ドルフィンウォッチングツアー

2019年3月5日

ドルフィンツアー

ドルフィンツアー

「ジンベエザメが見れる保証はないけど、見れる確率が高いのはドルフィンウォッチングツアーだよ」

エクスカーション担当のトニーが言う。通常のスノーケリングツアーは島の周囲のポンイトを潜る。それに対してドルフィンツアーは、遠い海域まで出かけるので、ジンベエと遭遇するチャンスが大きいのだと言う。イルカだって見るだけじゃなく チャンスがあれば一緒に海に入って泳ぐことも可能。昨日の午前のツアーは、100頭近いイルカの群れにボートが囲まれて、ずーっといっしょに泳いでいたって。集合はダイビングセンター前に午前10時。

今日のゲストはわたしとカイの他、パリから来た親子。高校生のお兄さんが2人とお父さん、お母さんだ。4人とも水着ではないので、イルカと遭遇しても泳ぐつもりはないらしい。リュウの具合はだいぶよくなっていたのだが、大事をとって部屋で留守番。ママもそれを理由に、またまた部屋でのんびりしてますとのこと。

ドルフィンツアーのボートに乗り込むカイ

さて、レセプション前のビーチに泊めてある水色のホテル専用ボートに乗り込み、いざ出航だ。

リーフの外側に出ると波がけっこうある。ボートはジェットコースターのようにバンバン跳ねながら海原を進んでゆく。昨夏、ハワイ/コオリナ沖のドルフィンスノーケルツアーでも、最初は波が高くてイルカが探せなかった。その時キャプテンが「波が高いとイルカを探しにくい」と言っていたのを覚えている。ジンベエザメだって、波が高いよりはない方が探しやすいだろう。「う~ん、これはあまりいいコンディションではないね」ぼそっとつぶやくと、カイもその時の状況を思い出し、「見れなかった時と同じだね」と弱気に言う。

トニーはまず最初に、昨日、100頭近いイルカの群れと遭遇したポイントへ向かう。それはイランジャ北島の東の沖合いだ。ボートが到着するとスピードを落とし、イルカの群れを探しながら、周囲をゆっくり回遊する。トニーはボートの先端に立って、そのものすごい視力で、海に穴が開くほど目を見開いて探している。ジンベエが見れなくても、イルカ100頭の群れと泳げるならまあそれも悪くないか、とわたしたちの期待も高まる。

しかし、ぐるぐる、ぐるぐる、そのあたりを何周回っただろうか?イルカたちが現れてくれそうな気配はない。30分くらいその海域を捜索したが、今日は別の場所へ移動してるんだろとあきらめて、ボートも別のポイントを目指してまたスピードを上げて行った。

結局、その朝は期待していたジンベエザメどころか、イルカもなかなか見つからない。もうリゾートを出航してかれこれ3時間近くたっている。そのあいだ、トニーはボートの先端に立ちっぱなし。ずっと目を凝らしてイルカを探してるのだ。さすがにトニーにも、他の乗客にも、披露の色が隠せなくなってきた。

ついにトニーは乗客のほうを振り返って「申し訳ありません、今日は、ちょっと難しいみたいなので、これからリゾートへ戻ります」と言う。その時カイが「あ、イルカ!」と声を上げた。

イルカを発見

こちらを向いて説明しているトニーの背後に、イルカの背びれがにょきにょきと海面から突き出ているのが見えたのだ。トニーもぱっと前方に向き直り、クルーに指示を出す。4頭のイルカがわたしたちのボートの先端あたりを気持ち良さそうに泳いでいる。そのうち2頭がボートの下に潜り、反対側に浮かび上がる。それは一瞬だったけど、長い時間探し求めていたわたしたちの心を満足させるに、十分なパフォーマンスだった。イルカたちはいったん姿を消し、見えなくなる。その数秒後、ボートの20mくらい先でもう一度現れ、それから完全に姿を消してしまった。

ボートがリゾートに戻ると、すっかり潮が引き始めている。イランジャ北島と繋がる砂の道も、水中から姿を現し、この世のものとは思えない美しく幻想的な景観を見せている。

わたしたちを乗せたボートは、潮が引いて遠浅になった浜辺に停泊。

「今日はイルカはちょっとしか見れなかったので、料金は半額でいいです」とトニー。3時間も苦労して探してくれたのに申し訳ない。でも本命のジンベエも見れなかったので、わたしたちもちょっとがっくり。またどこかで出会えるといいな。

トニーにお礼を言い、ボートを降りて、遠浅になった白い浜を歩いて部屋に戻った。

イランジャのダイビングサービス