなものがあることに気付いた。草が茂っていてもうずいぶん使われていないようだけど、以前はおそらくここを車も通っていたんじゃないか。その道の先を見ると、ゾウの群れがいる上の広場まで繋がっているように見える。カイは行ってみたいというので、2人でその道を登って行く事にした。リュウは怖いからママと車の中で待っていると。ドライバーさんも車の中で待機している。

2人で砂利と草の坂道を音をたてないようにそーっと登って行く。自分のごっくんとつばを飲み込む音さえ森の木々にこだましそうな緊迫感。

野生のボルネオゾウの群れに踏み殺されるところでした

野生のボルネオゾウの大群
野生のボルネオゾウの大群。こんな大きな群れを見るのは奇跡に近い

緊張しながら登って行くと、お~~見えてきた、ゾウの数はゆうに50頭はいるぞ!

すげぇ~~、姿をちらっと見るだけでも奇跡と言われる野生のボルネオゾウのこんなすごい大群をこんな間近で見れるなんて!

口から心臓が飛び出すほど興奮しながら、カメラを構える。

ああ、子供のゾウもいるじゃありませんかー。

ゾウの群れをバックにカイの写真を撮ろうとしたが位置が良くない。もう少し上に上がるように言うと、遠慮がちにずるっと上がる、いや、そうじゃなくてもうちょっと上だよ、と言ったら、今度は思いっきりジャンプしてゾウがいるのと同じ高さのところまで飛んだ。

それを見てゾウたちは草を食べるのを止め、いっせいにわたしたちに向かって動き始めた。どうやらゾウの警報ベルにスイッチを入れてしまったようだ。相手は子ゾウがいて気がたっている。

一番手前にいた2頭が、じりじりっとこっちに寄って来た。

「やばい!」

それを見てカイが逃げ出す。わたしはそれでもシャッターを切っていたら、耳を大きく広げて鼻を突き上げ、パオ~~ンとジャングル中に響くような声を発し、私めがけて突進してきた。

うわぁーー!

最初は余裕で逃げ切れると思ったのだが、ゾウは体が大きいので、1歩で進む距離がハンパじゃない。まるで瞬間移動するみたいにすぐわたしの近くまで迫って来たのだ。

あ、あ、あ、あ、

ゾウに踏み殺されちゃう!必死で逃げる。すぐ後ろにゾウの地響きが追ってくる。まずいことにどうも走りにくいと思ったらわたしはビーチサンダルではないか。いかーん!

その時脳裏に明日の新聞の見出しがよぎった。

「邦人 ボルネオでゾウに踏まれ散る とんだ正月」

ボルネオゾウの群れに追われる

冗談じゃないと必死に走っていたらなんとか前方に送迎車が見えてきた。

でも、エンジンをかけ、わたしたちを置き去りにして今にも発進しようとしているぞ、お~~ちょっと待って!

見捨てないでプリーズ!

あとはもう無我夢中で何がどうなったか覚えてないが、何とか車まで走りよって振り返るとゾウの姿はなかった。車から見ていたママの話しによると、なぜか途中で引き返したらしい。

カイはわたしより先に逃げ出したので助かっただろうけど、

あんた、もう少しで死ぬとこだったよ。

はーはー、まだ息が切れてる。

ゾウが見れた嬉しさとあとからこみ上げる恐怖。気持ちが混乱したまま、何はともあれ車は再び出発した。

2回目の遭遇

道路の真ん中を歩くボルネオ像

車が走り始めると、あらためて怖さがぶり返す。

本当に無事でよかったな、でもあんなすごい群れを見れて奇跡だった。何しろボルネオゾウは世界でボルネオだけに生息する貴重な動物なのだ。BBCの取材班ですら、1ヶ月ダナンバレーのジャングルに入って捜索活動をしても、糞を発見するのがやっとだと言う。ん?糞?さっきは足跡って言わなかったっけ?

いやいや糞だよ、目の前の道にゾウの糞が大量に落ちている。まだ生暖かそうだ。

「へへ、またゾウが見れたりして」

「ばか言え、ちらっと姿を見るだけでも奇跡なのに、1日に2回も遭遇するわけないだろ」

と言った瞬間、車が次のカーブを曲がった前方に別の群れが現れたから、月が落ちてきたみたいに驚いた。うひゃぁぁーー!こんなことがあるんだね。車が近づくと脇の草むらに入ってじっとこちらが通り過ぎるのを見ている。車を横に止めてみると1匹が鼻を振り上げて威嚇してきた。ひゃぁ~~、さっきの恐怖がまだ頭にこびりつているので、ドライバーさんもあわててアクセルをふかした。

「いや~すごいことだね、糞を見るだけでも奇跡と言われているのに、大きな群れに2回も遭遇するとは」

ところが少し走ると、またまた大量の糞を発見。おおーーまたゾウの群れと逢っちゃうのかー。ばか、そんな奇跡が何回も起こるなんてあり得ないよ。奇跡×奇跡はとんでもない奇跡だよ。

道路の前方に現れたボルネオゾウ
おおーー、前方にまたゾウがいた / 草むらに入って車をやり過ごすゾウたち

3回目の遭遇

でもそんな話しをしている矢先、カーブを曲がったらまたまたゾウの群れと出くわしたのだ。今度の群れは6頭ほど。車に気付くとすぐ逃げるようにまた脇の草むらに入っていった。すげー、ありえねぇー、考えられねぇー!わたしたちが通りすぎると、ゾウは鼻を突き上げ大きな声を発生した。そして1頭が走ってこちらに向かってくる。

「パパ、もういいよ」

わたしが車から降りてその様子を写真に撮っていると、ママとこどもたちが半分泣き声で訴えて来る。よほどさっきのがこたえたんだろう。

「早く、早く!」

せかされてわたしが車に乗ると、ゾウは走るのを止めてこちらを見ている。少し先にドライバーさんが車を止めたら、また威嚇するように突進して来る。

ひゃあ~、アクセルふかして!スピードあげて!

ふーやっと振り切ったよー、それにしても糞を見つけただけで奇跡と言われてるボルネオゾウに、これで何回目だ?!3回も出会っちゃったよー、おまけに、ゾウに追われて踏みつぶされそうになるわ、後ろから突進してくるは、すごいね。

ゾウに道をふさがれた
道をふさぐゾウ

4回目の遭遇で道路をふさがれた

「また逢えないかな」

「さずがにもう無理だろー」

「おれもーいいや、怖い目に逢ったし」

「十分見たからね」

そんな話しをしながら見通しの悪いカーブを曲がると、出たぁ~~!またまたまたまた、ゾウの群れと出会ったのだ。今度は5頭の群れが道をふさいでいる。これまで道で逢ったゾウは車を見ると逃げたり、横の草むらに入ったりしてたんだけど、今目の前にいるやつはぜんぜんよける気配がない。そればかりか、こっちをにらんでいるよ。

「違う、5頭じゃない、あの先にまだいっぱいいるよ」

脇の森から群れに合流するゾウ
どんどん出てくるぞうぉ~~

本当だ、良く見ると5頭の後ろにさらに6頭くらいひかえている。

「わーもういいよ」

怖さからリュウが弱音をはく。ママも顔を硬直させている。

ゾウの威嚇に体が縮み上がる

続々と道路に姿を現すボルネオゾウ

その時車の前の2頭が鼻を高々とあげて大きな声を出した。

「ちょっと、やだ、何?今の」

「仲間を呼んでいるんじゃない」

「やめてよー、怖い事言うの」

「だって本当だよ、きっと」

さっきわたしとカイで群れの近くまで行ったことを怒っていて、怒りをはらすために仲間をよんだのかもしれない。そのうち目の前の2頭が、こっちをにらみながら、前脚で土をかき始めた。

「え、なになに、こっちに突進してくるんじゃないの?」

ここがアフリカのサファリなら、ドライバーもそれなりの経験を積んでいる。車も頑丈だし、じゅうぶんな装備もある。でも今わたしたちが乗っているのはただの送迎車。ドライバーもサファリのガイドじゃなく、ただの地元のおっさんだ。こんなちっぽけな車、あのゾウに体当たりされたら軽く吹っ飛んじゃうよ、そしてとなりの谷底に真っ逆さまだ。これは正月からまたまた大ピンチ!

関連記事:アフリカ旅行とサファリについて

私たちを威嚇するボルネオゾウ
車の前方に立ちはだかり、鼻を突き出したり声を張り上げて私たちを威嚇するボルネオゾウ

後ろからも迫ってくる

ドライバーさんも危機をさっしていて、ゆっくりバックを始めた。それを見てゾウもさらに追っかけてくるかと心配したが、とりあえず土かきをやめてくれた。まだこっちえを

にらんでいるけど、突進する気はとりあえずおさまったようだ。車はさらに速度をあげてバックする。そしてもう大丈夫だというところで止まった。ここでしばらく様子を見る作戦だ。

ところが!今度は後ろから、6頭のゾウが現れこっちに向かって来た。「あー後ろからも来てるよ、早く前に出して!」後部座席にいるカイが泣きそうな声で叫ぶ。や、前に出したらあいつらがいるじゃなないか、どうするんだよ。

「前門の虎、後門の狼」という言葉があるが、これは「前門のゾウ、後門もゾウ」だね、やっはっはっは、なんて笑ってる場合じゃないぞ。今度こそ絶体絶命。前にも行けないし後ろにも行けません。するとさらに何だ何だ、前の5頭のすぐ横の山から、黒い物体がどさどさ落ちてくる。まるで土砂崩れのよう。よく見るとさらに6頭のゾウが山から道に降りて来たようだ。

「もういいよー」「助けて」

恐怖で体が凍りつく。

急にいなくなったゾウ
なんとか脱出できそうだ

決死の脱出劇

後ろから来るゾウは車の5メートルくらいのところでなぜか立ち止まってくれた。そのうち、前の5頭も草を食べに横の道へ入っていった。そのすきにドライバーさんが車を前進させてさーっと通り過ぎる。その先にもさらに6頭と、別の5頭の群れがいたが、みんな山側や谷側の草を夢中で食べ始めたので、車をすんなり通してくれた。

そして最後のグループの横を通り過ぎたときにはみんなで大歓声をあげる。

「やったー!」「助かった」

もうこんなピチンないっちゅーくらいのピンチから、無傷で脱出できて、てんやわんやの大騒ぎ。

貴重な野生のボルネオゾウとそんな目に逢ったという体験の希少さが、その興奮に拍車をかけていた。かれこれ30分近くゾウに足止めをくっていたが、そこから猛スピードで車を走らせ、何とかラハダトゥのホテルにたどり着いたのだった。

死ぬかと思うくらい怖かったけど、無事終わってみればとても貴重な体験だったね。

ドライバーさん本当にありがとう!、あんたは命の恩人だよ、そしてもう、野生のボルネオゾウが見たいだなんて言いません。